教えてくれたのは……東京都市大学 早坂信哉先生
東京都市大学人間科学部学部長、教授。医師、博士(医学)、温泉療法専門医。入浴や温泉などに関する医学的な効果を研究。これまで25年にわたり3万人以上の入浴を調査し、テレビ出演や講演会も行なっている。
最新医学が明かす「入浴7大効果」とは!?
1.体を温めて血流アップする「温熱効果」
血液は、酸素や栄養、ホルモン、免疫物質など体に必要なものを届け、老廃物などの不必要なものを回収する働きがあります。体が温まると、血管が広がり心臓の働きが強くなります。たくさんの血液が身体中を巡るようになると、ウイルスや細菌に対する防衛機能がしっかり働き、免疫力が高まります。シャワーだけでは、体温の上がり方が弱く、十分ではないため、湯船に浸かることでしか得られない効果になります。
2.むくみを解消する「静水圧効果」
お湯の水圧によって、全身がマッサージされた状態になり、血流が良く流れるようになります。この効果によって「むくみ」が解消されます。特に足など血液が溜まりやすいところに、効果が感じられるようです。
3.筋肉や関節の緊張をとる「浮力作用」
水の中では、体重が「10分の1」程度になります。陸上では筋肉が体を常に支えていますが、水中ではそれから開放されます。これにより、筋肉や関節がゆるみ、リラックス状態になることができます。
4.汚れを落とす「清浄作用」
お湯に浸かることで毛穴が開き、汚れや皮脂を流れ出させる効果があります。
5.免疫力を高めて、自律神経を整える「蒸気・香り作用」
喉や鼻の粘膜は、乾燥すると免疫力の低下を招きやすい部分です。湯船から登る蒸気で湿り気を与えることで、乾燥を防ぎます。また、入浴剤やアロマオイルなどを使うことで、浴室内に香りが充満し、自律神経の調整にも役立ちます。
6.手軽な運動療養効果がある「粘性・抵抗性作用」
水中では、少しの動きでも陸上より抵抗を感じます。湯船の中で、ゆっくりとした運動やストレッチを行うことは、筋肉に刺激を与えることができます。
7.リラックス効果がある「開放・密室作用」
1人でお風呂に浸かる時間は、心と体が開放的になる究極のリラックス空間です。ストレスの解消が期待できます。
毎日の入浴で将来の「介護リスク」が29%も減少!
千葉大学と東京都市大学の共同研究から、毎日湯船で入浴している人は、3年後に要介護になるリスクが29%も低かったことがわかりました。
入浴により、血の巡りが良くなったり、リラックスしてうつ状態になることを防ぐなどといった効果が、認知機能の低下を防いだり、要介護になる確率を下げているのではないかと考えられているそうです。
なんとなく行っている日常の習慣が、実はとっても健康によかったと知れると、なんだか嬉しくなりますね! ご家族とも共有しながら健康な生活を心がけましょう。
次回は、冬に入浴するときオススメの飲み物を、入浴効果をより高めるポイントと合わせてご紹介します!