子どもの「オープンSNS」との付き合い方とトラブル時の対処法【臨床心理士・公認心理師が解説】

家族・人間関係

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2025.03.01

臨床心理士・公認心理師のyukoです。多くの中高生が毎日使用しているSNS。ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも溢れており、不特定多数の相手から感情を刺激されている子も多いのでは。今回は、XやInstagram、TikTokなど、オープンSNS(パブリックSNS)との付き合い方を考えてみます。

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なぜSNSのトラブルは絶えないの?

LINEやショートメッセージなどのクローズドなSNSと比較して、XやInstagram、TikTokなどのオープンSNSでは不特定多数に公開されているからこそ生じえるトラブルも多いもの。
特に芸能人への誹謗中傷やネットいじめなどのトラブルが後を絶ちません。
なぜ、幾度となく警鐘が鳴らされているにも関わらず収まらないのでしょうか。

匿名性や文章コミュニケーションによる特異性ももちろんありますが、心理的な側面も大きく作用していることが考えられます。

  • 注目を集めたい。「いいね」などの承認欲求。
  • 日常生活の憂さ晴らし。羨ましさや嫉妬、満たされない気持ちの解消。
  • 現実と仮想空間のキャラクターを使い分けている。現実場面では言えない気持ちの発散。

SNSイメージ出典:stock.adobe.com

最近は特に、口にすべきではない発言ではなく、正論や理屈めいたものを交えた誹謗中傷が増えているように感じます。
SNSと付き合っていくためには、顔の見えない相手への配慮を学ぶと同時に、自分が攻撃を受けたときのスルースキルも身に着ける必要があります。
親子で話し合いたいネットリテラシーについて、考えていきます。

オープンSNSで傷つけない・傷つかないための対処法

感情的になっているときの投稿は控える。

対面上のトラブルもSNS上のトラブルも、感情的になっているときに起こりがち。
冷静なときであれば抑えられる一言も、感情的になっていると強くいってしまったり、止められなくなってしまうんですね。

自分が今感情的になっているかどうかの見極めは、大人でも難しいときがあります。
どんなときにイライラしやすいかなど、感情の高ぶりへの気づき方と対処法を親子で考えてみるのも大切です。

  • 今言わないと気が済まないと感じているとき。→10分時間を置いて、それでも同じ気持ちのままかどうかを確かめる。
  • この言葉を友達から言われたらどう思うかを考える。→一度下書きに保存し、10分後に見返してみる。

スマホを触る女の子出典:stock.adobe.com

日常生活の中では、「今すぐに言わないといけないこと」は意外と少ないもの。
特に、愚痴や相談、報告のほとんどは緊急を要さない場合が多いでしょう。

一度時間をおいて冷静になる術を身に着けると対人関係のトラブルが生じにくくなります。
また、自身の心のケアや成長にも繋がる大切なステップにもなるので、ぜひこの機会にトライしてみてください。

いくつかのスルースキルをもっておく

自分が傷つかないためには、スルースキルを身に着けるのも大切です。
自分が攻撃を受けた側になってしまったときも、やはり感情的になるのは避けたいところ。

  • ネガティブな反応のリプライやDMには返信せず、時間を置く。→わかってほしいと思う相手であれば冷静に返答する。そうでない相手であればスルーする。
  • オープンな場ではなく個別で話す。→複数の人が見れるような場所でやり取りするとコミュニケーションが逸れていったり、思わぬ方向から野次が入ることもあるので非公開の場所で話す。
  • 喧嘩や挑発にのらず「iメッセージ」で気持ちを伝える。→「何言ってるの?」「そっちがおかしい」などと怒りを伝えるのではなく、「自分(i)は~と感じた」と素直な気持ちを伝える。

スマホを見る女子高生出典:stock.adobe.com

相手のネガティブな発言に対して、否定を重ねると、お互い負の感情が収まらなくなり傷つけあってしまいます。また、挑発や否定的なコメントに反応すると、さらに図にのってしまう相手も多いよう。

「自分はこの場をこういう風に活用しています」と率直に示すのもよいでしょう。
例えば、「このSNSでは日頃の愚痴をつぶやいているので、アドバイスは不要。」「推しについて語るアカウントなので、アンチの方は見ないでほしい」など。

オープンSNSは、正しい使い方をすれば便利な情報を得られたり、気の合う仲間を見つけられたり、視野が広がるなど様々なメリットがあります。
一方使い方を誤ると命すら脅かされるほどの悪意に触れてしまうときもあるでしょう。
正しい使い方と適切な距離感を身に着けて、日常をより豊かにするツールとして利用していけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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