14歳の時に聴いていた音楽が人生を決める?
「14歳のときに聴いていた音楽が、その後の人生における音楽の好みを決定づける。」という記事が、2018年2月『The New York Times』掲載されました。その根拠となる調査は、1960年~2000年のヒットチャートと Spotify 利用者のビッグデータを分析して行われたようです。
そこで周りの人たち(年代はバラバラ)に聞いてみると…「ユーミン。中学生だしお金が無くてコンサートに行けないし、お小遣いを貯めてLPを買って聞いてた」「松山千春。もちろん足寄の実家にも行きました」「年代的にはズレてますけど、尾崎豊に深くハマった時期です」「お年玉で買ったのは稲垣潤一のレコード」「甲斐バンドとオフコースかな」「浪漫飛行と愛は勝つ、がヘビロテ」「KISS、永ちゃん、YMOとバラバラ」「ホイットニーヒューストンのアルバムを買いました」「B’zかなぁ…」「年がバレるけど、ゴダイゴ」「サザン、マイケル、ビートルズ、小泉今日子…音楽が無いと死ぬと思ってた」
あなたの「14歳の音楽」って?
意外とスラスラと●十年の月日を越えて出てくることに驚きました…もしかすると「当時好きだった子」のことを聞かれたのと同じような感覚でしょうか?アーティストたちの名曲が、しっかりと胸に刻まれているのがわかります。さて、あなたが夢中になったアーティスト、つらいときに励まされた曲、テスト前に聴きたくなった曲は?
深夜ラジオの憧れの「おねえさん」
ちょうど14歳頃から夢中になって聞き始めた深夜ラジオから、主に私は音楽の情報を集めていました。とりわけよく聞いていたのは、洋楽が中心に選曲され、歯切れが良く、それでいてあたたかみのある女性DJの番組。楽しいはがきのメッセージを読む合間に洋楽のうんちくをサラリと交えながらも笑いあり、涙あり…そんな当時から憧れの「おねえさん」だった(いや、今も!)若宮テイ子さんにご自身の「14歳の音楽」についてお聞きしました。
背伸びをしていた14歳のころ
──どんな14歳でしたか?
若宮テイ子さん(以下、テイ子さん):私学の女子中で、一際、目立つ存在かな。
音楽、特に洋楽を聞きたくて、ラジオのチューナーをクルクルしながら、深夜番組聴いて夜更かし…授業中にコックリ、コックリ…先生によく叱られました。進学校だったので、賢い子が多かったんですが、そんな中でも少し大人っぽい友だちからの音楽や映画、ファッションの情報はとても刺激的でした。
反発心から没頭した洋楽、そしてジャズ
──14歳のテイ子さんが、一番よく聴いていた音楽を教えてください。
テイ子さん:洋楽の匂いプンプンのポップス系の歌謡曲やグループ・サウンズ、そして衝撃のジャズ。当時一番よく聞いたのは、映画で流れたアート・ブレイキーとジャズメッセンジャーズの曲で、タイトルチューンの「危険な関係のブルース」。映画は後に観ましたが、正直、14歳の乙女にはさっぱり理解できませんでした(笑)。家では歌謡曲、ましてや洋楽なんてご法度で、真夜中にこっそり聞くか、友人宅で聞くしかなかったんです。そんなものを聴くのは「不良の始まり」と言われていましたね…でも親への反発もあったからこそ、より洋楽の世界へ没頭した部分もあり、今ではそんな環境にも感謝ですね。
そして初恋がジャズを連れて来た…
──なかなか中学生がジャズと巡り会うチャンスはないと思うのですが(笑)
テイ子さん:きっかけは、年上の(高校生)初恋の人の影響です。共通の話題を探すためにジャズやシャンソンを聴いてみたり、レコードをいただいたりもして…。
──なるほど、彼氏の好みの音楽だったと…。その後、大きく音楽の好みが変化したことはありましたか?
