高一クライシスとは?
高一クライシスとは、高校へ入学した生徒が環境や自身の内面の変化に上手く適応できず、落ち込んだり、体調を崩してしまう傾向。
事前に知っておきたい高一クライシスの例やタイプ、親の心構えを考えてみます。
エピソードから考える「高一クライシス」
Aさんの場合
中学では毎日明るく学校に通い、成績も部活も良好、友人関係にも目立った問題がなかったAさん。
高校入学直後に仲良くなれた子は選択科目がバラバラで次第に疎遠に。クラスで上手く居場所を作れないまま夏休みになってしまう。夏休み中、SNSでは部活やバイト、友達と遊ぶなど充実したクラスメイトの姿を見るたびに劣等感を抱くように。自分が何をしたいか、何から始めたらいいのかもわからず、「2学期以降は学校に行きたくない」と母親に打ち明ける。
中学生活と高校生活の大きな違いのひとつは「自由度の高さ」。
決められた授業、テスト、部活をしっかりこなすのが得意な優等生タイプの子が躓きやすいところです。
どんな授業を選択すればよいのか、部活をやろうか、バイトを頑張ろうか。
スタートが上手くきれないと、取り残された気持ちになってしまうんです。
また最近は、SNSで同年代の子がどんな風に日常生活を過ごしているのかも見れるので、自由度を活かして楽しんでいる子が「リア充」に見えるのもこの世代の特徴。
「もう高校生なんだから」と手放すのがよい子もいますが、Aさんのような子には「まだ高校生だもんね」と寄り添いながら一緒に考えるのがおすすめです。
また高校入学を控えている子は、どんな高校生活にしていきたいか、リストを作ったり、親子で相談しておくのもよいと思います。
Bさんの場合
中学までは地元の公立で過ごしたBさん。
希望の高校に進学し、力をいれたかったバスケットボール部に入部。しかし、周りは自分よりも背が高くパワフルに動ける子ばかりで自信を失くしてしまう。また、中学までは勉強が「できる方」だった成績も平均以下。今まで褒められてきた言葉は嘘だったのかと感じ、部活も勉強も投げ出してゲームばかりやる日々に。
高校に入ると、地元では活躍していた子が「できる方」ではいられなくなってしまうときも多いです。
特に受験勉強を頑張って進学校に入ると、入学後、周りとの差に圧倒される子も。
また、中学・高校の期間で体格に大きく差が表れ始めるので自身の容姿をコンプレックスに感じる子も増えてきます。
まずは第三者の視点で見てBさん自身と周りにどんな変化が起きているか伝えるのが大切です。
そして、「今まで頑張ってきたことを続けてもいいし、新しい何かを始めてみる機会にしてもいいね」と提案するのがおすすめです。
勉強を頑張りたい子は塾でフォローアップを受けたり、部活で上手くいかなかった子はクラブチームに入ったりするのもひとつ。
また、バイトやボランティア、資格や検定など、新しい世界に目を向けられるのも高校生の特権です。
親と「さなぎの時期」との付き合い方
高校に進学すると、通学時間や学習内容が変わるだけでなく人間関係も大きく変化します。
また、10代前半から後半になるにつれて、自身の内面も大きく変化していきます。
身体の変化はもちろん、自分に対しての考え方、他人の視線の感じ方、親との距離感など。
これらの変化に、受験というひとつの山場を乗り越えてほっと一息ついたところで気になりだす子が多いです。
一方親側は、反抗期・思春期と頭ではわかっていても、「うちの子はどうしちゃったんだろう」と感じる方がほとんど。
思春期は「さなぎの時期」といわれています。
成虫になる準備をしているさなぎの内側では、外からはわからないすごい変化を日々繰り返しているんです。
そんな自分の変化についていけず、戸惑い、イライラしたり八つ当たりしたり、情緒不安定になるのが思春期の特徴のひとつ。
さなぎの腹を割って見ようとするのではなく、そっと背中をさすってあげられるような接し方が支えになると思います。