お話を伺ったのは…秋山信子さん
1975年大阪生まれ。元保育士。一般社団法人 こども睡眠カウンセラー協会 代表
重度の脳性まひ児として生まれた三女の睡眠障害をきっかけに現代医療だけでは限界を感じ、
アロマテラピーを主とする自然療法と栄養療法を取り入れた結果、睡眠障害の改善に成功。
睡眠障害に悩む子どもの親のためにアロマ商品の開発や講座を開講する。
発達障害や起立性調節障害などで、睡眠障害や、不登校になっていた 深刻なケースの子どもたちも、独自プログラムで全員が改善している。
推しは坂口健太郎、好物は大阪十三名物喜八洲のみたらし団子。
夜更かし・朝寝坊
1番多い悩みは「夜更かし・朝寝坊」タイプ。
酷くなると昼夜が逆転し不登校になるケースもあり、心配は尽きません。秋山さんに実際に効果のあった対策について伺いました。
布団にスマホを持ち込まない
まず大切なのはスマホの扱いです。スマホは朝まで他の部屋で充電をする、絵本や漫画などは布団から離れた場所で読んで、「眠くなってから」布団(ベッド)に行くようにするなどのルール設定を小さい頃から行うことが大切。
部屋の照明
夜はリビングや子ども部屋の照明を暗めにします。調整ができない場合は明かりの種類を電球色の暖かみのあるタイプに変更しましょう。
浴室の明かり
できるだけ睡眠の90分前までに入浴は済ませます。この時も照明は暗めに。
真っ暗は怖い、という場合は洗面所の明かりはつけたまま、浴室だけをオフにするという方法も。たったこれだけで寝つきが良くなる子もいます。
朝、日光に当たる
通学通園時に日光に当たると、夜に睡眠物質メラトニンが分泌され、自然と眠りにつけるのですが、例えば学校を休みがちで部屋に閉じこもっていると、充分な分泌は期待できません。
とはいえ無理に外出する必要は無く、例えば「朝、空の写真を撮ってみる」「窓際のソファでゲームをする」など、可能な範囲で日光に当たるようにすればOK。
朝ごはんにお味噌汁とタンパク質、ビタミンとミネラル
朝、かつお節で取ったおだしとタンパク質やビタミン、ミネラルと一緒にを摂ると、14時間後に睡眠物質の分泌が活発になります。(大人の場合は16時間後)これは、かつお節に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンから睡眠ホルモンとして知られるメラトニンが生成されるためです。
寝つきが悪い子どもには特に効果が高く、こども睡眠カウンセラー協会には、朝食の工夫をする家庭から、多くの朝食チャレンジの写真が集まっています。
夜驚症(睡眠中に叫び声や悲鳴)
【お悩み1】小4 女の子
長女の夜驚症が悩みです。インフルエンザが治った後に再発しました。
酷い時は泣きながら家の中を徘徊したり走ったりしますが、本人はあまり覚えていないようです。
【お答え】夜驚症は、眠っている時に突然起き上がり、大声で叫んだり歩き回るなどの行動が見られますが、ほとんど本人の記憶には残りません。主に3~6歳の子どもによく見られ、思春期までに症状が無くなります。
ご相談のお子さんは、インフルエンザ中、つまり日中に自宅にいる期間には症状が出ていなかったようなので、もしかすると学校での何らかのストレスを感じているのかもしれません。
理由を聞いてみるのではなく、スキンシップを心がけ「あなたがどんな状況でもいつでもそばにいるよ」と、安心させてあげてください。
じゃれ合うなどの遊びの延長で少し体にさわってみるだけでも効果があります。頭を撫でたり、手を握るだけでも安心を得られます。
また、しっかり目を合わせて会話をすることも大切。「どんな時でも受け入れてくれる」という安心感を子どもは日々の小さなアクションから得ています。
加えて睡眠ホルモンの分泌が促進するように「夜更かし・朝寝坊」の対策として挙げた朝食や照明の工夫も取り入れましょう。
腕枕をしないと寝ない
【お悩み】4歳 女の子
「腕枕をしないと寝ない」という悩みがあります。
小さいことですが、腕が辛く、肩が凝ります。自分の腕でセルフ腕枕をしているときもあります。
【お答え】
眠るときにはそばにママがいてくれる、という安心感が心地良いのだと思います。とは言うものの確かに腕が痛くて大変ですね。
子どもが求めていないとき、眠るとき以外のタイミングで、こちらからほっぺたを触ったり、手を握ったりして会話をしてみましょう。すると「いつでも触れてもらえる」ことに安心して、入眠時のこだわりが薄らぎます。
「おはよう」「いってらっしゃい」「おやすみ」のハイタッチを家族の日課にしてもいいですね。声をかけ目を見て手を合わすと、子どもだけではなく実は大人も気分が上がります。お互いに心のエネルギーを少しずつチャージするようなイメージです。
帰宅時やお風呂上りに好みの香りのクリームでハンドマッサージをしてあげるのもオススメ。触れ合いながら穏やかな時間を過ごせば、心が満たされるはず。きっと腕枕も卒業できますよ。
生活に取り入れやすいルーティンで
秋山さんの提案は、いずれも薬物に頼らず生活習慣に取り入れやすいメソッドばかり。睡眠は成長を促す健康の基本。安眠のため、無理なく毎日のルーティンに取り入れるといいですね。