仲良しだから良いとは限らない。「夫婦仲」が子どもにあたえる影響

家族・人間関係

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 仲良しだから良いとは限らない。「夫婦仲」が子どもにあたえる影響

2024.01.27

臨床心理士・公認心理師のyukoです。夫婦喧嘩ばかりの家庭か、夫婦円満の家庭。どちらがよいかと聞かれたら後者を選びますよね。ただ、夫婦円満であればあるほどよいとも限らないんです。どんな夫婦仲であれば子どもによい影響を与えていくか、またその逆はどうなのか、家族や夫婦のバランスを考えていきます。

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どんな夫婦仲が子どもによい影響を与える?

日々子育てをする中で「子どもにどう接するか」は皆さん考えられると思います。一方、「夫婦仲がどれくらい影響するか」に目を向ける機会は少ないのでは。

夫婦喧嘩が多すぎたり、激しすぎるのは子どもによくない影響を与えるとイメージしやすいでしょう。では、夫婦喧嘩以外の関係性やコミュニケーションはどのような影響を与えるのでしょうか。

子どもにとっては、どんな夫婦でいることがよいのかを考えていきます。

子どもにとってよい夫婦であるために思い出したいこと

仲良しであればあるほどよいとは限らない

夫婦の仲が良く、家庭がいつも明るいのはたしかに良い家庭といえるでしょう。
しかし、仲が良ければ良いほど子どもが居心地よく感じているかと問われると、一概にそうとも限らないんです。

例えば、

  • 親がいつもパートナーの意見に同調している。
  • 親子喧嘩をしたとき、パートナーばかりをかばう。
  • 家族全体で話し合う機会が少なく、いつも夫婦間で大切なことが決定される。

夫婦出典:stock.adobe.com

夫婦で足並みを揃えるのは大切ですし、夫婦が相反する意見ばかりを言っていたら子どもは板挟みになってしまいます。しかし、夫婦であっても互いに一人の大人として意見を言ってくれる方がありがたいときもあります。

「パパがそうやって言うなら」「ママが言ってるんだから」ばかりではなく、それぞれの意見を伝える機会もあるとよいでしょう。

また、親子喧嘩をしたときも、内容によって判断する姿勢が望まれます。
パートナーを思いやる気持ちはもちろん大切ですが、家族それぞれをフラットな視点で考えるのも必要なんですね。

嘘や隠し事はわかっている子が多い

幼い頃、「子どもはまだ知らなくていい」と言われた経験はありませんか?
自分が親になると、お金の話や現実的な話は子どもに知ってほしくない、知られるべきではないと思うものもありますよね。

しかし、その采配は難しいところ。
夫婦間ばかりで大人な話や大切な話を共有して、子どもには教えられない。そんな経験が積み重なっていくと疎外感を抱きやすくなります。

子ども出典:stock.adobe.com

「子どもはあっち行ってなさい」だけではなく、「今は〇〇について話してるから少し違うことしてて」や「あとで大切なことはしっかり伝えるね」などと言葉を添えられると子どもも安心しやすくなります。

「大人が想像する以上に子どもはわかっている」という意識をもっておけるといいですよね。

察する、くみ取る負担を減らす

夫婦喧嘩は、回数よりも質が子どもに影響します。

ちょっとした言い合いや、冗談交じりのやり取り、喧嘩しても仲直りして話し合える。そんな夫婦のいさかいは子どもが見ていても、さほど負担にはなりません。

一方、言い合いが少なかったとしても、重い空気や暗い雰囲気が長く続いていると、子どもの負担になります。
特に、両親双方の顔色をうかがわないといけなかったり、空気を読んだ発言をしないといけない、気を遣って行動しなければいけないなど、「察する負担」はストレスに。

悩む子ども出典:stock.adobe.com

明るく過ごすのが難しいときは「ちょっと今イライラしちゃってるから、先に寝るね」「どうしてもパパに腹立ってるから今は距離置いてるの。また明日話し合えるようにするね」など、はっきり気持ちを伝えるのもひとつ。

子どもに気を遣わせない工夫、親の不機嫌を長期化させない工夫をしていけるといいですよね。

人間らしい姿は見せても大丈夫

いつもにこにこ笑っている親でいたり、夫婦円満でい続けるのは理想かもしれませんが難しいもの。コミュニケーションの齟齬や気持ちのすれ違いで親がプリプリと怒っていたり、多少言い合う姿は見せても大丈夫。

むしろ、そのような素の人間らしさを見せるのは、子どもが成長していくうえでよい影響を与えるんです。

  • 喧嘩したあと、どのように仲直りしていくかを知れる。
  • 自分の機嫌を取る方法と相手の機嫌を取る方法を見て学べる。
  • 家族の前では気を遣わず自分の気持ちを出してよいんだと思える。

ほどよい夫婦の現実を見せられると、子どもが抱く家族の理想像も肩肘貼らない適度なものになってきます。
家庭内ではスイッチをオフにして、親のよいところもダメなところも見せていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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