テイ子さん:次にハードロックに狂い、パンクにも、レゲエにも。刺激的な音楽に惹かれました。アイドルを好きになることは全く無かったんですけどね。
──音楽の好みは14歳のころから、本質的には変わらないと思いますか?
テイ子さん:今もやはり、ジャズですね。そこから派生してブラジル音楽のボサノバとか、ポルトガルのファドとか。さまざまな音楽を聴いてきました。どんな時代、ジャンルでも「ええ曲」「ええ音楽」はありますね。最近の若い人たちの才能には、驚くものがあります。とても自由だし、表現力もあり、商業的ではないところが。あとは、演歌歌手の方の歌唱力に驚かされたりもして。今、さまざまなジャンルに気軽に触れることができるのは、YouTubeのおかげですね。
ラジオDJになれたのも、彼と別れたのも…
──テイ子さんにとってご自身の「14歳の音楽」とは?
テイ子さん:多感な時代に衝撃的に出会った「しびれ感」ですね。いわゆる流行りでなくても、14歳の時に聴いた音楽はどんなジャンルでも、大きく今の自分に影響していると思います。
──音楽がライフスタイルに影響を与えたことはありましたか?
テイ子さん:まさしく、ラジオのDJをやってこれたのも、14歳の音楽体験があったからだと言えますね。好き嫌いは、ハッキリとしていますが、例えば、苦手な歌手の方がゲストの場合でも、音楽自体に広く興味を持っているので、楽曲を聴くと「スゴイ!」と良いところが見えてきて、応援したくなるんです。あっ、そういえば独身時代に、音楽の好みが合わなくて喧嘩別れしたことがあります。音楽の趣味、ホントに大事ですよ。(笑)
悩むことを美化していた、不安定な14歳
──人生の中で「14歳」とはどんな時期でしょう?
テイ子さん:私の場合は子どもでもないし、大人でもない。中途半端なくせに、「悩むことを美化していた時期」かな。不安を払拭したいがために何かを見つけて貪る14歳…だった気がします。
実は、今月初めに14歳の時に一番なかよしだった友人が亡くなりました。彼女の部屋でレコードをかけながら、歌詞カードの間違いを見つけたり、英語の歌詞の意味を考え合ったり、他の友人とはなかなか通じ合えない話題を、彼女とはたくさん共有しました。そう…映画の話もよくしましたね。未知の扉を一緒に開いていった心強い同士だったなぁ…。彼女の家は神戸で有名な洋食屋さんだったので、暗くなるまで私が居ついていると彼女のお母ちゃんが「テイ子!食べていき!」とハヤシライスを出してくれたんですよ。反抗期ではあったけど、こんな風に見守ってくれている大人の優しさも感じていました。今でもハヤシライスを食べるたび、迷い、悩み、でも心が通じ合う友がいた、14歳のころを思い出します。
14歳のころ、「音楽」は大切な自己表現だった
今の14歳のようにスマホで気軽に人と繋がったり、SNSで自分を発信したりすることができなかった時代に「私はこれが好き」「これってとってもいいと思わない?」と、自分のアイデンティティを好みの音楽にオーバーラップしながら、大好きなアーティストの楽曲を友だちと聴かせ合いっこをしていた…そんな時代が14歳だったかもしれません。単なる「アーティスト推し」ではなく、自分自身の代弁者として、その生きざままでを崇拝したり、ファッションを真似したり…と、とても大切な自己表現の1つが14歳にとっての音楽だったのかもしれません。
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お話を伺ったのは…若宮テイ子さん
神戸出身。司会、CM、講演、タレントTalking Jazz singer
アクセサリーデザイナー 朝日カルチャーアクセサリ―講師
【出演】
ラジオ大阪「新しいおとなの朝に! ハッピープラス」金曜日 7時~11時
ラジオ大阪「ハートに効く聴くラジオ 27カラット マジック」金曜日 27時~28時