子どもたちにとって、将来必要になる力とは?
社会が大きく変わりつつある今、子どもたちが大きくなったときには今ある職業が大きく変わっているという話もあります。そんな社会が大きく変わる中で、子どもたちが身につけるといい力はどのようものがあるのでしょうか。
「よく子どもたちの中に将来ユーチューバーになりたいという子もいますけど、今ある仕事が、子どもたちが大人になったときにあるかわからないですよね。子どもたちが大きくなった頃にはもうユーチューバーじゃなくて他の職業が誕生しているかもしれません。そうなると、自分で何ができるかを提案して、稼いでいくことが大切になる時代がくると思うんです。ボクだったら、『学校の先生をしています。さらにこういうこともできます』というように。
子どもたちにとってもそれが必要で、自分の頭で考えられる子になってほしい。言われたことだけをやるのはAIができるかもしれないので、人間でないとできないことができて、またそれを自分から提案していくことができるかどうかが、これからの時代すごく必要だと思います」
自分から提案するスキルは将来役に立つ。家庭でできることは
では家庭では子どもとどのように関わっていけばいいのでしょうか。
「子どもにお手伝いをさせる際には、普通は親が子どもに『コレをしなさい』という命令する形でやらせることが多いですよね。でも子どもが自分から『この仕事ができます』という提案や、それに見合った報酬を交渉することは、コミュニュケーション能力や交渉する力を身につけることができて、将来きっと役に立ちます。
ボクが監修したアプリ『ピグっち』は、お手伝いを通してお金の価値を学ぶことができるアプリですが、子どものこういったコミュニュケーション能力の向上も狙ったアプリです。
家庭でお手伝いを子どもにさせたいと思ったときに、子どもが自分で考えた仕事を提案することができ、それについて話し合うことで親子のコミュニケーションを増やすことができます」
使い方にも一工夫を
子どもが自らできることを提案し、お手伝いをした結果貯まったお小遣いやポイントなど。ぬまっち先生は、そのままお金を渡すのではなく、使い道についてもこんな提案をされています。
「子どもがお手伝いをして貯まったポイントやお金は、そのままお金をあげるのもいいですがそれではつまらないと思っていて、そのお金を思い出に変えてほしいと思っています。
例えば、子どもが1000円分のお小遣いを貯めたとしたら、1000円で焼き肉チケットを子どもに販売することにします。子どもがその焼き肉チケットを買えば、家族で焼き肉に行けることになりますよね。その際には、『今日は○○のおかげで焼き肉に行けたね』と一言言ってほしいんです。焼き肉じゃなくても、『夏の旅行の決定権』などの権利を与えてあげるというのもいいですよ。
貯めたものをお金として渡すのではなく、家族の思い出になるような使い方や、家族のコミュニケーションが活発になるような使い方をしてみると、家族の思い出も増えていくと思います」
家族のコミュニケーションや思い出も増え、子どもにとっても必要な力が身につくこの方法は、ぜひ家庭でも取り入れたいですね。
お話を伺ったのは……沼田晶弘先生
1975年生、東京都出身。
国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。
子どものやる気を引き出すユニークな取り組みが話題となり、多くのメディアで取り上げられる。『ぬまっち流 自分で伸びる小学生の育て方』(KADOKAWA)など著書も多数手がけている。