新しい教育の形、バーチャルスクール
ゲーム用語としてよく耳にする「メタバース」。
今、メタバースを利用した教育が進んでいるのを知っていますか?
メタバースとは、インターネット上に存在する仮想空間。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を駆使して、現実的な世界と似た体験ができる世界のことです。(VR:ヘッドセットを使って、実際には存在しない別の世界に入り込む体験。AR:現実の風景にデジタル情報や画像を重ねて見せる技術。)
このメタバース内に学校を作ることで、生徒は学校に通っているときのような教育をインターネットを通じて受けられるんですね。
そしてメタバース内の学校は「バーチャルスクール」と呼ばれ、現在世界中に広まっているんです。
バーチャルスクールでは、どんなことが行われている?
授業
通常の学校と同じように、主に5教科(国語・算数・理科・社会・英語)を中心に行われています。
学年に合わせて、ゲームやアニメーションを取り入れたものを利用することで学習の定着をはかるものもあります。
また、理科では仮想の実験室で実験をして動画での解説を併用したり、地理や歴史のフィールドワークでは仮想の場所を訪れることもできるんです。バーチャル空間や最先端のネット技術を利用できるという強みもあるんですね。
文化祭やクラブ活動
オンラインプラットフォームを通じたイベントやクラブ活動も活発に行われているよう。
例えば文化祭では、生徒が作成したアート作品やポスターを仮想のギャラリーに並べ、オンライン上で見学し、コメントでやり取りできます。
また、音楽やダンス、演劇の舞台は仮想空間でステージを設けてリアルタイムでパフォーマンスをしたり、配信サービスを利用して幅広い観客に披露することも可能。共通の趣味をもつ子が集まり、クラブ活動やグループ制作などを行うところも多いようです。
工夫次第で、現実場面と同様にイベントを楽しめたり、現実場面とは異なる新しいアイデアが生まれたりするんですね。
バーチャルスクールのメリット、デメリット
バーチャルスクールのメリット
1番の魅力はやはり、場所を選ばずに教育を受けられる点。
住んでいる地域に制約されることなく、全国からアクセスできるため、幅広い人間関係に触れられます。いずれは、全世界の友人とも繋がれるスクールもできるかもしれませんね。
また、仮想空間内で他の生徒とコミュニケーションを取れる点は、対面でのコミュニケーションが苦手な子にとって大きな支えとなります。
バーチャルやネット上の世界になじみが薄い方は「対面でのコミュニケーションよりは劣るのでは?」と感じるかもしれませんが、そうとは限りません。話すスピードと同じくらいの速度で会話を交わし、行動に移し、複数人で協力したりときに衝突するなど、対面でのコミュニケーションと相違ない点が多くあります。
集団内で直接コミュニケーションを取るのが苦手な子、通学に負担を感じる子にとっては、よい選択肢をいえるでしょう。
バーチャルスクールのデメリット
対面での対人関係が苦手な子でも、仮想空間上でのコミュニケーションであればストレスなく行えるかもしれません。
しかしバーチャルの世界のみに没頭してしまうのも少し心配ですよね。
- 学校の役割はバーチャルスクールに置き換えても、塾は近所で通う。
- 気を許せる友人や親戚とは定期的に会う。
- 週に2日は放課後デイやフリースクールも利用する。
など、バーチャルと対面、両方のコミュニケーション力を伸ばしていけるといいですよね。
また、自宅では気が散ってしまったり、集中力の維持が難しいときもあるでしょう。
自室、リビング、個室のレンタルルームなど、気分や状況に応じて、スクールを利用する場所を変えてみるのもよいかもしれません。
AI技術の向上や教員不足、学校に通いづらい子の増加などから、今後はさらにバーチャルスクールの存在に注目が集まっていくことでしょう。メリットやデメリット、子どもとの相性を考えた上で、上手に活用していけるといいですよね。