教えてくれたのは……岩田かおりさん
家庭教育コンサルタント。株式会社ママプロジェクトJapan代表取締役。
幼児教室勤務、そろばん教室の運営を経て、「子どもを勉強好きに育てたい!」という想いから、独自の教育法を開発。「子どもを学び体質に育てる」と「親を幸せ体質にする」ことを目指し、親がガミガミ言わずに勉強好きで知的な子どもを育てる作戦『戦略的ほったらかし教育』を全国へ展開中。
『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』
著者:岩田かおり
価格:1,760円(税込)
発行所:ディスカヴァー・トゥエンティワン
子どもが勉強しないという悩みの裏には
幼児教室勤務や自身が運営するサロンの講座を通じて、これまで7000人以上の母親の話を聞いてきた家庭教育コンサルタントの岩田かおりさん。発売3か月で5万部を突破した話題の本『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』では、子どもが自ら学ぶようになるには、子どもの学び体質をつくる「環境整備」と、親の幸せ体質をつくる「親の自分理解」という2つが鍵を握っていると記しています。
岩田さん 「お母さんたちからもっとも多く寄せられる相談が、子どもがなかなか勉強しないという悩みです。家庭教育がうまくいかない原因を紐解いていくと、根底には親自身が抱えている苦しさが見えてきます。『この子はこのままで大丈夫かな』という不安や、他の子どもと比較して生まれた焦りにフォーカスしていると、それが原因で親が感情のジェットコースターに乗ってしまい、感情の波に飲み込まれてしまいます。いつも怒っている親がそばにいることほど、子どもによくないことはありません。これまでは気にならなかった些細な出来事に怒るようになったら、がんばりすぎているサインかもしれません」
親が陥りがちな「7つの沼」
「自分が何にとらわれて苦しんでいるのかに気づき、親の自分理解を深めることが、悩みの解決につながる」と岩田さん。著書『自分から学べる子になる 戦略的ほったらかし教育』では、知らぬ間に親が囚われている恨みや思い込み、混乱を「沼」と表現し、7つのタイプがあると分析しています。
岩田さん 「7つの中でも、パートナーとの関係に悩むケースは意外と多いですね。パートナーとタッグを組んで子育てに取り組みたいけれど、タッグを組めている実感がない。がんばっているのは自分だけという孤独感が、子育てを複雑化させることは多いように感じます。子育て、家事、仕事と毎日をのりきることに一生懸命で、そのうえ子どもの将来が不安で正解がわからないからプチパニックに陥るわけですが、すべてを完璧にこなすのはそもそも“無理ゲー”なのです。テクノロジーが発達してもやることが減らないなら、意識的に自分で減らしていくしかないでしょう」
親の感情が安定すれば子育ての悩みの9割は解決する
「かつては私もがんばりすぎて、自分で抱え込みすぎていました」と岩田さん。2人の子どもを育てながらフルタイムで働き、第三子を妊娠していたとき、切迫早産で1か月間の入院を余儀なくされたことがあるそうです。家族を心配しつつ1か月後に退院すると、「すこぶるよく家の中がまわっていた」と当時を振り返ります。
岩田さん 「自分がいなくても大丈夫なんだというさびしさを感じましたが、同時にやりすぎていた自分にも気がつき、手を引くきっかけになりました。家事は自分でもできるから代行サービスを頼むのはもったいないと思っていましたが、冷蔵庫の中に誰かが作ったおかずがあるのは最高に幸せ。がんばりすぎていることに気づいたら、まわりの人やサービスを頼ることも大切です」
岩田さん 「自分が抱えている不安や焦りをすべて投影して見せてくれるのが子どもです。『私はこんなときに不安になるんだな』『こんな状況に焦りやすいな』と親自身が気づき、同じことが起きたらどうするかを考えさせてくれる、またとないレッスンだと思います。親は子どもを導くものと考えると肩に力が入るので、親も子どもと一緒にバージョンアップしていこうと考えてみましょう。こうした気持ちでいると、大切なものを見失わずにいられると思います。親の感情が安定すれば、子育ての悩みの9割は解決すると言っても過言ではありませんよ!」
子どもをリードするのではなく、隣に並んでフラットに歩くような心持ちでいられるといいですね。子育てに悩んだときは、岩田さんのアドバイスをぜひ思い出してみてください。