教えてくれたのは……富永喜代先生
愛知県松山市の富永ペインクリニック院長。性交痛外来では5000人のセックスの悩みについてオンライン診断を行う。現在、YouTube「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談」が人気に。更年期を迎える女性に起こる、女性器の老化やセックスの痛みについて、自身の経験も踏まえ詳しく解説されている最新著書『女医が教える性のトリセツ』がある。
『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)
著者:富永喜代
価格:1,430円(税込)
息子から言われた「ママのアソコくさいよ」のひと言
「大人女性の性」についての本を出版されたきっかけ
富永先生「今から遡ること8年前、当時小学生だった息子を抱っこしていた時に、息子から『ママのアソコ、くさいよ』と言われたんです。あまりのショックで。そしてすぐに私は『そんなはず、ないでしょう!』と返してしまいました。しかし、実は自分も、薄々は気づいていたんです……。」
具体的には、どんな"サイン”が?
富永先生「脱いだズボン股の部分から、以前とは違うニオイがしていたこと。ショーツの擦れで、ヒリヒリと乾燥して痛みがあること。デリケートゾーンの変化や、ニオイの問題は、女性として恥ずかしく、受け止めきれぬまま、日々を過ごしていたのです。」
一番身近な人(息子)から、ニオイを指摘されたことで、富永先生は、1人の女性として、医師として、この問題について、真剣に向き合うことに決めたそうです。
人には言えない、こんな症状ありませんか?
45歳前後から起こり始める、女性のデリケートゾーンのトラブルは、誰にでも起こる自然な変化です。決して恥ずかしいことではなく、症状を認めて、セルフケアを取り入れることが、快適な生活を送るポイント。
以下の症状に、あなたはいくつ当てはまりますか?
デリケートゾーンについて……
- 膣の乾燥感が気になる
- かゆみがある
- ヒリヒリした灼熱感がある
- ニオイが変わった
尿について……
- 頻尿(8回以上/日)
- 量に関係なく、尿もれをしてしまう
- 排尿が困難なときがある
セックスについて……
- オルガズム障害(イケない)
- 挿入前後に痛みがある
- 性交渉後に出血がある
どれか、一つでも当てはまったら、あなたは「GSM」の可能性があります。
大人女性の2人に1人が「GSM」
GSMとは、一体何なのでしょうか?
富永先生「GSMは、"閉経関連尿路生殖器症候群”の英語の略です。特殊な病気ではなく誰にでも起こる体の変化で、中高年女性の50%以上に生じています。しかし、慢性かつ進行性、自然に良くならないため、セルフケアを早めにすることが重要です。」
同年代の女性がどんなGSMに悩まされているのか……具体的な調査の結果がこちら。
みんな口では言わないけど、同じようなデリケートゾーンのトラブルで悩んでいると知るだけでも、少しホッとしますね。
では、この不快なGSMを回避するために具体的に何をすればいいのでしょうか?
女医がおすすめする「GSM」セルフケア
富永先生「ご自分のデリケートゾーンを見たことはありますか? 日本ではまだ、デリケートゾーンをタブー視する風潮が根強く残っています。でも、膣をはじめとする女性器は、命に関わる『核』となる部分です。普段から、こまめにチェックしましょう。」
大事なのは、デリケートゾーンは「第2の顔」と思うこと!
<おすすめGSMセルフケア>
1.デリケートゾンの状態を「目視」する
健康な時なら、顔色がいいように、デリケートゾーンの見た目も、体調により変化します。乾燥やたるみなど、些細な変化に気づけるよう、普段の状態を知っておきましょう。
2.デリケートゾーンにも「スキンケア」を
顔に化粧水や美容液をつけるように、デリケートゾーンも専用のスキンケアを施すことで、内面から溢れる自信や、「現役感」につながります。
3.デリケートゾーンも「洗いましょう」
理想は専用のソープを使い、大陰唇と小陰唇のヒダの間、クリトリスもちゃんと洗うこと。ただし、膣内を洗うことはNGです。
そして、気をつけたいのが「おりものシート」です。
富永先生「ニオイが気になるからと、おりものシート。尿もれが気になるから、パッドを使う女性をみかけます。ですが、つけっぱなしはおすすめできません。長時間の装着は、ニオイが悪化する可能性が。そこで対処法として、外出時はつけていても、家に帰ったらすぐショーツから外すこと。短時間装着がおすすめです。」
みんな悩んでるから、恥ずかしくない!
老化は見た目だけでなく、デリケートゾーンにまで及んでいます……。女性器の衰えは、「女としての自分」を否定されたようで、なかなか受け入れるのが辛いことですよね。でも、そのまま放っておくのではなく、ちゃんと向き合うことで「新たな魅力」を、自力で引き出していきたいものです。