「タイパ」と聞いてピンとくる?Z世代の子どもの価値観から考える“親子のコミュニケーション”

家族・人間関係

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 「タイパ」と聞いてピンとくる?Z世代の子どもの価値観から考える“親子のコミュニケーション”

2023.04.10

臨床心理士・公認心理師のyukoです。どの時代にも親子間で問題となるのがジェネレーションギャップ。スマホの普及やSNSの浸透など、特にこの10数年には大きな変化がありました。Z世代である子どもと親世代の違いとはいったい。それぞれの価値観と、ギャップの埋め方を模索していきます。

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もくじ

Z世代の特徴とは?
SNSネイティブ・デジタルネイティブ
コスパ<タムパ(タイパ)
モノ・コト消費からイミ消費へ
子どもに伝えて行きたいのは「ネットからは得られない知識」
親子関係にも「アップデート」を

Z世代の特徴とは?

Z世代は、1990年代後半に生まれた、おおよそ25歳以下の世代を表していると言われています。
アメリカが発端となり数年前から使われていましたが、若い世代のお笑い芸人をさす言葉として一気に広まった印象がありますね。

そんなZ世代の価値観にはどのような特徴があるのでしょうか。

SNSネイティブ・デジタルネイティブ

第一の特徴はSNSやネットとの繋がりがどの世代よりも濃い点です。

生活の中にSNSが溶け込んでおり、学びや発見を得たいときはYouTube、世間のトレンドや知り合いの近況を知りたいときは「Twitter」、数分・数秒の空き時間には「TikTok」。

スマホを触る若者出典:stock.adobe.com

それぞれのSNSがもつ特徴をうまく使いこなしており、TVや新聞には面白味や利便性を感じにくい世代といえます。

コスパ<タムパ(タイパ)

買い物において、”コスパ”(費用対効果)を重視する方は多いですよね。
一方、Z世代は”タㇺパ(タイパ)”(時間対効果)を重視する傾向があるといわれています。
実際、現代の若者がいかに時間の節約に重きを置いているか解説している「映画を早送りで観る人たち」(稲葉豊史 光文社)はベストセラーになるほど。

幼い頃からデジタルツールを使いこなすZ世代は、多様な情報を素早く取り入れ、より効率的に取捨選択する術が身についているんですね。

図書館に足を運び、辞書をひかずとも、スマホ1台で無限の知識を得られるようになった今。
年間100本映画を見るのも、次々と移り変わるベストセラーに目を通すのも、誰もが容易にこなせてしまうからこそ、”当然の履修事項”として頭に入れておく必要があるんです。

モノ・コト消費からイミ消費へ

モノの「所有」に価値が置かれていた昭和、モノの「機能・ブランド」に価値が置かれていた平成。
令和では、モノの背景にある「社会的・文化的意味」に価値がおかれやすいようです。

Z世代は、震災・コロナ・ウクライナ侵攻など、世界に関わる社会情勢を身近に体感してきた世代ともいえます。
また、未来への配慮も含めたSDGs・多種多様な価値観を認めるLGBTQなど、広い視座を求められる教育を受けていますよね。

考える女子学生出典:stock.adobe.com

便利なモノがなんでも手に入る今だからこそ、「環境への配慮」「地域貢献」「復興支援」など、"モノの付加価値"をより強く意識するようになったんです。

子どもに伝えて行きたいのは「ネットからは得られない知識」

「大人の経験」や「知り合いから聞いたこと」から学んでいた時代は、経験者が未熟者に知識を伝達するのが当然でした。

しかし、世界の情報が手に入るインターネットを使いこなすZ世代に対しては、どうでしょうか。
親の経験を伝えても「それは昔のことでしょ。今はね……」と言い返されてしまいます。
インフルエンサーの影響から、小学生の子が「それってあなたの感想ですよね」と言って大人の意見をバッサリ切ってしまう光景も最近よく目にします。

正しいか正しくないかは別として、子どもがネットから得た情報が親の知識を上回る瞬間は増えてくると思います。
ですがそれは、「親が教えなくていい理由」にはなりません。

ネットやSNSから取り入れる情報は、短絡的で極端な見解に陥りやすいのもまたひとつの事実です。

「それもひとつの考えだけど、こういう考えもある」
「世間ではそう思う人が多いかもしれないけど、私の気持ちとしては~」
など、考え方の幅を伝えたり、親自身の気持ちを踏まえた意見を伝える役割も欠かせません。

親子の会話出典:stock.adobe.com

状況に応じた対応や、人の気持ちを踏まえた考え方など、ネットだけでは身につけられない経験則を伝えていくのが重要です。

親子関係にも「アップデート」を

人は誰しも、時代や場所の文化に影響を受けて成長していくもの。
子どもを取り巻く社会を知ることは、子どもへの理解にも繋がっていきます。
時代に合わせて、親子関係も「アップデート」していけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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