集中力の低下とショート動画は関係がある?
学校から帰ると急いで宿題を終わらせて、スマホ時間を楽しむ小4の息子。YouTubeのショート動画やTikTokを次々にスクロールし、30秒もない動画でも2倍速で見る。本人が楽しんでいるならと思い許容していたが、最近は以前よりも集中力が続かなくなってきたことが気になる。宿題を始めても「集中できない」と席を立つ。本を開いても「長い」と閉じる。授業は「先生の話、長くて嫌」と話す。子どもの集中力の低下は、ショート動画が関係している?
子どもたちが夢中になっているショート動画は、ドーパミンの分泌への影響や脳の疲労感との関連など、さまざまな影響が指摘されています。
子どもとショート動画、どう付き合っていけばよいのでしょうか。
問題はショート動画ではなく、「刺激の速さ」に脳が慣れること
ショート動画の最大の特徴は、単に短いことではなく、短い間隔で新しい刺激がやってくることです。
脳はもともと、新しい刺激に反応しやすくできているので、ショート動画は、自然と「次へ、次へ」と見続けたくなりやすいのですね。
近年の認知心理学では、短い刺激が連続する環境に慣れると、持続的な注意を保ちにくくなる可能性が指摘されています。
つまり、ショート動画のテンポに慣れた脳からすると、授業や読書のテンポが相対的に遅く感じられるのです。
小学校中学年~高学年は、読解力や思考力が大きく伸びる時期。同時に、「待つ」「考え続ける」「最後まで向き合う」といった力も育っていきます。
だからこそ、家庭ではショート動画を禁止するのではなく、一つのことにじっくり向き合う時間を意識してつくることが大切です。
「待てる脳」を育てる3つの習慣
一つのことにじっくり向き合う時間を意識して過ごすことは、「待てる脳」を育てることにもつながります。ここでいう「待てる脳」とは、すぐに刺激を求めるのではなく、一つのことに集中したり、待ったり、最後まで取り組んだりできる状態のことです。家庭で実践しやすい3つの習慣をご紹介します。
見終わったあとの5分を意識する
ショート動画を見終わったあと、すぐに宿題や勉強へ促していませんか?
しかし、高速で刺激を受け続けた脳は、まだ興奮した状態です。
そこでおすすめなのが、「終わったあと5分」をあえて空けること。
- 水やお茶を飲む。
- ベランダに出て、一息つく。
- ソファで何もせずぼんやりする。
何もしない時間を少し入れるだけで、脳も徐々に落ち着きを取り戻していきます。
切り替えを急がないことも、集中力を育てる環境調整の一つになるんですね。
「途中でやめない経験」をつくる
次々と流れてくる動画を視聴する行為は受動的かつ短時間で完結する体験になりがちです。
そのため逆に、「途中でやめずに最後までやってみる経験」を増やすのがおすすめ。
たとえば、
- ジグソーパズルを最後まで完成させる
- 家族でボードゲームを最後まで遊ぶ
- 植物の水やりを毎日続ける
- 料理を最初から最後まで一緒に作る
高学年になると、「集中力がない」のではなく、集中する前に刺激が切り替わることに慣れてしまう子もいます。
最後まで取り組む経験は、「待てる脳」だけでなく、粘り強さや達成感を育てる土台にもなります。
「退屈」を埋めない
病院や飲食店での待ち時間、車での移動中など、スマホで退屈を埋めている家族は多いと思います。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、毎回スマホで退屈を埋めていると、子どもの脳は「待つ時間には刺激が与えられる」と学習していきます。
そこで、ときには、
- 「あと10分あるね。何して待とうか?」と声をかけてみる
- 窓の外を眺めながら、雑談する
- しりとりをする(〇〇限定、〇〇縛りなど)
- 子どもが興味なさそうでも、手元にある雑誌を広げてみる
一見何も起きていないようですが、この時間は、自分で時間の使い方を考える力を育てる機会にもなります。
退屈は、埋めるべきものではなく、想像力や集中力が育つ余白にもなるんですね。
「待てる脳」は、生まれつきの能力ではありません。
刺激の少ない時間を経験し、一つのこととゆっくり付き合う中で、少しずつ育っていく力です。
ショート動画が当たり前になった今だからこそ、家庭ではあえて、急がない時間を残しておけるといいですよね。



