教えてくれたのは……北原 万紀さん
株式会社GSE コンサルティンググループ 代表取締役・エグゼクティブコーチ
「女性のチカラで、社会・世界・未来を変えていく」をコンセプトに、女性リーダー育成事業、CEO・管理職向けエグゼクティブコーチングを展開。女性がエンパワーする私たちが生きたい社会づくりや、子どもたちに継承したい未来づくりのためのリーダーシップ教育をおこなっている。
「人間関係リセット症候群」とは?
突然連絡が途絶えた人がいて、「どうしたのだろう」と心配になったことはありませんか? また、自分自身が人間関係から距離を置きたいと感じたことがある人もいるかもしれません。
北原さんに、「人間関係リセット症候群」の特徴やメリット・デメリットについて教えていただきました。
北原さん「人間関係リセット症候群は正式な医学的診断名ではなく、人間関係から生じるストレスから逃れるために、既存の人間関係を断ち切っては新しい環境を求めることを繰り返す現象を指します。
このような状況に陥りやすい人には、ストレスの原因になっているものとの直接的な対立を避けるため、新しい選択肢や環境が常に理想的に見える特徴があります」
メリット・デメリット
北原さん「短期的にはストレスを回避したり軽減されたりするメリットがありますが、根本的な問題解決には至りません。人を信頼できないことから、人間関係で深い心のつながりを築くことや安心感を得ることが難しく、心のどこかで孤立感を抱えてしまうデメリットがあります」
40代女性がリセットしたいと思う「3つの原因」
人によって、環境が大きく異なることがとくに多いとされる40代女性。人間関係をリセットしたいと思う原因は、どのようなことなのでしょうか。北原さんは3つの原因を挙げられています。
北原さん「40代女性が人間関係をリセットしたくなるのは、さまざまな原因が考えられます。たとえば、以下のとおりです。
1.職場や家庭での競争的な環境、待遇の不公平感などによる疲労やストレスの蓄積
2. 子育ての終了、更年期、親の介護など、生活の変化などのライフステージとアイデンティティの変化
3. 自己成長や自己実現から生じる環境変化への欲求
などがあります。いずれにも共通しているのは、『本来のわたしはこのような人間である』という自分自身に対する認識と、『私はこうあるべきだ』という外からの期待との間のギャップに耐えられなくなることです。
しかし、こうした内的葛藤は人間の成長や成熟の過程において自然なことです。『どうするとよい方向に進んでいけるのか』適切な対処法を知らないことのほうがより大きな問題であると言えるでしょう」
人間関係をリセットする人には共通点がある
人間関係をリセットしてしまう人の心理や生活環境には、共通点が見られるとのこと。“自分よりも権威があると思い込んでいる存在”からのストレスが大きく関わっていることが多いのだと、北原さんはおっしゃいます。
北原さん「冒頭でも触れたとおり、人間関係をリセットしようとする人はストレスの原因が人間関係にあると見て、『その関係から距離をおくことが解決策になる』と思い込む心理的特徴があります。
多くの場合、人間関係で繰り返されるストレスには本質的な問題が潜んでいます。
その背景には、親、教師、上司、社会的倫理など、自分よりも権威があると思い込んでいる存在があり、その権威に抑圧されることで自分自身への信頼を失ってしまうことにつながるのです。
そのため、人間関係に非現実的な期待を持ちつつも、それが満たされないことへの失望感も同時に抱えています。その結果、現実からの逃避として人間関係をリセットすることになるのです。
持続的なストレスが多い職場や家庭環境にあり、そこで身近な人や社会的なサポートが不足していると感じる場合、孤立感を抱きやすくなり、人間関係を維持することが難しくなる傾向があると言えます」
そこで知っておくとよいのが、人間関係リセット症候群の人への適切な対応の仕方です。次回の記事で詳しくご紹介します。