気づいたら「しこり」があった…。「太ももの付け根」にできるしこりの放置はNG

心と体

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2024.02.18

「なんだか太ももの付け根にコリコリとしたしこりがある」。そんなお悩みを持つ女性は少なくないようです。たとえ痛みがなかったとしても、デリケートな場所にしこりができると、病気などが心配になるものですよね。今回は、東京外科クリニックの大橋直樹院長に、鼠蹊部にしこりがあるときのNG行動と考えられる病気について教えていただきます。

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教えてくれたのは……大橋直樹院長

大橋院長出典:www.tokyogeka.com

日本外科学会認定外科専門医。日帰り手術専門施設・東京外科クリニック創設者
2004年日本医科大学卒業。臨床研修修了後、慶応義塾大学医学部外科学教室入室。2010年まで同教室助教を務め、その後は民間病院で腹腔鏡手術の術式開発に尽力し、2015年より現職。腹腔鏡による鼠径ヘルニア修復術の実績多数。

しこりを押すのはなるべく避けて!

鼠径部出典:stock.adobe.com

太ももの付け根、いわゆる「鼠径部」にしこりがあって悩んでいるという方はいるでしょうか。デリケートな場所ということもあり、なかなかまわりに相談しづらいものですよね。気になって指でしこりを何度も押したくなってしまうかもしれませんが、それはNG! 東京外科クリニックの大橋直樹院長は、「硬くなっている場合は無理に押し込まないで」と解説します。

大橋院長 「鼠径部のしこりがやわらかく、指でやさしく押して一時的に平らになるようなら、鼠径ヘルニアである可能性が高いですが、自己判断せず医師の診察を受けてください。運動制限などはとくにありませんが、動くと気になるなるなど、日常生活の妨げとなっている場合は早めの受診が望ましいです」

鼠径部にしこりがあるとき考えられる病気

鼠径部のしこりは、手で触るだけでわからなくても、「たいがいは超音波やCTといった画像検査で鑑別がつきます」と大橋院長。検査することでどんな病気か診断することができるとおっしゃいます。

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では、鼠径部にしこりがあるときに考えられる病気には、どのようなものがあるのでしょうか。大橋院長に教えていただいた5つの病気を紹介します。

鼠径ヘルニア

鼠経ヘルニア出典:stock.adobe.com

いわゆる「脱腸」のこと。柔らかい膨らみが特徴で、痛みや違和感は、ある場合とない場合があります。
【診断】視診や触診、超音波検査などにより、腸や、大網と呼ばれる腹膜といった腹腔内臓器が鼠径部に認められます。
【治療】自然に治ることはなく、手術が唯一の治療方法です。開腹せず、「腹腔鏡」と呼ばれる器具を使用して手術することにより、小さいキズで行うことができます。近年では日帰り手術も普及しています。

ヌック管水腫

鼠径ヘルニアに似た疾患で、女性特有の病態です。本来は出生とともに消えていく「ヌック管」の内部に液体がたまり、多くは硬くなって痛みを伴います。
【診断】超音波やCTなどの画像検査で、液体がたまっているかを確認します。
【治療】手術が必要です。鼠径ヘルニアと間違えられることがあり、専門家の正しい術中診断が求められます。

子宮円索静脈瘤

子宮円索静脈瘤出典:stock.adobe.com

妊娠に伴って生じることが多いです。しこりが柔らかいので鼠径ヘルニアと誤診されることもあります。妊娠終了後に自然治癒することもありますが、血栓を伴う場合は手術を要することもあります。
【診断】超音波検査で確認します。
【治療】分娩後に自然治癒しない場合や、血栓と疼痛を伴う場合は手術が必要です。

子宮内膜症

子宮内膜症出典:stock.adobe.com

【症状・特徴】本来、子宮の中にあるべき組織が子宮以外で発育してしまう状態を子宮内膜症といいます。子宮の中にあるべき組織が鼠径部に発生して、鼠径部にしこりを感じることがあります。しこりは硬く、大きさや痛みが月経周期に連動することもあります。
【診断】超音波検査で検査しますが、それだけでは診断確定できません。
【治療】手術による治療、もしくは婦人科的な薬物治療を行います。

リンパ節の腫大

下肢の外傷や炎症をきっかけに、鼠蹊部にしこりが生じることがあります。性感染症が原因のこともありますが、特に理由なくできることもあります。
【診断】超音波検査を行います。
【治療】リンパ節炎の場合は抗生物質で治療します。悪性リンパ腫の場合は血液内科で化学療法を行います。

そのほか、粉瘤と呼ばれる全身どこにでも発生する可能性のある皮膚の病気により、しこりができることもあります。炎症を伴うと熱感や痛みを伴い、放置すると破裂して排膿する恐れもあります。
超音波検査やCT検査は、痛みを伴うことはほぼありません。太もも付け根のしこりが気になるときは、そのまま放っておかず、病院を受診して相談するようにしましょう。

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