教えてくれたのは……心理カウンセラー・気功師範 佐藤城人さん
過去にアルコール依存症を患った経験があり、克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。
インナーチャイルドを抱える方々を中心に、これまで10年間で約5000名様の悩みをサポート。特製タロットカードやカラー&アートセラピー・NLPを取り入れたセッションを得意とする。2019年(令和元)カウンセラーを養成する一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会を設立。
幸福感が低い人の「2つの話し方」
幸せの形は人それぞれですが、幸福感が低い人には話し方、言葉選びに特徴があります。代表的なものは、次の2つです。
1.「自己卑下」と「謙遜」を混同した話し方
2.周囲の視線を過度に気にする話し方
それぞれ、わかりやすい具体例を挙げて解説し、解決方法も併せてお伝えします。
1.「ありがとう」ではなく「そんなことない」「すみません」を使う
例えば、あなたの洋服を友人が褒めてくれたとします。あなたは次のどちらの言葉で返しますか?
- 「そんなことないよ。こういう服私には似合わないと思ってる……。」
- 「ありがとう!でも実はこの洋服、スーパーのセール品で安かったんだ~。」
日本には謙遜の文化があり、謙譲の言葉が存在します。この謙遜と混同されがちなのが、自己卑下です。上記の例でいうと、1が自己卑下、2は謙遜の言い方になります。
自己卑下と謙遜の見分け方を考えてみましょう。
- 自己卑下 : 「自分は似合っていない」と自分の価値を下げています。
- 謙遜 : 「スーパーのセール品」と品物の価値を下げています。
自己卑下する場合は「自分自身の価値」を下げ、謙遜の場合は「品物の価値」を下げているところに違いがあるのです。
幸福感を下げてしまう口ぐせのひとつが「そんなことない」「すみません」です。「ありがとう」と感謝すべき場面であやまったり、否定したりすることは、自己卑下になってしまいます。
「自分には価値が無い(=自己卑下)」と思っているから、つい出てしまう言葉たち。「私なんか」が口ぐせの人も同じです。
これらの言葉が耳から入ってくると、卑下や否定感が伴うため、褒めた側も良い気分はしません。結果的に人間関係がギクシャクしてしまい、幸せも逃げてしまいますよね。
解決する方法はとてもシンプル。褒めてもらった場合は素直に「ありがとう」とお礼を伝えることです。お互いに気分がよくなり、より良い関係が築けます。
2.「自分がどう見られるのか」自分本位になっている
例えばあなたが子どもに対して、「あなたのためを思って言っているのよ」と言ったとしましょう。この言葉は、次の2つの意味で解釈することができます。
- 自分が周囲から変な親だと思われたくない
- 子どものことをちゃんと見たうえでの発言
周囲の視線を気にする人は、1の解釈をしているのではないでしょうか。この場合、子どもは「自分のことを見ているのではなく、世間体のほうが大事なんだ」と敏感に察します。
「自分がどのように見られているのか」に意識が向いてしまい、意思の疎通が取れていない状態になります。子ども自身も、周囲の視線を気にする大人になってしまうかもしれません。
視線の方向性で考えると、
1は【他者→自分】で、他者からの視線を気にする方向性。2は【自分→他者】で、自分から他者や周囲を見る方向性です。
「相手の顔色をうかがう」「人に迷惑をかけてはいけない」これらも、自分から相手への配慮や気遣いであれば問題はありません。しかし、視線の方向性が“他者→自分”となると、「相手の顔色を見るのではなく、自分がどう見られるのかを気にしている」「相手への迷惑ではなく、自分が迷惑な人と思われたくない」ことになります。
「私がこれだけ気を遣っているのに!」と怒る人や、自分が傷つかないためには何もしない方がよいと消極的な人もいます。相手への気遣いのはずが、いつの間にか「自分本位」になっていますよね。
解決する方法は、自分の五感をしっかりと使うことです。
例えば、
- 朝起きたら朝日をしっかりと自分の目で見て視覚で感じる。
- 庭に咲く花を見るなど、自分の周りに起こるちょっとした変化を敏感に感じ取る。
このように五感を意識するだけでも、視線の方向性が「自分→他者、周囲」へ変わっていきます。
幸福になるためのヒントは、「ありがとう」を口ぐせにすることと、自分の五感を大切にすること。この2つを実践してみると、よりよい方向変化に感じられるようになるかもしれません。