教えてくれたのは……科学する料理研究家・キッチンまわり評論家さわけんさん
料理を科学的に考え、レシピを考えるレシピの達人。辻調理師専門学校では西洋料理を11年間教え、フランスのレストランに勤務経験がある元フランス料理のシェフさわけんさん。ユーチューブチャンネルの「さわけんシェフTV sawaken’s cooking ch」では、料理の役立つテクニックを発信。
唐揚げが固くなる・ぱさつく原因は温度
今回ご紹介するのは、唐揚げです。みなさん、お好きな唐揚げをからっと揚げたいと思います。なぜぱさつくのか、なぜ固くなるのか。固くなる原因は以下の2つです。
・生肉は60度で固まる
・65度くらいで水分が出て、そして縮んで固くなる
これが唐揚げが固くなる主な原因になります。温度の問題が一番あるのです。
ひと工夫をするとぱさつかない!
生肉が固くなる温度は変えられませんが、ぱさつく温度などを知っていると、ぱさつかずにジューシーな唐揚げができあがります。
漬け込んだり、柔らかくする
肉を塩分に漬け込むと肉が固くならず、ふわっと縮まり、65度を超えてもぱさつきづらくなります。そして食べたときに、やわらかく感じます。
肉を柔らかくする方法は、肉をたたいておく、刺して穴をあける、肉のタンパク質を分解する酵素を使って肉全体を漬け込む方法があります。これらを行うと、筋肉の繊維自体が柔らかくなります。
肉の温度を上げない
肉の温度を上げすぎないのも重要です。肉の温度を上げ続けると、水分が抜けてぱさつきます。
あまり温度が低いと食中毒問題などもあるので温度は上げたいところですが、目安は70度くらいに火を通すといいでしょう。家庭で食べる分には、最初に菌をつけない努力も大切です。
固くならない唐揚げの揚げ方
準備
・水道水で鶏肉を洗う
鶏肉に菌がついていたら嫌なので、水道水で鶏肉を洗います。唐揚げにする場合は、酒やしょうゆなど水分の多いものに漬けるので、多少水が鶏肉についても影響はありません。
1.鶏肉をつけダレに8時間漬ける
ひと口大に切った鶏肉を生しょうがと塩分に漬けます。塩分は塩やしょうゆ、なんでもいいです。自分が作る唐揚げに合わせて、塩分は選んでください。
ポイント
生しょうがには、肉を柔らかくする酵素が入っています。すりおろしたしょうがに鶏肉をまぶしておいておくと、柔らかくなります。
塩分は鶏肉の保水力を上げます。塩分に肉を漬け込むとお肉がきゅっとしまって、その状態になっておくと、水分がなかなか外へでなくなります。
2.下粉として薄力粉を混ぜる
鶏肉250〜300gに対して、大さじ2(20g)の薄力粉をつけます。薄力粉を鶏肉にまぶしたら、菜箸でよく混ぜます。
3.水を足して衣をつくる
薄力粉をまぶして混ぜた鶏肉に、水(小さじ2)を足して、衣にします。水を足したあとは、菜箸で混ぜます。
4.袋に表粉を入れる
表粉を袋に用意します。
5.皮を伸ばして鶏肉を袋に入れる
皮を伸ばした鶏肉を、表粉が入った袋に入れます。そして袋を振ります!
6.160度の油に多めに肉を入れて下揚げをする
設定温度で160度にセットします。肉を多めに入れて、油の設定温度を落とします。1〜2分下揚げをします。2分経つと表面は白いけど、鶏肉は固まっている感じになります。
7.余熱調理をする
油から上げて5分放置で、中まで火を通します。
ポイント
肉の温度を上げすぎないようにしたいので、ここで余熱で肉の中に火が通っていきます。肉の中心温度は食中毒に注意が必要なので70度くらいになるようにしましょう。
表面に色をつけるために、高温の温度で2度揚げします。そのとき唐揚げの表面は水分がとんでカリッとなります。
8.油の温度を190〜200度に設定し、1つずつ鶏肉を揚げる
190〜200度に設定し、温度を上げます。温度が190〜200度になったら、鶏肉を1つずつ揚げます。
ポイント
1つずつ揚げると高温を保て、色づきが早いです。2度目は1分でいい色をつけるように調温します。1個目がほぼ揚がったら、2個目を入れてもOKです。
9.いい色がついたら、取り出す
唐揚げにいい色がついたら取り出し、油を切ります。食べやすい大きさに切るなどをして、お皿に盛りつけて、できあがりです。
からっと揚げる「唐揚げの揚げ方」をご紹介しました。生しょうがや塩分、温度に気をつけると、唐揚げが固くならずにジューシーに作ることができますよ。
プロならではのさわけんの唐揚げレシピ、普段の唐揚げのつくり方に取り入れてみてはいかがでしょうか?
※こちらの記事は元動画の提供者さまより許可を得て作成しております。