教えてくれたのは……飯塚そね先生

性格分類学®の第一人者として、夫婦関係や親子関係、人間関係の悩みに向き合い続けてきた飯塚そね先生。エニアグラムをベースに、発達心理学や脳科学の視点を取り入れた独自メソッドで、多くの人の人生をサポートしています。
「もう限界です」。離婚寸前で訪れる夫婦たち
――前回のお話の続きになりますが、飯塚さんのところには、夫婦関係のどんなことに悩んでいる方がきますか?
「何とかしたい」とか、「何とかしたいけど、もう限界だ」という状態の方が多いなという印象です。「もう、離婚しか考えられない」という方もいます。最初は、夫婦どちらか1人でいらっしゃることが多いです。
――最終的にはご夫婦で受けられる方もいるんですか?
ほとんどの方がご夫婦で受けられます。1人で受けても関係が改善するパターンもありますが、多くの場合は、夫婦で受けるほうがより良い結果になります。コンサルを受けた後、手を繋いで帰る方もいらっしゃるんですよ。
――それは、素敵! 夫婦関係に悩む人たちに見られる共通点というのはあるのでしょうか。
ご相談に来られる方の多くは、「どうして分かってくれないのか」という悩みを抱えています。ただ、よくよくお話を聞いていくと、お互いに悪気があるわけではなく、「そもそも感じ方や伝え方が違う」というケースがほとんどなんです。
――具体的には、どのような違いがあるのでしょうか?
大きく分けると、コミュニケーションの取り方に違いがあります。性格分類学®で分けると、思考型の方は、「言葉」で会話をします。感情型の方は、「表情や雰囲気」で受け取ります。本能型の方は、「リアクション」で判断します。
――タイプでそんなに違うんですね。
例えば、「おいしかった?」と聞かれたとき、思考型の方は「おいしかったよ」と言葉で伝えれば十分だと感じます。
でも感情型の方は、そのときの表情やテンションを見ていますし、本能型の方は反応の大きさで判断します。この違いを知らないと、「冷たい」「本音じゃないのでは」といった誤解が生まれてしまうんです。
思考型・感情型・本能型で“会話の受け取り方”が変わる

――おもしろい! そう聞くと、誰も悪くないのに心のすれ違いは起きそうですね。例えば、トラブルが起きたときの対応にも違いがありますか?
それも、大きく分かれます。問題への向き合い方は、大きく3つのタイプがあります。
1つは「反応型」。問題が起きた瞬間にすぐ動いて解決しようとします。
2つ目は「楽観型」。一度その場を離れて、「後で考えよう」と未来に預けるタイプです。
3つ目は「合理型」。過去に立ち返って、「なぜこうなったのか」と原因を考え続けます。
――夫婦でタイプが違うと、やはりぶつかりやすかったりしますか? 相性が良い、悪いタイプというのはあるのでしょうか。
私は、相性が良い悪いはないと言っています。ただ、すぐに話し合って解決したい反応型の方と、「少し時間を置きたい」楽観型の方が一緒だと、タイミングが合わずに衝突しやすくなるということはあります。
また、合理型の方が過去の原因を考えているときに、反応型の方は「もういいから前に進もう」と感じて行動する。これは、どちらが正しいということではなく、「解決の仕方が違う」だけなんです。
――では、こうしたすれ違いはどのように解消していけばよいのでしょうか?
まずは「違いがある」という前提を持つことが大切です。多くの方は、「自分と同じように感じているはず」と思いこんでいます。でも、実際には、見ている世界が違うんです。それを理解するだけでも、「なんで分かってくれないの?」という気持ちが、「この人はこういうタイプなんだ」に変わっていきます。
絡まった毛糸をほどくように、夫婦関係を整理していく
――かなり関係が悪化している場合でも、変化はあるんですか?
はい。多くの場合で変化があります。離婚を考えて来られる方もいらっしゃいますが、お話を整理していくと、「相手は相手なりに良かれと思ってやっていた」ということに気づくケースが多いです。いわば、絡まった毛糸をほどいていくような作業ですね。関係性を一つひとつ紐解いていくことで、見え方が大きく変わっていきます。
――すごい。飯塚さん、夫婦の危機を救う救世主ですね。
ただ、私は決して「離婚しないでください」とは言いません。夫婦としての最終的な選択するのはおふたりなので。私がするのは、その最終選択をするための振り返りです。
――「あれは、良かれと思ってやってくれていたことだったのか」と気づきがあったとして、それは過去のことで、今の関係の改善になりますか?
過去も変えられるんです。過去に、「絶対に許せない」って思ったことも、本当は愛情を持って一生懸命やってくれていたことだったと気づけたら、そこから関係を変えていくことはできます。
性格を知るまでは、嫌味としてしか捉えられなかった……ということがたくさんあるんです。性格を学び、その意図を理解できるようなると見方も変わる。そこから、夫婦としてどういう選択をしていくのか、これからどう歩んでいくのか。それは、夫婦でしか選択できないことですが。
――夫婦関係に改善が必要だと感じていても、何もできずにいる人と、改善するために動ける人の違いってなんですか? それも性格ですか?
「もっといい人がいるんじゃないか」とか、「もっといい関係性が他にあるんじゃないか」と、過去に蓋をして、リセットするような感じで次に進むタイプの方は同じことを繰り返します。
他にも、「縁を切れば幸せになれるんじゃないか」と、次に進むタイプの方も、やっぱり繰り返してしまいます。その対応にも性格は関係します。
――ここまで読んだ方の多くは、飯塚さんの夫婦コンサルを受けたいと思ってそうですよね。
私の夫婦コンサルは、夫婦のお悩みは聞かないんです。おふたりのタイプをわかった上で、最初の1時間、私がそのご夫婦の解説をします。「このタイプはこういう摩擦が多い」「こういうタイミングで、旦那さんはこう思って、奥さんはこう思ってる」ということを全て仮定でお話するんです。そうすると、「監視カメラついてるんですか?」とよく言われます(笑)。
――でも、夫婦でコンサルを受けるってすごくいいことですよね。
夫婦同士の性格がわかってくると、お互いの中間地点とお互いの建設的な解決方法がわかってくるってくるんです。自分の中だけでモヤモヤを募らせることがなくなるので、夫婦関係はとても良くなります。
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「相手が悪い」と思っていたことが、性格の違いによる“すれ違い”だったと気づいたとき、夫婦関係は少しずつ変わりはじめます。
「これ、私たちのことかも!?」と感じた方は、きっと今、夫婦関係改善のタイミングが来ているのかもしれません。
次回は、「性格は生まれつき決まっているの?」というお話を伺っていきます。


