教えてくれたのは……渡邉 文子さん
キャリアデザイン・インターナショナル(株)代表。公認心理師、MBA、国家資格キャリアコンサルタント、Gallup認定ストレングスコーチ。起業と子育ての経験から女性の自律的で幸せな生き方を支援。著書に『めっちゃ知るだけ!こころとからだの幸せ法則』(文芸社)。厚生労働省版ストレスチェックシステム監修。
夫婦・パートナーとの愛情の育み方「幸福度を高めるために大切な3つのこと」
夫婦やパートナーとの関係において、愛情を育むことは人生の幸福感を大きく左右することがあります。
今回は、幸福度を高める「夫婦・パートナーとの愛情の育み方」のポイントを3つご紹介します。パートナーとの日常をより豊かにするためのヒントにしてみてくださいね。
1.「お互いの違い」を楽しむ
出会った当初は相手の違いすら魅力的に感じ、欠点があっても見えない、または「あばたもえくぼ」ということわざのように、見えたとしてもそれを“えくぼ”として受け入れられたものです。それが同じ時を長く過ごしている間に、欠点ばかり目につく、さらには“えくぼ”さえ欠点に感じてしまうこともあるでしょう。
お互いをよくわかっているつもりでも、あらためて客観的に見てみると新しい発見があるものです。そして、何かが起きたときに「なるほど、そういうことか」と相手との違いを楽しめるようになると、少なくとも“えくぼ”が欠点に見えてしまうことはなくなるのではないでしょうか。
性格診断テストでタイプを知ることも、ひとつの方法
具体的には、MBTI診断(性格を16タイプに分類する診断)で、生まれ持っての特性がわかると面白い気づきもあります。例えば、旦那さんがESFJ(外向、感覚、感情、判断)で、奥さんがINFP(内向、直感、感情、適応)の場合を考えてみましょう。
旦那さんは「汚れること」に対して無頓着なため、奥さんからすると「それ、汚れるのはわかっているでしょ!」と感じてしまうかもしれません。しかし、何度伝えても改善されないのは、旦那さんが「感覚的に汚れへの意識が低い」からであって、奥さんへの愛情が少ないからではないのです。ほかにも、旦那さんは数字の暗記や管理は得意で、奥さんはどんぶり勘定の傾向があるかもしれません。そんなときは「旦那さん、すごい!」と素直に感動して頼ってみるなど、違いがあることをポジティブに捉えてみましょう。
そもそも、お互いの違いを魅力的に感じて惹かれ合ったふたりです。違いをお互いに補い合い、感謝やリスペクトとして受け止めるようになると、さらに愛情が深まります。
2.「建設的な距離」をこわがらない
お互いに相手を大切にし、応援し、尊重し合うことは、長く人生を共に過ごしていくために大切なことです。例えば、趣味の違い、時間の過ごし方、味の好みなどの一見たわいのないことであっても、生活上の違いは、どんなに気の合うふたりでも起こり得ます。
一方が完全に相手に合わせたり、我慢したりすることは、長い目で見るとおすすめできません。そうした状況が長く続くと、どうしてもストレスや自己犠牲などのネガティブな気持ちが蓄積されて顕在化し、熟年離婚の原因となることも考えられます。
時間的・物理的なルールを設けて、建設的に考える
まずは、工夫や歩み寄りを検討することが解決策のひとつになります。それでも身体的や精神的な負担が解決できない場合、時間的・物理的なルールを設けることは建設的な考え方です。
例えば、1日のライフサイクルが異なるために良質な睡眠がとれない場合には寝室を分ける、それぞれがリラックスした時間を過ごすためにフリーな日を作り、趣味や食べたいものを自由に選べるようにするなどです。言葉では「いいよ」と言いながらも不満そうな態度を見ると相手は罪悪感を感じます。心から相手の健康や笑顔を喜び、尊重し応援し合える関係は、ふたりの絆をより強くします。
良好な関係を続けるためには、我慢ではなく、困っていることを正直に伝え合い、共に解決していこうという姿勢が必要です。対話を通じて一緒に決めたことには納得感が高まり、信頼関係も育まれます。大切なパートナーだからこそ、ふたりが幸せになれる方法を、一緒に考えていきましょう。
3.「今の当たり前」に感謝する
夫婦、パートナー、親子に関わらず、愛情をともなう信頼関係は、人生における幸福のとても大きな要素です。大切な人との愛情を育むことは、心の安定と幸福感をもたらします。愛情は、得るものというよりも、共に感じ合うもの。相手を理解しようという気持ちが、本当の愛情を育てていきます。
幸福感が高い人は、日常の些細なことからも幸せを感じることができます。取るに足らないようなことでも幸せを見つけられる人であるほど、より多くの幸せを感じやすくなるのです。幸せは、何も悩みがない状況だけにあるわけではありません。むしろ、困難な状況だからこそ得られる幸せもあります。幸せに大小はないかもしれませんが、小さな幸せを感じられる人、ちょっとしたことに「感謝」を感じられる人ほど、幸福度が高いと言えるでしょう。
気持ちを共有する時間を大切にする
昔の思い出や共に経験したことについての気持ちを共有すると、さまざまなことに気づくことがあります。今ふたりで一緒に過ごしていることに運命的なものを感じることもあるでしょう。
日常の不満なんて道端の石ころのようなものです。振り返ったときに、その瞬間瞬間がとても幸せだったことに気づくことがあります。当たり前だと思っていた日常は、実はそうではなく、一緒にいられる時間も永遠ではないということ。幸せを感じる力を育てることで、あなたのすぐそばにあるたくさんの幸せに気づけるはずです。