子どもの見ている世界とは
子どもは成長していく中で、親に話さないことが増えていくものです。友人に悩みを打ち明けたり、ときには自分の中に留めておいたり。
大人の階段には、「甘え」と「自立」が葛藤し続けます。
1人で歩くのを邪魔しないでほしい。一方で、帰る場所にはなっていてほしい。子どもはそんな願いを抱いているのかもしれません。
親としては、大切なことを話してくれないのは寂しいですよね。
一方で子どもは、反抗心・自立心・親に迷惑をかけたくない気持ちの狭間で揺れています。
子どもに寄り添いたいとき、どんなことを大切にしたらいいでしょうか。
子どもが悩んでいるときに思い出したい大切なこと
1.悩みを話せるタイミングと、親が尋ねるタイミングは一致しない。
親が声をかけても応えないのは、なぜでしょうか。
- 不安や怖さ、怒りや悲しみなどが入り混じり、整理できていない。
- 子どもの年で考えられることを精一杯案じている。
- 言ったら悲しまれる、怒られると予想している。
- どんな言葉で伝えたらいいか、迷っている。
- 面と向かっては言い出せない事情がある。
「言いたくない」は、「(今は)言いたくない」という意味かもしれません。子どものタイミングまで待つ優しさも必要だと思います。
また、手紙やLINEなら打ち明けられることもあります。面と向かって話す以外の選択も、ときに有効かもしれません。
2.子どもは、身近にいる人同士のコミュニケーションを見ている。
子どもの観察眼は、想像以上に鋭いものです。
兄や姉がどのように両親を説得しているか。
母と父はどうして喧嘩しているか。
先生は誰に何を注意しているのか。
子どもの視点でよく見ています。
そして、説得の成功例や失敗例、仲直りの方法、何をしたら怒られるのかも、学んでいるのだと思います。
身近な人との距離感は、いくつになっても難しいものですよね。
子どもとどのように向き合っていくか、同時に親が周囲とどう付き合っていくか。大人の世界を生きながら子どもと接するのも大変だと思います。
子どもの前では、笑顔の多いコミュニケーションを見せられるといいですよね。
3.「周囲の人に頼るのが役に立つ」という感覚を築いておく。
子どもの失敗を案じながら、見守る姿勢を保ち続けるのは容易ではありません。
ただ、子どもは親が思うよりも早く成長し、たくましい一面も備えていくものです。
この子自身は、この問題とどう向き合っていくのか。
それもまた、親の予想を超えていくのかもしれません。
親に求められる役割は、「困ったときに周囲を頼る選択」を伝え続ける関わりだと思います。
なぜなら親は、子どもを残して旅立つ存在だからです。
長い目で見たときに必要なのは、「周囲に頼りながら、自分で立ち上がる力」です。
ときに親として、子どもの”1番近く”にいたい気持ちがあるかもしれません。
ただ、”誰が1番”という考えだけではなく、”できる人がやればいい”という発想もあります。
人と話すのが苦手な子は、親が架け橋となり、スクールカウンセラーや習い事、療育などの支援施設に繋がる経験も大切になってきます。
人は、一人では生きていけません。子どもの一歩後ろで歩きながら、見守る存在が支えになると思います。
鍵となるのは「ご機嫌なコミュニケーション」
何かあったとき、頼りにするのは、どんな人でしょうか。
聡明な人、意見をしっかり持っている人、相手の意見を否定しない人。
そして、温かい思い出を共有してきた人にこそ、相談しようと思うのではないでしょうか。
楽しさも嬉しさも共有している人にこそ、ぽろっと本音を話してしまうものです。
嬉しそうに帰ってきたとき、「なんかいいことあった?」と聞いて一緒に喜ぶ。
夢中になっているゲームについて、どんなところが面白いのか尋ねる。
何気ない「ご機嫌なコミュニケーション」こそ、悩んだときに生きてきます。
幸せな時間を過ごした相手にこそ、辛い悩みも共有できるはずです。
喜怒哀楽を分かち合える関係性を育めるといいですよね。