「何もしない」時間を過ごす価値
同じリビングで、夫はスマホを見ている。私は本を読んでいる。 夫婦での会話はない。
「せっかく2人でいるのに、別々のことしてるなんて、と思ってしまうんです」 という話をママさんから聞いたことがあります。 たしかに、こういう時間を「もったいない」と思う人もいるかもしれません。
でも、ぼくはこの時間にこそ価値があると思っています。
「何かしなきゃ」「話さなきゃ」というプレッシャーから解放されて、ただ一緒にいる。 それぞれが好きなことをしながら、同じ空間にいる。
この「ゆるさ」が、じつは「一緒にいて心地よい関係」になるんじゃないかと。
家事や育児に追われる毎日の中で、夫婦の時間まで「タスク」にしてしまうと、どこにも休まる場所がなくなってしまいます。
「話さない=仲が悪い」は本当か?
会話が減ると、不安になりますよね。
「前はもっと話してたのに」 「何か不満があるのかな」 「このまま冷めていくのかな」
でも、ちょっと考えてみてください。
付き合いたての頃、会話が途切れないのは当然です。 お互いのことを知りたい、伝えたいことがたくさんある。
でも、長く一緒にいれば、すべてを言葉にしなくても伝わることが増えていきます。 「言わなくてもわかる」が増えるのは、関係が浅くなったのではなく、深くなった証拠です。
沈黙を「埋めなきゃ」と焦るより、沈黙を「心地いい」と感じられるほうが、じつは成熟した関係なのかもしれません。
沈黙が怖いのは、自分を責めているから
「話さなきゃ」と焦るとき、その奥には別の不安が隠れていることがあります。
「ちゃんとした妻でいなきゃ」 「夫婦らしいことをしなきゃ」 「関係を維持するために努力しなきゃ」
こうした「〜しなきゃ」が積み重なると、夫婦の時間が義務になってしまいます。
でも、夫婦の時間は、詰め込むものじゃありません。
「今日は何も話さなくていい」 「一緒にいるだけでいい」
そう思ってみると、沈黙は怖いものではなくなります。
「何もしない時間」のつくり方
とはいえ、子育て中は「何もしない時間」を意識的につくらないと、すぐに消えてしまいます。
わが家では、お互いの自由時間をとても尊重し合うようにしています。 家事も一緒にさっさと終わらせて、家族それぞれが自由な時間を過ごす。
その時間は、それぞれが好きなことをしていい。 スマホを見てもいいし、本を読んでもいいし、ぼーっとしてもいい。
「夫婦で話をしなきゃ」とか「家族みんなで何かしなきゃ」って無理はしない。
ポイントは、これを「夫婦や家族で決める」こと。 ただ黙っているだけだと、不安になってしまう人だっています。だから「この時間は、各々好きに過ごそう」と共有しておく。 その小さなコミュニケーションが余計な不安をなくして、安心した時間を作り出してくれます。
一緒にいるだけでいい、という関係
家事シェアの話をしていると、「分担」や「効率化」の話になりがちです。 もちろん、それも大切。
でも、その先にあるのは「暮らしの余白」だと思っています。
家事を分け合って、お互いに時間ができて、その時間を「一緒に何もしない」で過ごせる。それって、すごく贅沢なことじゃないでしょうか。
「一緒にいるだけでいい」
そう思える関係を、少しずつ育てていけたらいいなと思います。




