教えてくれたのは……ウェルスナビ株式会社 小松原さん
働く世代が豊かさを実感できる社会をつくりたいという理念に共感し、ウェルスナビにセミナー講師として入社。2021年は年間約300回のオンラインセミナーで講師を務め、約1,700の質問に答えた。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
少額からでも投資はできる
「貯金に余裕がなければ、投資は始められない」と思う方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、そんなことはありません。100円から買える投資信託や、ポイント運用のサービスなどを活用すれば、少額から投資を始めることはできます。
ただし、老後に備えて本格的に資産形成を行いたいなら、少額の投資だけでは十分ではありません。月々の収入の中から、ある程度まとまった金額を貯め、投資にまわすお金を作る必要があります。
目標の目安は「収入の10%」
では毎月、どのくらいのお金を貯めればよいでしょうか。
目安となるのは「収入の10%」です。たとえば毎月30万円が入ってくる場合、そのうち3万円を貯めることになります。収入の10%を貯める習慣がつけば、年収が上がったときには、適正な生活水準を保ちながらさらに多くのお金を貯められるようになります。まだ余裕があるという場合は、「収入の20%」まで目標を上げてもよいでしょう。
こうして着実にお金を貯められるようになれば、将来に向けた資産運用に取り掛かれるようになれます。
投資にまわすのは余裕資金
以前の記事でご説明したとおり、投資は10年以上の長期にわたって、じっくりと資産を増やすことを目指します。ですから投資にまわすのは、当面使う予定のない「余裕資金」です。
反対に、近いうちに使うお金は投資には向いていません。食費や光熱費といった生活資金、旅行や引っ越しの費用などは預貯金として手元に置いておきましょう。
会社員であれば6カ月~1年分、自営業であれば1年~2年分が目安になります。会社員は病気やケガ、失業のときに傷病手当金や失業保険の制度を使えますが、自営業の場合はそうした保障が少ないので、手元のお金を厚めにもっておくとよいでしょう。なお災害のように、発生する確率が低いものの発生した際の損失が大きいイベントに対しては、保険で備えることが有効です。
出費が必要になりそうなお金を確保したうえで余裕があれば、残りのお金を将来に向けた投資にまわすことがおすすめです。少額からでも始めて経験を積んでおくことで、早いうちから投資の感覚を身に着けることができます。将来、余裕資金が増えてより多くのお金を投資にまわす場合に、その経験が役立つでしょう。