教えてくれたのは……有田玲子先生
伊藤医院副院長。医学博士。ドライアイ、またドライアイの中でも特に「涙のあぶらの専門家」として、 TV・雑誌・講演会・ワークショップ等を通じて精力的に活動。油不足ドライアイ関連の英論文は70本以上発表し、世界一となる。 2021年にYouTubeチャンネル『眼科医 有田玲子先生のドライアイ診察室』をスタート。難しいことをわかりやすく明るく解説することをモットーに、ためになる情報を配信中。
4人に1人の子どもが「涙が乾きやすい状態」になっている!
ドライアイ、また涙に含まれる「油」成分の専門家として、正しいアイケアの啓発活動を行っている眼科医の有田玲子先生。関東在住の500組の親子を対象に「まばたきテスト」を行ってもらった結果を聞いたところ、驚きの結果が出たとのこと。
「まばたきテスト」とは、まばたきをせずに目を開けている秒数を計測するというテストです。10秒以内に目を閉じた、まぶたが閉じようと動いた場合、ドライアイの可能性が考えられます。
調査の結果、大人も子どもも4人に1人が「涙が乾きやすい状態」で、角膜に傷がつきやすい状態であることがわかりました。
有田先生「子どもは、そもそも角膜を守っている涙の層が大人よりも厚く、角膜が傷つきにくい傾向があります。にもかかわらず、大人と同じ割合でドライアイの可能性が示唆されたことは、非常に問題だと考えられます」
子どものドライアイのサインとは?
子どものドライアイの背景には、PCやタブレットを継続して使用している状況が要因として考えられます。今回の調査によると、約8割の子どもが、週1回以上学習にPCやタブレットを使用していて、平日の平均利用時間は約2.5時間ということがわかりました。
「子どもが自分から『目が乾いた』『目が疲れた』などと言葉にして表現することはなかなか難しいもの。まわりの保護者が気にかけることが大切です」と有田先生。子どもが次のような仕草を頻繁にしているときは、ドライアイの可能性を考慮したほうがいいと教えていただきました。
CHECK!子どものこんな仕草はドライアイかも?
- まばたきが増える
- 目をこする
- パソコンやスマートフォンなどの画面に顔を近づける
- 目を細める
有田先生「ドライアイになったり、角膜に傷がついたりすると、視力低下につながるリスクがあります。近視が進んだと勘違いされることもあるのですが、残念ながらメガネの作成や作り直しなどでは改善しないことがあります」
親子でトライ!涙の質をアップする「まばたきエクササイズ」
有田先生がおすすめするのが、親子で「まばたきエクササイズ」を行うこと。まぶた付近の眼輪筋を鍛えてしっかりまばたきができるようになることで、角膜を保護する涙の「質」がアップするのだそうです。準備ゼロで今すぐ始められます。ぜひトライしてみましょう!
1. 2秒目を閉じる
2. パチパチと、軽くまばたきを2回する
3. ギューと2秒目を閉じる
4. パッと目を開いてまぶしい目をする
5. 指先で目尻と眉毛のあいだを押し上げて「キツネの目」をしたまま、目を閉じる
有田先生「1〜3は上まぶたを、4〜5は下まぶたを鍛える筋トレです。上まぶたの筋トレでは、眉間に力を入れずに上まぶただけを閉じるように、下まぶたの筋トレのときは、下まぶたが上に上がるよう意識して行うのがコツ。目尻と眉毛のあいだに指をおいて目を吊り上げてから目を閉じようとすると、下まぶただけを動かしやすく、効果的にトレーニングできます。
パソコン作業やゲームがひと段落したときなど、タイミングを決めてできるといいですね。ぜひ親子でいっしょに楽しく行ってみてください」
有田先生の調査によれば、親がアイケアをしている家庭の方が、子どももアイケアを実践している割合が高いとのこと。親子で「まばたきエクササイズ」を実践して、目の健康を保ちましょう!