パパ、怒ってるの?
ある夜のことでした。娘といっしょに寝室へ行ったとき。ぼくはベッドの上でスマホをいじりながら仕事をしていました。どうしても急ぎの案件があり、その対応をしなくてはならなかったのです。その横で娘が色々と話しかけてくる。それを適当に聞き流しながら、僕はスマホに夢中になっていました。すると、
「パパ。怒ってるの?」
ふいに娘が聞いてきたのです。ドキッとしてしまいました。「そんなことないよ」と言いつつも、ここ最近疲れて機嫌が悪かったことが頭をよぎりました。なるべく不機嫌な顔は見せないようにしようと気をつけていたつもりでしたが、どうしたってすべての態度を隠し通すなんてことはできません。
本当にささやかなやり取りでしたが、このときの娘の一言がその後もずっと僕の中に残り続けました。
機嫌は家族に伝播する
「子どもを笑顔にしたいなら、まずは自分が笑顔になろう」これは、僕がある先輩パパから聞いた言葉です。
5年くらい前に聞いた言葉ですが、今でも大切に覚えています。
親の機嫌は、家族に伝播していきます。それはよい機嫌も、悪い機嫌もどちらも関係なくです。
子どもの前では一生懸命取りつくろったり、なるべく笑顔でいようとしてみたり、空元気を出してみたりもしますがそんなことは長続きしません。
上手に機嫌の良いフリができるようになるのではなく、結局は本当に自分をゴキゲンにしてあげるしかないのです。
自分をゴキゲンにする覚悟を持つ
自分をゴキゲンにしてあげるには、覚悟が必要です。
特にいま、毎日が不機嫌だったり、なかなか笑顔でいられないほど大変だという人にとっては、ちょっとした痛みすらともなうかもしれません。でも、自分をゴキゲンにして、子どもや家族もゴキゲンに過ごせるようになるためだったら、覚悟を決めるのも悪くないと思いませんか。
覚悟を持つとは、言い換えれば優先順位を決めるということです。時間の使い方や、家族との過ごし方、仕事のやり方や健康のあり方についてどうすれば自分がゴキゲンでいられるのかを知っておくことが大事になります。
やっておいた方がいいと思うことをやってみることと同時に、やらないことを決めて、切り捨てる覚悟も必要となります。そして、どちらかと言うとやらないことを決める方が難しく、痛みをともないます。
だから「覚悟」が必要なのです。
「夜は家で仕事をしない」「テレビを見てだらだら過ごさない」「夜ふかしをしない」「残業を極力しない」など。自分がやってしまったあとに後悔したり、もっと違う過ごし方をすればよかったと思うことを切り捨てるのです。少しずつ自分の無駄な行動を切り捨てていくと、それと引き換えに自分がどんどんゴキゲンに過ごせるようになっていると気がつくでしょう。
今日がもし、家族と過ごす最後の1日だったとしたら
それでもイライラしたり、疲れていたりする日はいくらでもあるでしょう。家族の相手をするのが面倒なときだってある。そういうときは一人になることも大事です。でも、それだけじゃなく僕は次のように自分に言い聞かせています。
「今日がもし、家族と過ごす最後の1日だったとしたら」と。
災害や事故、どんなに気をつけていても突然の不幸に見舞われることもあるかもしれません。
不機嫌なまま、家族と離れ離れになるとしたら、それほど辛いことはありません。
もし、今日が子どもと過ごす最後の日だったら。スマホを見ながら適当に相槌なんてうたないでしょう。面倒くさい、うるさいと、無下にしないで一緒に話をするでしょう。顔を見ながら、笑いかけながら。
本当に今日が最後の1日になるわけではありません。でも、頭の中でそうやって自分に一言問いかけてみるだけで、いつもよりこの一瞬を愛おしく感じられます。
そして、そうやって過ごせたとき。とても気持ちがいいのです。スキマ時間を使って仕事をしたり、スマホに夢中になって子どもの話を無視したり、適当に叱り飛ばしたりしたときの、何百倍もゴキゲンになることができます。
ゴキゲンに、子育てや毎日の生活を楽しみたいですね。