秋晴れの鞍馬山に登った
10月の連休、久しぶりに京都を訪れた。
今回は、以前から行ってみたいと思っていた鞍馬山に登ろうと、友人と娘たちを連れて秋晴れの日に出かけることに。
鞍馬山は、山門から本殿金堂まで山道を30分ほど登っていく。片道200円でケーブルで本殿金堂近くまで登ることもできるが、せっかく訪れたのだから、今回は歩いて登ることにした。
気持ちいい秋晴れの日、30分ほどの登山をするにはもってこいの気候。体力に自信があるので勢いよく登りはじめたものの、想像よりも傾斜があり息が切れる。坂道や階段を登っていくと、汗が止まらなくなってしまった。
友人の5歳になる娘ちゃんが、「お家に帰りたい。もう疲れた」と言う。10歳の娘と友人の娘ちゃんにとっても、なかなかハードな山登り。「ここまで来たんだから、あと少し頑張ろう!」と励ましながら、休みを挟みつつ本殿金堂を目指した。
頑張ったからこそ見える景色
持ってきた水筒の中身が本殿金堂到着前になくなりそう!
「30分でしょ? 余裕だね」なんて言っていたのに、登りはじめてみると、大人もギブアップしそうな勢い。
「帰りはケーブルにしようね」と弱気な会話をしながらも、なんとか本殿金堂に到着。
友人2人は本殿金堂手前の茶屋で一休みするというので、子どもたちと先に登って振り返った先に見えたのがこの景色。
「きれ~い! すごーい!」
子どもたちが声を上げる。
「すごいねぇ。この景色は、頑張って登ってきたからこそ見られた景色だね」と言うと、子どもたちが笑顔で、「この景色、目に焼き付けておかなくちゃ」と言った。
普段とは違う体験や経験をすると、子どもたちの成長を感じる瞬間がある。そんな言葉、どこで覚えたの? と思うような大人びたことを言ったり、無理かな? と思っているような登山を頑張って達成できたりする。
親は、「子どもだから、ここまで」という勝手なボーダーラインを引きがちだし、心配性の私は、「ケガしたら大変!」と、ついつい行動を制限しがち。だめ、だめということはしないように気をつけているけど、それでも心配性の私は、「これは、やめておこう」とか、「それは危険かもしれないよ……」と言ってしまう。
子どもは親が思っている以上に、いろんなことに柔軟に対応するしたくましい。
勝手に限界ラインを決めてしまうのは、子どもにとってよくないなと、こういう瞬間改めて考えさせられる。
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人は、自分が経験したことから学ぶ
義実家に行ったとき、娘が義母の料理の手伝いをはじめた。
家では、子ども用の包丁を使ってお手伝いをしてもらうことはあるけど、義母は普段自分が使っている大きな切れ味抜群の包丁を娘に持たせていた。
「ひーーーーっ!」
と、心の中で思ったけど、息子3人を育ててきた義母は、子育て大先輩。内心、ハラハラドキドキしながらも、義母を手伝う娘を後ろから見ていた。
「kahoちゃん、ドキドキしているでしょ?」
義母はなんでもお見通し。娘を危険から遠ざけながら子育てをしている私のことなんてとっくに気がついている。
「包丁を使いながらよそ見をしたら、指を切っちゃうこともある。左の手を猫さんの手にしないと包丁で傷つくこともある。経験しないとわからないことよね。できればケガはさせたくないけど、こうしたら切れるんだという経験をすることで、今度から気をつけようということを学ぶの。それは、大人も子どもも同じ。誰だって、自分が経験したことからでしか学べないことがあるからね」
義母は、私の辞書にはないことをたくさん教えてくれる。そして、気づきを与えてくれる。押しつけではなく、私がポジティブに受け止められる方法で。
このことを機に、私は娘を危険からは守りつつも、経験から学ぶという機会は奪わないようにしようという意識が強くなった。
だからこそ、この秋の鞍馬山登山は、子どもたちには無理だろうなとは思わずに、励ましながらも目的の場所まで一緒に辿り着くことができた。
だからこそ見れた、あの景色。
きっと、私も子どもたちもずっと忘れないと思う。