『発表がうまくなる! 好きになる! 10歳から知っておきたい魔法の伝え方』(日本能率協会マネジメントセンター)
著者:鈴木深雪
価格:1,650円(税込)
こんなおうちプレゼン、していませんか?
ここでは「家電の購入」を例にして、相手への伝え方について一緒に考えていきましょう。欲しいモノがあるとき、あなたはパートナーにこんなプレゼンをしていませんか?
「ねえ、今度『電気調理鍋』買ってもいい? 最近SNSでも話題で、見た目もすっごくおしゃれなんだ。会社の人も使ってて、すっごく便利なんだって。『電気調理鍋』があれば、平日も凝った料理が作れるし、セールになればお得に買えるらしいよ! ポイント使えばさらに割安なんだって!」
一見、問題なく聞こえますが、実はあなたの気持ちは、まったく伝わっていません。だから、プレゼン失敗、つまり購入反対もしくは見送りという残念な結果になることも……。
プレゼンが成功しない理由
おうちプレゼンの登場人物は、伝える側(自分)と聞く側(相手)。そして、プレゼンの決め手となるのは、伝えた相手の「反応」です。
あなたの「電気調理鍋が欲しい」といったプレゼンに対し、相手の反応が「気持ちはわかるけど……」なんて消極的な反応だけなら、プレゼン失敗のサイン。
「相手に理解してもらっただけでは、プレゼン成功にはなりません。理解→共感→納得→行動のプロセスを経て、はじめてあなたのプレゼンは成功したことになるんです」(鈴木さん)
つまり、プレゼンを聞いた相手の人が行動してくれることがゴールです。
では、一体どんなプレゼンをすれば、いいのでしょうか?
大事なのは「自分の想いを伝えること」
「プレゼンで最も大事にしてもらいたいのは、話し手である『自分自身』です。プレゼンはいつだって、自分が伝えたいと思う『自分スタート』から始まります。その思いが人を動かすのです」(鈴木さん)
先程の例文を見ると、人からの情報や、金額のことばかりで、自分の気持ちがまるで入っていませんでしたね。また、相手のためを思った提案も入れると効果的なようです。
「自分のプレゼンを相手に受け取ってもらうには、『自分と相手のバランス』がとても大切なのです。相手のためを思った提案や、受け取りやすい伝え方の工夫をするからこそ伝わるのです」(鈴木さん)
そこで、「自分スタート」を意識して、例文を修正してみると……
「ねえ、最近すごく便利な時短家電を見つけたんだ。『電気調理鍋』なんだけど、料理が苦手な私でも、簡単に煮込み系が作れるの! 夜に仕込めるから、残業して帰ってきても、すぐちゃんとした料理が食べられるよ。でもなにより、この間のあなたの健康診断の結果が気になって……。『電気調理鍋』は野菜いっぱいのヘルシーな料理も得意なの。年齢的にこれからはお互いの健康面も考えて、買いたいなって思うんだけど、どうかな?」
同じお願いをしているにもかかわらず、このプレゼンならきっと相手はなにかしら「行動」を起こしてくれそうです!
私たちの一生は、プレゼンテーションが溢れてる!
「プレゼンが成功すれば、自分の『したい』が叶います。つまり、プレゼンは『夢を叶える道具』なのです」(鈴木さん)
自分の思いを伝えることは、誰でも最初は恥ずかしいし、難しいと思うもの。でも、自分の想いが叶うことは最高の喜びです。プレゼンを大袈裟なものと思わず、日常にどんどん取り込んでいきましょう。