教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん

株式会社コレット代表取締役。心理学、脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)/最新刊『私は私を幸せにできる』(KADOKAWA)がある。
頑張り屋さんほど自己肯定感を下げてしまう「4つの原因」
頑張り屋の皆さんは、これまで仕事や家庭で、人一倍努力を重ねてこられたはずです。しかし、不思議なことに「頑張れば頑張るほど、自信が持てなくなる」「成果を出しても一瞬しか満たされない」という感覚に陥ることがあります。
本来は前向きなはずの努力が、なぜ自己肯定感を下げてしまうのでしょうか。今回は、そのメカニズムと、健やかな心を保つためのヒントをひも解いていきましょう。
1.「全盛期の自分」という強敵が心の中にいる
頑張り屋で実績がある人ほど、無意識に“かつての自分”を比較対象にしてしまいます。「昔はもっと動けた」「あの頃なら一晩で終わらせた」。そんな過去の栄光との比較は、今の自分を劣化版として扱ってしまう行為でもあります。過去の瞬発力ばかりを追い求めてしまう“自分への執着”が、新しい環境での自己肯定感を著しく下げてしまうのです。
今のあなたにはきっと、過去にはなかった深みや調整力が備わっているはず。今の自分を慈しむためには何ができるのかを考えてみることが大切です。
2.自己評価の基準が「外側」にある
「上司に認められた」「目標を達成した」など、外部の評価だけを動くためのエネルギーにしていると、自己肯定感は不安定になりがちです。どれだけ高い山に登っても、次の山が見えた途端に不安になるのは、評価の主導権を他人に握らせているため。他人の評価は自分ではコントロールできないことから、心のどこかに「いつか見放されるのでは」という恐怖が居座り続けてしまうのです。
そんなときは、まず自分自身で弱点を確認してみましょう。たとえば、「実は緊張していて」と、先に自分の弱点をオープンにし、「プレッシャーがあるな、じゃあ今の自分に何ができるだろう」と自分で“確認+解決”のマインドを持つことで、外側に揺さぶられない感覚が育っていきます。
3.「完璧でなければゼロと同じ」という思考パターンを持っている
一生懸命な人ほど、90点の成果を出しても、足りなかった10点に目を向けて自分を責めてしまう傾向があります。しかし、特に4月のような変化の時期に100点満点を出し続けるのは、とてもハードルの高いことです。
「完璧にできないなら、やっていないのと同じだ」という思考パターン(全か無か思考)を持っていると、日々の小さな前進を喜べず、常に「自分はダメだ」という信号を脳に送り続けることになります。結果の前に、今日一日踏ん張った自分、新しいことに挑戦した自分——その“姿勢”だけにスポットライトを当てて、加点しましょう。
4.弱さを見せることを「敗北」と捉えている
「弱音を吐かずにやり遂げるのが美徳」といった価値観は、ときに自分を追い詰める毒になります。助けを求められないまま続ける孤独な努力は、深層心理で「誰も自分を助けてくれない」という分離感を強めることに。この孤独感が、心の底にある安心感を奪い、自己肯定感を土台から揺るがしてしまうのです。
もし大切な親友があなたと同じ状況で悩んでいたら、どのような言葉をかけるでしょうか。自分に向ける言葉と、親友にかける言葉は違っていませんか? その優しい言葉を、今度は自分自身にも向けてあげてくださいね。
「自分なりに頑張っている」と認める勇気を持とう
年齢を重ねてからの自己肯定感は、何かを成し遂げることで得られるものではなく、「今の自分を受け入れる」ことから静かに育まれていきます。“外側の成果”ではなく、“自分への慈しみ”へと目を向ける練習をしてみましょう。その意識の転換が、これからの毎日をやわらかく支えてくれます。





