教えてくれたのは……内科消化器クリニック院長 福田頌子さん
愛知県にある「あさひの森 内科消化器クリニック」の院長。消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、内科認定医、医学博士の資格あり。クリニックでは保険診療「便秘下痢外来」を開設し、自費診療では「腸内細菌外来」を開設し日々診療を行っている。
NG1.菓子パン
お腹の中でガスを発生しやすい「高FODMAP」という食品があるのですが、小麦粉は「高FODMAP」の代表格。
高FODMAPは小腸で消化されず、大腸へ到達すると、腸内細菌がエサとして食べます。すると腸内細菌は大腸の中で異常な”発酵”をおこしガスを大量に発生してしまうのです。
菓子パンに含まれるトランス脂肪酸や添加物が、腸内の有益な細菌(善玉菌)を減少させ、有害な細菌(悪玉菌)の増殖を促進する可能性があります。そして腸内のバランスが崩れ、炎症や消化トラブルの問題が引き起こされることも。
また小麦粉に含まれるグルテンは、セリアック病や小麦アレルギーを持つ方々にとって問題となります。これらの病気の場合、グルテンによって腸粘膜が損傷し、炎症が引き起こされる場合があります。
NG2.オートミールや玄米
オートミールや玄米には食物繊維が多く含まれています。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。オートミールは水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が多く含まれており、なかでも「不溶性食物繊維」の割合が多いという点が特徴的。
不溶性食物繊維は一般的に”腸に良い食べ物” “便通がよくなる食べ物”とされていますが、もともと便秘の人や腸の動きが弱い人が過剰に摂取すると、逆に腸内環境が悪化したり、さらに便秘が悪化する可能性があります。
オートミールを始める時は、まずは1食30g以下の少量から食べて体の反応を確認しましょう。
NG3.ヨーグルトや牛乳
腸活の代表格の「ヨーグルト」や日本人が小さい頃から当たり前に飲んでいる「牛乳」。場合によっては、腸の不調を引き起こしている可能性があります。
牛乳やヨーグルトには「乳糖(ラクトース)」が含まれています。ラクトースを体内で消化するためには「ラクターゼ」という酵素が必要なのですが、人によってはラクターゼを持っていません。もしその人が摂取した場合、小腸では乳糖が高濃度になってしまい、高濃度の乳糖の濃度を薄めようと小腸が水分を分泌して便を柔らかくします。
もともと便秘の人にとっては「便通がよくなった」という効果として現れますが、そうでない人の場合は下痢になってしまうこともあります。このような状態を「乳糖不耐症」と呼び、重症度はさまざまですが、日本人は3人に2人はこの乳糖不耐症と言われています。
また乳糖は前述の「高FODMAP」食品でもあり、場合によっては腸内細菌の餌となり大量のガスが発生する場合もあります。
NG4.プロテイン
最近、トレーニングをする人も増え人気の「プロテイン」
プロテイン(タンパク質)はエネルギーを産生する栄養素で唯一「窒素(ちっそ)」を含んでいます。この「窒素」は腸内細菌の中でもお腹の不調をきたす原因となる「悪玉菌」のエサになってしまいます。その結果、悪玉菌の割合が増え、腸内環境の悪化を引き起こします。
またプロテインは前述の乳糖や人工甘味料も多く含まれる場合もあるので注意が必要です。大事なのは、プロテインを飲みだしてから、お腹の調子が悪くなっていないかをしっかりと見極めること。腸内環境の悪化がある場合は含まれる人工甘味料を確かめ、飲む量や種類を変えてみるのもおすすめです。
腸と相談しながら食べ物を考えよう
人によって向き不向き、また腸の状態や、体質は異なりますので上記の食べ物が絶対ダメではありません。朝食に取り入れることで不調が出る場合は、食材や量を変えて様子をみるようにしましょう。