教えてくれたのは……鶴町宗大(つるまちむねひろ)先生
医学博士、皮膚科専門医。医療法人 鶴町会 理事。獨協医科大学医学部卒業後、順天堂大学浦安病院 皮膚科教室にて研鑽を積み皮膚科専門医を取得。現在、つくば・土浦鶴町皮膚科クリニックの副院長として、皮膚科・美容皮膚科を通じて、健康で美しい肌の実現を目指して、肌の悩みをトータルにサポートできるよう診療を行っている。
帯状疱疹後神経痛とは?
まず帯状疱疹とは、水痘(水ぼうそう)に罹患した後に、ストレスや免疫機能低下などの影響により体内の神経節に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化により、神経の支配領域にそってピリピリ・チクチクとした痛みが先行し、その後、帯状に皮疹(水疱や赤みなど)が出現する病気です。皮疹は、胸部や顔面をはじめ、腹部・背部・上肢・下肢等にも出現します。
そして帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹の皮疹が改善したあとも続く痛みのことです。帯状疱疹の合併症としては頻度が高く、約20%が帯状疱疹後神経痛に移行すると言われています。
症状としては、刺す様なチクチクとした痛みが繰り返す、焼けるようなズキズキする痛みが続く、電気が走るような痛みなどがあります。
帯状疱疹後神経痛になりやすい人の7つの特徴
・高齢(50歳以上)の方
・自己の疾患や使用している薬剤による免疫抑制状態がある方
・女性の方
・皮疹が顔面領域の方
・皮疹が広範囲、重度の方
・帯状疱疹が出現した際の痛みが強い方
・帯状疱疹の治療(抗ヘルペスウイルス薬)が遅れてしまった方や治療しなかった方
などが指摘されています。
帯状疱疹後神経痛の痛みと対策
帯状疱疹後神経痛に悩む方のうち約3分の1は症状が3か月以上、約5分の1は症状が1年以上続くとされています。また、痛みが数年続く場合もあります。
帯状疱疹後神経痛の治療としては、各種の鎮痛剤内服やペインクリニックなどでの神経ブロック療法などが知られていますので、専門の医療機関での治療をおすすめします。
また、帯状疱疹後神経痛は寒冷刺激(寒さ)により悪化することが知られていますので、外出時および夜間早朝にはなるべく患部を冷やさないようにすることが重要です。
そして、衣類と患部が擦れたりすることで痛みが増してしまうことがあるので、なるべく衣類と擦れないように工夫をしてみることも大切です。
帯状疱疹後神経痛を防ぐには?
帯状疱疹後神経痛に移行しないためには、帯状疱疹の治療(抗ヘルペスウイルス薬の使用)を早期に行うとともに、初期の痛みを適切に抑えることが重要だと考えられています。
また、そもそも帯状疱疹に罹患しないために”帯状疱疹予防ワクチン”の接種を検討するとよいでしょう。
次回は「帯状疱疹後神経痛」への移行後に痛みが改善したケース・痛みが長引くケース、3つの事例についてご紹介します。