座談会参加者のみなさん
ユキさん
同居年数:2年(結婚7年目、27歳から)
家族構成:5名 夫27才、私27才、長男6才、次男4才、三男2才
同居先:義父、義母、義妹
花吉さん
同居年数:22年(26-48歳)結婚後すぐからコロナ禍まで
家族構成:5名 夫、私、娘、息子、息子
同居先:義父、義母、義祖母(13年目で他界)、義姉
さなえさん
同居年数:13年(30-44歳)
家族構成:4名 夫、私、子ども(13歳・9歳)
同居先:義父、義母
キッチンが一緒なのはきつい!同居の実態
――みなさんが同居をすることになったきっかけを教えてください。
ユキさん:結婚7年目に同居をしました。同居の理由はお金を貯めるためです。お金が貯まったら早めに出るつもりではじめた同居でしたが、結局2年ほど続きました。
花吉さん:私は夫の実家が自営業をしていて、夫は長男。私の実家も父方の祖母が同居していたので、結婚したら同居が当たり前なのかなぁという気持ちであまり深く考えずに同居をはじめました。
さなえさん:結婚前から夫に「ゆくゆくは地元に帰って起業したい」と言われていたので、その約束通り結婚5年目に夫の地元に移り住み、同居がスタートしました。
――同居をされていたお家の間取りを教えてください。
ユキさん:3LDK(約80平米)のマンションです。そのうちの1つの部屋で私たち夫婦と子ども3人が寝ていたのでとても手狭でした。子どもたちが小さかったからできたことだと思います。
花吉さん:うちは、1階が店舗になっていて、2階にキッチン、お風呂、義両親の部屋があり、私たち家族は3階で生活していました。3階にはおばあちゃんもいて、キッチン、お風呂は全て共用でした。
さなえさん:同居を始める前に二世帯住宅を建ててくれていたのですが、キッチン、お風呂は一緒。二世帯住宅というよりは部屋数が多い一軒家という感じでした。同居2年経った頃に、キッチンが一緒なのはきつい! となり、キッチンを増築して別々にしてもらいました。
――やはり、キッチンやお風呂が共有なのは同居生活の中でもデメリットになるのですね。
ユキさん:デメリットしかなかったですね。義両親が仕事をしていたので、私が朝1番に起きて朝ごはんを作らないといけないし、19時頃に帰ってくる義両親のために夕飯も作らないといけない。子どもたちの送迎だけでもクタクタなのに、義両親が帰ってくる前には子どもたちの食事も終えていなくてはいけなくて、本当に大変でした。
花吉さん:私も、義両親が21時まで仕事をしていたので食事作りを担当していました。義両親が帰ってくる時間までに子どもたちの夕飯、お風呂などを終わらせて寝かせなくてはいけないのは本当に毎日大変でした。
さなえさん:私は、同居してすぐの頃に自分が使っていた調味料とか食材をしまいたくて、キッチンの片付けをしたことがあるんです。物が溢れている家だったので、賞味期限が過ぎているものをちょっとずつ片付けていたら、お義母さんが泣いちゃったんです。私に物を捨てられたことが情けなかったみたいで。とっておいても仕方ないものを片付けてもそんな感じだったので、あぁ、これから大変だなぁと覚悟した瞬間でもありましたね。
“我慢が美徳”は自分を苦しめる
――ちょっとお話を聞いているだけでも大変だなぁと感じますが、同居をしてよかった点やメリットがあれば教えてください。
ユキさん:家事がきちんとできるようになったことかな。やらなくてはいけない環境の中で2年間を過ごしたのは、私にとって修行期間だったなと思っています。
花吉さん:修行の期間! すごくわかります(笑)。私は、子どもたちに、私たちだけでは見せてあげられないものを見せてあげられたことです。例えば、お仏壇に毎日挨拶をするとか、定期的にお墓参りに行くとか。生きていく上で知っていて損はないことを教えられる環境だったかなと。あとは、「同居している」と言うと、必ず「えらいねぇ!」と褒めてもらえたんです。知らない人からも(笑)。それが励みになりました。
さなえさん:地域のことがよくわかったことです。義実家はその土地に住んで長いので、いろいろな情報が入ってきたんです。まわりに親戚もたくさん住んでいたので、子どもをたくさんの人に見守ってもらえる環境だったというのはすごくよかったかなと思っています。
――同居中に起きたことで、「今思えば、こうしておけばよかった」ということはありますか?
ユキさん:コミュニケーションをしっかり取ったほうが良いと思います。あの頃はわからなかったけど、ちゃんと伝えておえば違ったのかな? と思うことはたくさんあります。同居を解消した今のほうが、コミュニケーションがしっかりとれていて関係が良好なので。
花吉さん:私、最初の5年間くらい、常に反乱を起こしていたんです(笑)。話し合いをするたびに家の空気が重くなるようなことを繰り返してきたのですが、あるとき、余計なことを言うのをやめようと心のスイッチを切ることにしたんです。どんなときもニコニコして、「良いですよ」とやるようにしたら、どんどん私のやることが増えてしまいました。どちらがよかったかはわからないけど、何をしても自分が辛いなら、言うべきことは言うというのは大事だったかなと思います。
さなえさん:私は、調味料を捨てて泣かれたときに、「反抗したらいけないんだ」「従わなきゃいけないんだ」ということを瞬時に理解したので、花吉さんと同じように、笑って「はい」と言うようにしました。顔で笑って、見えないところでストレスを溜めるということがそこで決まってしまいました。結果として、それがよくなかったと思っています。我慢した分は必ずどこかで爆発するんです。私たち世代は、我慢が美徳みたいな育てられ方をしてきた世代だけど、我慢したことが結果自分を苦しめたと反省しています。何かあったときには、都度話し合いをしていたら違ったのかなと。長く続けるには、距離感も大事ですけどね。
同居を経験した3人のママたちのお話、いかがでしたか? やはり、同居には大変なことはたくさんあるようです。しかし、同居で感じたメリットについてのお話もとても興味深かったです。
核家族が増えているこの時代、三世代が1つ屋根の下に暮らすことで、子どもたちは、失われつつある日本の伝統や風習を知り、経験することができる。子どもの頃に、こういったことを経験できるのは人生の宝ですよね。
また、ご自身にとって修行だったというお話も、その経験が生きているということ。いやな面ばかりではなく、そういったポジティブな面も知ることができるお話でしたね。次回は、3人のママたちに、同居のその後について聞いてみました。