教えてくれたのは……福田 頌子先生
愛知医科大を卒業後、大学病院での診療をしながら、同大学にて博士号を取得。現在は愛知県尾張旭市にて「あさひの森 内科消化器クリニック」を開業。消化器病専門、消化器内視鏡専門医でありクリニックでは胃カメラ、大腸カメラも行い、「便秘下痢外来」を開設し多くの方の診療を行っている。
腸内環境が悪くなってしまう人の「3つのNG習慣」
腸内環境が悪いと感じている方は、日常生活の習慣を見直すことで改善される場合があります。ここでは、避けたほうがよい3つの習慣をご紹介しますので、心あたりがある方はチェックしてみてくださいね。
NG1.朝ごはんを食べない
「便秘」は、腸内環境を悪化させる要因のひとつです。朝食を摂らないことは、便秘を引き起こす原因となります。
睡眠中でも腸は収縮(蠕動運動)をして、便を先へ押し出す動きをしています。睡眠中にS状結腸まで移動した便は、朝食を摂ることで大腸の動きが活発になり、直腸へと移動して便意を感じます。これは「胃結腸反射」と呼ばれています。
したがって、朝食を摂らないと腸の動きを促すスイッチが入らず、便秘の原因となるのです。
NG2.プロテインの摂取
プロテインの摂取は、もはや一過性のブームではなく、日本人にとって新たな習慣だと言えるのではないでしょうか。
日本人はタンパク質の摂取が不足しているため、タンパク質を摂ること自体はおすすめです。しかし、体質によっては腸内環境が悪化する場合もあるため、注意が必要です。
タンパク質に多く含まれる窒素は、体内でアンモニアとなり、ニオイ(体臭)の原因になることがあります。ソイプロテインには食物繊維が多く含まれているため、人によっては食物繊維の作用が強すぎて下痢や便秘を引き起こす場合も考えられるのです。また、プロテインに付加されている人工甘味料含む添加物も、腸内環境を悪化させる場合があります。
プロテインを摂るようになってから、
- おならが増えた。
- ニオイが強くなった。
- 便秘や下痢になった。
上記のような不調を感じるようであれば、プロテインの摂取を見直すとよいかもしれません。
NG3.薬の長期使用
代表的なものは、「抗生物質」と「胃薬」です。
「抗生物質」
抗生物質は病原菌や病原性細菌を排除する一方で、腸内の健康な細菌群も破壊する可能性があります。これによって腸内のバランスが崩れ、有害な菌の増殖を招くことがあります。
抗生物質による腸内細菌の破壊は、食物の消化や栄養の吸収に悪い影響を及ぼしたり、消化不良や下痢を引き起こしたりする場合があります。これは、消化管内の健康な細菌が不足しているためです。
「胃薬」
胃の不調に対して病院でよく処方される薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、腸内環境の悪化につながることがあります。PPIは主に胃酸の分泌を抑制する薬です。
胃酸は、食物中の病原菌や有害な細菌の除去を助ける役割をもっています。PPIによって胃酸の分泌が低下することで、これらの細菌の排除が減少し、腸内で有害な細菌の繁殖を促進してしまう可能性があります。
みなさんに意外と知られていない、腸内環境の悪化につながる習慣をご紹介しました。健やかな毎日を過ごすためにも、“腸の健康の見直し”をおこなってみてくださいね!