節約方法がより理解できる!
エアコンの冷やす仕組みを知ると、これからご紹介する7つの節電方法が、どうして電気代の節約につながるかを理解できます。
部屋が暑いと感じるのは、空気中にたくさんの「熱」があるとき。エアコンは、この熱を外に運び出すことで、部屋を冷やしてくれます。
エアコンは「室内機」と「室外機」がパイプでつながっていて、室内の熱を外に送り出しているのです。
<部屋を涼しくする仕組み>
- 室内機のファンが「暖かい空気」を吸い込む
- 熱交換器で「暖かい空気」から取り出された熱は、冷媒(熱を運ぶガス)によって室外機に運ばれる
- 熱が少なくなった「冷たい空気」は部屋の中に戻される
- 室外機に運ばれた熱は、熱交換器で取り出され、ファンの風に乗って外に出る
- 熱を手放した冷媒は、ふたたび部屋の熱を運び出すために室内機に戻ってくる
7つの節電ポイント
毎日の生活で実践したい、エアコンの節電法7つをダイキンさんに教わりました。節電は熱をスムーズに集めて、逃がすことがポイントになるんだそうです。そのためにできる7つの方法をさっそくご紹介します。
1.空気の通り道をスムーズにする
空気の通り道をふさがないために、フィルターにホコリをためないようにしましょう。どうして、ホコリをためないようにすることが節電につながるのでしょうか。
ホコリがないフィルターと、ホコリがたまったフィルターの差を見てみましょう。
〈ホコリがないフィルター〉
室内の熱を集めるのは、室内機です。室内機が熱をスムーズに集められないと、無駄な電気を使ってしまいます。効率よくスムーズに熱を集めるには、室内機の中にある熱交換器に、より多くの空気を通すことなんです。
〈ホコリがたまったフィルター〉
外から空気を入れて、室内機の中にある熱交換器に空気を通すとき、空気の通り道にはフィルターがあります。このフィルターにホコリがたまっていると、空気の量が減ります。これでは、熱を集める効率が悪くなり節電にはつながりません。
<ホコリをためないようにするには?>
フィルターを1年掃除しないと消費電力量が約25%(※1)も無駄になってしまうこともあります。ちょっとした時間をみつけて、2週間に1回を目安に、フィルターの定期的な掃除をしましょう。
※1:JRA4046-2004に準拠した運転条件で、フィルター掃除した場合(1,145kWh)と、しない場合(1,432kWh)で算出した年間電気代比率。1年後のホコリ量は2gで試算(ダイキン調べ)。エアコンの運転時間、使用環境によりお手入れ期間が異なることがあります。
2.空気の通り道をふさがないようにする
室内機だけではなく、室外機にとっても空気の流れはとても大切です。
例えば、室外機の周りに荷物や植木鉢などを置いたり、落ち葉がたまってしまうこともありますよね。障害物が室外機の吸込口や吹出口をふさいでしまうと、熱を効率的に逃がすことができなくなり、無駄な電力消費に繋がります。
<どうしたらいいの?>
空気の通り道をふさがないためには、室外機の周りをスッキリさせることが大切です。荷物などの場所を移動する、枯れた葉っぱをこまめに掃除をするなど、余計なモノは室外機の周りに置かないようにしましょう。
3.スイッチのオン・オフの使い方も大切
エアコンには、電力のほとんどを使っている部品があります。その部品は、圧縮機と呼ばれ、室外機の中にあります。「エアコンの心臓」ともいえるほど大切な部品です。
この圧縮機を動かすために使う電力は、エアコンの消費電力全体の約80%も使われているそうです。
80%と、ほとんどの電力を使っている圧縮機の消費電力を抑えることができれば、節電に繋がります。圧縮機の動きを確認してみましょう。
<圧縮機の働き>
- 電源を入れてすぐは、設定温度をめざして部屋を冷やすため、圧縮機はより多くの熱を運ぼうと運転の力を強める働きがある
- 部屋が適温になると、圧縮機は室温を維持できるほどの少ない力で安定運転を続ける
- 部屋が暑くなると、多くの熱を運ぼうと運転の力を強める
エアコンのスイッチのオン・オフを繰り返すと、圧縮機への負荷がかかり、多くの電気が必要になるんだそう。ダイキンさんの実験で、日中の30分程度の外出では、つけっぱなしの方が節電になるという結果も出ています。温度調節のための頻繁なオン・オフはなるべく控えるようにしましょう。
※目安の時間は、室内機、室外機の設置状況や天候、日照、最高気温、最低気温、部屋の気密性、断熱性などによって大きく変わります。
4.風量を上げる
エアコンをつけ始めたときに「早く涼しくしたい」と思いますよね。エアコンの設定温度は何度にしていますか? 設定温度を下げると、熱を多く運ぼうと、電力を使うんだそうです。この電力を抑えるために、設定温度を下げるのではなく、風量を上げるのもひとつの工夫だそうですよ。
設定「温度」を下げるとき、「風量」を上げるときで、動く部品が異なることも理解しておくと節電に効果的です。
- 温度……圧縮機
- 風量……ファン
エアコンの消費電力量の80%を占める「圧縮機」よりも、消費電力が少ない「ファン」を動かすと、節電に繋がります。
5.風量を自動に設定する
「風量弱め」と「風量自動」を比較した時、どちらの方が節電に繋がると思いますか?
- 風量自動……スイッチを入れたあと、どんどんと熱を運び出し、部屋を涼しくする
- 風量弱め……熱交換器を通る量が減り、熱を集めるのに時間がかかる
風量を弱めに設定することで、圧縮機に負担がかかり、余計な電気代がかかります。一方、風量を自動に設定すると、必要な分だけ室内の熱を減らせたら、あとはお部屋の温度を維持できるように安定運転を続けます。「風量自動」は圧縮機の負荷を減らすので、風量弱めと比べて、電気代を抑えやすくなります。
6.風向きは水平にする
室内は、温度の差が出やすいことをご存知ですか? 暖かい空気は、上昇する性質があるそうです。そんな性質があるので、冷房中は床付近と天井付近に温度の差が出ます。
この温度の差を「温度ムラ」といいます。エアコンの室内機は、暖かい空気がたまりやすい天井付近にあるので、その温度をセンサーが見て室内機は部屋を冷やそうと電力を使います。風向きが下向きになっていると、床に冷たい空気がたまりやすくなり、温度ムラができやすい状態になります。温度ムラを抑え、消費電力を抑えるためには、風向きを工夫しましょう。
〈風向きを水平にする〉
風向きを水平にすることで、冷たい空気が上から下に自然に降りるようになります。これで、温度ムラを抑えることができます。
7.空気清浄機・扇風機・サーキュレーターの活用
完全に温度ムラを解消するのは難しいんだそうです。時間の経過と共に、温度ムラはできてしまいます。その温度ムラを抑えることで、節電につなげる方法があります。
空気清浄機や扇風機、サーキュレーターが自宅にある方は活用しましょう。
<温度ムラを抑える方法>
- エアコンと向かい合わせに、空気清浄機や扇風機、サーキュレーターを置く
- ななめ上、天井方向に風を持ち上げるように送る
無駄な電力消費を抑えるポイントは、気流をコントロールすることです。室内の空気をかき混ぜることで、部屋全体が均一な温度になっていきます。
いかがでしたか? 電気代を考えると、エアコンを使うのを戸惑ってしまうこともありますが、電気代を抑えるポイントは7つあります。冷やす仕組みを理解して、上手に電気代を節約していきたいですね。
参照:ダイキン「エアコンの冷やすしくみと電気代の関係」