子どもを勇気づけるつもりが逆効果?「親の経験談」をプレッシャーにしない“3つの工夫”

家族・人間関係

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2026.03.08

臨床心理士・公認心理師のyukoです。子どもにとって一番近いお手本は、親になります。親御さんの経験談は、ときに子どもの背中を押すエールになる一方、親の想いとは裏腹に重荷やプレッシャーとなることもあります。どんな伝え方であれば、子どもにとって支えとなるのでしょうか。

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親の経験談、エールになってる?重荷になってる?

六年生の息子が、生徒会の立候補を迷っていた。「やってみたいけど、落ちたら恥ずかしいしな」。励まして背中を押すつもりで、「ママも同じくらいのとき勇気出して立候補したら、自信ついたよ」と伝えた。その場では「そっか」と聞いていたけど、しばらくしてから「やっぱやめておく」とのこと。背中を押したはずなのに、響かなかった?

会話する親子出典:stock.adobe.com

「私が〇〇だったんだから、あなたも大丈夫」と経験を踏まえた応援の言葉。
親の経験談は伝え方によって、有効なエールにも、重たいプレッシャーにもなります。

自分の能力を気にし始める繊細な時期。
親の経験談、成功例は自身との比較材料にもなってしまうんですね。

どんな伝え方であればエールとなるのか、重荷にならないのかを考えます。

親の経験談を武勇伝にしないための3つの工夫

結果より「迷い」を伝える

  • 「最後は成功したよ」→「やる前は、すごく不安だったよ」
  • 「練習したらできるようになったよ」→「最初は全然できなくて、ちょっと恥ずかしかったな」
  • 「失敗したけど、いい経験になった」→「失敗した日は、めちゃくちゃ落ち込んだなあ」

モデルを示そう、意味のある会話にしよう、と意気込んでしまうと、美談・武勇伝として伝わってしまいます。
不安や迷い、悔しさは誰にでもあるものとして、親自身の経験に少し触れる程度にとどめるのがおすすめ。

「怖かったけどやりきった」ではなく、「怖い気持ちがあった」と伝えるところで止めます。
そしてその先は子どもに委ねるのがポイントです。

結論を子どもに託す

  • 「絶対できるから大丈夫」→「できそうな部分と、不安な部分、どっちが大きい?」
  • 「それはやったほうがいい経験になるよ!」→「やるとしたら何が楽しみ? やらないとしたら何が安心?」
  • 「ママはこんな風にやってきたよ」→「あなたは“やる自分”と“やらない自分”、どっちが好き?」

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子どもが迷っていると、親は導いてあげようモードになりやすくなります。
しかし経験談を方向づけに使ってしまうと、子どもは親に相談しにくくなっていくもの。
”きっと親はこう考えるだろう”と価値基準をもってしまうからです。

「(私はこういうタイプだったけど)この子はどんな選択をするのだろう」と、俯瞰した視点で見守れると、子どもは自分で選択する力を身につけられます。

教訓で締めくくらない

  • 「失敗は成功のもとなんだよ」→「ママは失敗をすごく引きずるタイプだから切り替えが難しかった」
  • 「ちゃんと準備していれば違ったよね」→「やる前って何が必要かわかんないんだよね」
  • 「あの経験があったから今があるんだよ」→「あのときは、なんで自分だけって思ってたなあ」

思春期は、”言われるとやりたくなくなる”時期。
教訓は、伝えて教わるものよりも、自分で見つけて実感する方が有益に働きます。

自身の失敗や経験に意味をつける作業はとても大切ですが、子どもにはすべてを伝えきるのではなく、未完成のまま伝えた方がよいときも多いです。

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経験は“答え”ではなく“材料”

親の経験談は、使い方次第で勇気にも圧にもなります。

  • 結果を強調すると比較になる
  • 結論を渡すと正解になる
  • 教訓で閉じると指導になる

一方、

  • 迷い(経過)を語る
  • 結論は委ねる
  • 未完成のまま手渡す

こうすると、経験は“大切な材料”として伝わります。

考える子ども出典:stock.adobe.com

親はつい子どもに地図を渡したくなりますが、 「こんな道もあったよ」と横に置くのがポイント。
子どもはどんな道を行くのかな? と、誰も知らない未来を楽しみにしながら見守れるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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