教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん

株式会社コレット代表取締役。心理学、脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)/最新刊『私は私を幸せにできる』(KADOKAWA)がある。
自己肯定感を奪わない!人間関係の手放し方“5つのコツ”
私たちの時間や心のエネルギーは、限られています。だからこそ、「自己肯定感を守る」ため、人間関係を整理する勇気も大切です。
今回は、心をすっきりさせ、元気になるための「人間関係の手放し方のコツ」を5つご紹介します。
1.「良い人」をやめる勇気を持つ
自己肯定感を下げる人間関係の多くは、あなたが「良い人」でいようと無理をすることから生まれます。「誘いを断れない」「頼まれたら嫌と言えない」といった姿勢は、相手の要求をすべて受け入れてしまい、自分をすり減らしてしまう原因になります。
まずは、「断ることは人間関係を長く続ける秘訣」と、自分に言い聞かせてみましょう。誘いや頼まれごとには、反射的に「Yes」と言わず、「少し考えさせてください」と保留する時間を作ることが大切です。
断るときは、理由を細かく説明せず、「その日は予定があって……」や「今、自分のことに集中したい時期なんです」と、シンプルに伝えるのがポイント。「良い人」をやめられないのは、自分の中の抵抗感や罪悪感が原因なのです。
2.「心地よさ」のバウンダリー(境界線)を明確にする
一緒にいると疲れる人や会うたびに否定的な言葉を投げかけてくる人、あなたの努力を認めない人はいませんか? こうした人たちとの関係は、あなたの心の領域をじわじわと侵食し、自己肯定感を下げる“毒”になってしまいます。
「心地よさ」を基準に、相手との間に心理的なバウンダリー(境界線)を引いてみましょう。たとえば、「この話題は話さない」「この人とは〇時間以上一緒にいない」といったルールを、心の中で決めておきます。物理的な距離を置くことも有効です。
連絡の頻度を少しずつ減らし、誘われても無理に応じず、徐々にフェードアウトしていくのがおすすめです。ゆっくりと距離をとることから始めましょう。
3.「承認欲求」を他人ではなく自分自身で満たす
自己肯定感が低い状態では、私たちはつい他人からの評価や承認を求めてしまいます。その結果、自分を褒めてくれない人や認めてくれない人との関係にしがみつき、さらに自己否定を深めてしまうことがあるんです。
人間関係を見直す前に、まずは自分の「承認欲求」を自分自身で満たす訓練をしてみましょう。たとえば、毎日寝る前に「今日頑張ったこと」「うまくできたこと」を3つだけノートに書き出す習慣をつけてみてください。こうすることで、自分を認める練習になります。自分で自分を肯定できるようになると、毒になる関係から自然と心が離れていくようになります。
4.「SNSとアドレス帳」から心のノイズを整理する
物理的な整理整頓と同じくらい、デジタル上の人間関係の整理は心の幸福度に直結します。特にSNSは、無意識のうちに「嫉妬」や「劣等感」の感情を引き起こす原因になりがちです。
SNSでつながる気分が沈むアカウントは、思い切ってミュート(通知オフ)やフォロー解除をしてみましょう。また、アドレス帳やLINEリストを見直し、過去3か月以上連絡を取っていない人や、「もう会いたくない」と感じる相手の連絡先について、自分がどうしたいのかを考えてみてください。
デジタル上のつながりを整理することで、視覚や情報からくる無駄なストレスから心が解放され、驚くほどスッキリします。
5.「未来の自分を肯定する」新しい関係に目を向ける
人間関係を整理して空いたスペースは、「寂しさ」ではなく「チャンス」として捉えましょう。自己肯定感を高めるベストな方法は、自分に良い影響を与えてくれる人たちと新しくつながることです。
趣味や学びの場など、あなたが心から「楽しい」「成長したい」と思えることや場所を探してみてください。そこで出会う人は、未来の目標や肯定的な価値観を共有しやすく、結果としてお互いを認め合い、応援し合える関係を築きやすいものです。
過去の負の関係に執着するのではなく、未来のあなたを肯定してくれる人間関係に、意識的にエネルギーを注いでみましょう。きっとこれからの毎日が少しずつ変わっていきます。
自分自身を大切にするため、人間関係を整える
人間関係を整理することは、決して冷たい行為ではありません。それは、あなたが心身ともに健やかに、そして幸せに生きるための「自己愛」の成長です。
あなたにとって本当に大切な人・ことを丁寧に選び取っていきましょう。心が軽くなり、明日がもっと楽しみになりますよ。





