まばたきの回数が4分の1に減少して角膜に傷が…。スマホ使用時に気をつけるべき“5つのポイント”

心と体

stock.adobe.com
 まばたきの回数が4分の1に減少して角膜に傷が…。スマホ使用時に気をつけるべき“5つのポイント”

2022.10.20

文字がぼやけて見える、目がかすむなどで困っていませんか? もしかしたらその症状、目の「角膜」にトラブルが起きているからかもしれません。今回は、杏林大学医学部眼科学教授であり、日本角膜学会理事長の山田昌和先生に、角膜を取り巻く昨今の状況と、スマホ・パソコン使用時に気をつけるべきポイントについて教えていただきます。

広告

教えてくれたのは……山田 昌和先生

山田先生出典:www.kakumaku-lab.jp

杏林大学医学部眼科学教授。日本角膜学会理事長、日本コンタクトレンズ学会理事。
ドライアイなどの角膜疾患を対象にして涙液や角膜試料の生化学的分析を行い、疾患や病態のバイオマーカーの探索を行っている。13年杏林大学医学部眼科学教授。現職に至る。

目のこんな症状に困っていませんか?

1出典:stock.adobe.com

「現代人の角膜ケア研究室」が行った調査によると、大人が平日パソコンやスマートフォンなどの情報機器を使用する時間は、平均5.0時間。パソコンやスマホの使用時間が長くなると、気になるのが「目の疲れ」。最近、目のこんな症状に困っているという方はいらっしゃいますか?

CHECK!こんな症状はありませんか?

  • 寝ても疲れ目が解消しない
  • 朝から目がかすむ
  • 光をまぶしく感じやすくなった
  • 常に目が乾いてショボショボする
  • 目が重たい感じがする
  • 目が痛くなることがある
  • 一日中目がゴロゴロする

「このような長引く症状を感じているなら、角膜に傷がついているのかもしれません」
そう話すのは、杏林大学医学部眼科学教授の山田昌和先生。山田先生に教えていただいた、スマホ・パソコンなどの使用と角膜の関係性について紹介します。

スマホに集中時は、まばたきの回数が4分の1に減少!

2出典:stock.adobe.com

そもそも角膜とは、目の表面にある厚さ0.5mmの透明な膜のことです。レンズの機能を持ち、情報を正確に取り入れたり、眼球に光を取り入れたりする役割を果たしています。

山田先生「角膜の表面は、生きた細胞がむき出しの状態になっています。このむき出しの細胞は乾燥すると死んでしまうので、濡れていること、外からの刺激に守られていることがとても大切です。その役割を大きく果たしているのが、『涙』なのです

涙は、まばたきするたびに角膜の表面に均一に塗り付けられ、角膜を乾燥と外部の刺激から守っています。しかし、スマホやパソコンなどに集中していると、まばたきの回数が4分の1に減少すると山田先生はおっしゃいます。

山田先生「人間は通常、1分間に15〜20回まばたきをしていますが、VDT(パソコンやスマートフォンなどの情報機器)作業をしているときは、1分間に約5回と、非常に頻度が減ってしまいます。
目を開けた状態が続くと目の表面に乾いた部分ができ、角膜に傷がつきやすくなります。人間のからだには傷をカバーする修復力が備わっていますが、まばたきの減少が続くなどドライアイの要因が修復力を上回ると、角膜の傷が治らなくなります
目の乾きやかすみを単なる疲れ、加齢のせいだと放置していると、症状が深刻化することもあります」

スマホ・PCを使用時に気をつけたい5つのポイント

1出典:stock.adobe.com

角膜をケアするためには、普段から目のことを気にかけ、予防のためにアイケアを習慣化することが重要だと山田先生はおっしゃいます。

では、具体的にどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか? 山田先生に教えていただいた「スマホ・PCを使用するときに気をつけたい5つのポイント」を紹介します。

(1)1時間に1回、4〜5分間の休憩をとる
目の緊張をほぐすために、定期的に休憩をとり、目を休めるようにしましょう。

(2)意識的にまばたきをする
まばたきをすることで、角膜を保護する涙が均一にいきわたります。

(3)目先は下向きにする
ディスプレイが目線よりも上にあると、目の乾燥や疲れ目につながりやすいので、目線はやや下向きになるようにしましょう。

(4)エアコンの風が直接あたらない場所で行う
生きた細胞がむき出しになっている角膜は、外部環境の影響を受けやすく、乾燥に弱い性質があります。PCやスマホを使うときは、エアコンや扇風機などの風が直接顔にあたらないところで行いましょう。

(5)ディスプレイの照度を適度にする
ディスプレイが明るすぎると、目の疲れの原因になります。厚生労働省が発表した「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」によると、ディスプレイ画面上における照度は500ルクス以下が望ましいとされています。画面の明るさを調節して、快適な環境で行いましょう。

「起きているあいだ、目はずっと働いています」と山田先生。スマホ使用時は、目のことを考えて、意識的に休憩やまばたきをして、目の潤いをキープしましょう!

広告
saitaとは
広告