「じゃあそうする」「どっちでも大丈夫」と言いがちなわが子
小さい頃から周囲よりワンテンポゆっくりめの穏やかな長女。活発で主張が強い次女とは異なり、自分の意見をほとんど言わない。親から聞いても「わからない、どっちでも大丈夫」と答えてばかり。本人が決められないので、親が「じゃあこうしようか、こっちにしたら?」と言うと、素直に「じゃあそうする」と答える。素直で育てやすい半面、このままで大丈夫かな? と少し心配。
「自己主張が強くわがまま」と聞くとネガティブなイメージがありますが、社会にでたときに自分の意見を相手に伝えられる人は重宝されます。一方、「控えめで相手に合わせる」と聞くとどうでしょう。柔軟性や協調性がある点では肯定的ですが、自分の意見がなく決断力に欠ける点ではマイナスですよね。
親の言うことを素直に聞く子は、親から見ると育てやすいよい子に映るかもしれませんが、これから社会を生きていく中での困難さにも繋がります。相手の意見を素直に聞き入れる子の背景にある危うさや伸ばしていきたい力を考えてみます。
親の言うことを素直に聞く子。背景にある“危うさ”とは?
相手の顔色をうかがいすぎる
自分がどうしたいかよりも、相手の顔色をうかがい過ぎるあまり、どう主張してよいかわからなくなる子がいます。家族の中で厳しい人がいたり、幼少期から控えめで慎重な性格の子は、主張を求められる年齢になっても難しいケースが多いです。
自分の意見を言った結果、褒められる、よい評価をされる、意見が反映されるなどの成功体験を積むことが重要。
自分の意見を控え続けると、次第に自分がどうしたいのかはわからないし、どうでもよいものになっていきます。するとさらに自信がなくなり、新しいことにチャレンジしたり、一歩踏み出す勇気を持ちづらくなってしまうもの。
まずは「〇〇か、〇〇だったらどちらがいい?」などと選択させてあげ、少しずつ自分の意見を言えるような環境を整えていけるとよいでしょう。
自分の意見がわからない
自分がどうしたいのか、感情や感覚に鈍感な子もいます。「あなたはどうしたい?」と聞かれることなく成長していくと、自分について考える機会が乏しくなるもの。周囲が気持ちを上手にくみ取りすぎると、「これが嫌」「私はこうしたいのに」という気持ちが刺激されず、鈍感になりやすいんですね。
自分がどうしたいかは、自分で考えるものではなく、周囲がなんとなく察してくれるもの、という感覚になるのです。
先回りしすぎず、「〇〇してるときは楽しそうだね」「〇〇については、あまり前のめりに取り組まないね」などと、様子をフィードバックするだけの方が、自分で考えやすくなる子もいます。あえて手を出し過ぎないことで、積極性を育んでいけるといいですよね。
自分の意見に対して自信がない
親の顔色をうかがっているわけではなくても、その場の空気を察して、滞りなくやり過ごせる答えを探す子もいます。無難で他の人と衝突しないような回答を普段からしやすい特徴があります。正解がわからないときは黙ってしまったり、どっちでも大丈夫と答えやすいんですね。
落ち着いて自分の気持ちを表現できる場を設けていくことが支えとなります。小集団の習い事や、仲良しの友達と少人数で遊ぶ、甘えられる大人(祖父母)と過ごす時間を長くするなど。
協調性があると捉えると、必ずしも直さなくてはいけない傾向ではありません。ただ、自分の気持ちや考えもしっかりと表現する術も身に着けていけるとよいですよね。