『発表がうまくなる! 好きになる! 10歳から知っておきたい魔法の伝え方』(日本能率協会マネジメントセンター)
著者:鈴木深雪
価格:1,650円(税込)
伝え上手は、聞き上手
プレゼンとは、「自分の思いやアイデアを、相手にわかりやすく伝える技術」のこと。そう考えると、ビジネスや教育の場だけでなく、日常に溢れていますよね。
だからこそ、日常で親世代が子どものために今すぐできることとは?
「プレゼンは『相手にこちらの意思・気持ちを理解してもらうこと』。子どもに伝え上手になってもらいたいのなら、まずは親が『聞き上手』になることです」(鈴木さん)
具体的には、子どもが自分に何か話している時、1日5分でもいいので、丁寧に耳を傾けてみてください。
たとえ短い時間であっても、親が自分の話を聞いてくれることに安心して、子どもたちはいつも以上に話をしてくれるはずです。こうやって安心して話を聞いてくれる環境は、伝える力を伸ばすのに欠かせません。
子どものお手本になるような話し方を
プレゼン上達のコツは、なんといっても「人の話を観察すること」。普段から、自分が子どものお手本になるような話し方をすることで、自然と子どものプレゼン力が上がります。
そのために、日頃から思いつくままに話すのではなく、相手に自分の気持ちを伝えることを意識して、要点をまとめたり、話の順番を明確にしたり、自分の言葉で話すことを習慣にしてみましょう。
家庭でもプレゼンする機会を
また、学びには「入れる学び」と「出す学び」の2種類があります。知識や方法などを「入れる学び」を、自分のものにするために重要なのが「出す学び」です。人に説明するために調べてみたら勉強になった、ということがあるように、教える側になることで、自分の言葉で説明できるようになります。
ここで言う「出す学び」とは、実際にプレゼンを「やってみる」こと。まずは、簡単なところから手始めに、今読んでいる本や夢中になっているゲームについて、教えるつもりで紹介してもらいましょう。
そして、子どもが何かほしいといってきたときや、主張があるときこそ最大のチャンス。本番さながらに、プレゼンしてもらういい機会ではないでしょうか。
「発表やプレゼンにトライした回数は、伝える力に比例するだけでなく、人前で話す度胸も育ちます! ぜひチャレンジしてみてください」(鈴木さん)
もし子どもがプレゼンで失敗したら?
家庭内だけではなく、クラスでの調べ学習の発表や、学級会で自分の意見をのべることなど、子ども達の毎日はプレゼンで溢れています。時には、どれだけ入念に準備してもプレゼンは失敗することがあります。そんなときには、親はどうしたら良いのでしょうか?
子どもからうまくいかなかったと相談を受けた時は、一緒に内容そのものを練り直したり、伝えたい思いを明確にしたり、相手への想像力をはたらかせながら伝える工夫をしてみるのもいいでしょう。伝える力は失敗の中で、どんどん向上していくからです。
一方、失敗を重ねる中で「伝えることは怖いもの」と感じる子も少なくはありません。そのため、これだけは子どもに伝えて欲しいことがあります。それは……。
「自分の思いやアイデアは宝物です。だからこそ、伝えることを簡単にあきらめないで」(鈴木さん)
これからのプレゼン方法は無限大
時代が進むにつれて、プレゼンの方法や技術は、今のものと大きく変わっているかもしれません。現に、親世代が子どもの時にはなかったインターネットやスマホなど、テクノロジーは年々変化しています。
「でも、『自分の思いを言葉にすること』『相手に思いが伝わる表現方法』『相手への想像力を働かせること』など、いつの時代にも通用する力に変わりはありません。これこそプレゼンの基礎。きっとあなたやお子さんの夢をかなえる大きな助けになってくれるはずです。伝えない限り、夢はかないません。その夢のためにプレゼンするのは、まぎれもない『あなた自身』なのです」」(鈴木さん)
「プレゼン」と聞いて難しく考えるのはやめましょう。大事なのは、シンプルに相手に「伝えること」。日頃からプレゼンしていくことで、子どもと一緒にワクワクしながら、夢をどんどんかなえていきたいですね!