楽しいはずの行事を休みたがるのはなぜ?
運動会や課外学習、学園祭など、一見楽しそうに見える行事ごとを休みたがる子がいます。親からすると、楽しいイベントなのになぜ?と思うかもしれません。
しかし、普段の授業であれば問題なく登校できても、行事だからこそ苦痛を感じる子も多いのです。
行事では集団行動を強いられたり、その場の雰囲気に合わせてテンションを変えたり、クラスメイトとの距離が近くなったりせざるをえません。また、人前に出て発表したり、自分のパフォーマンスが人に見られるのが嫌と感じる子も。
子どもが行事ごとを休みたいと言ったとき、親はどのように対応すればよいのでしょうか。
【重要な視点】「休みたい」の深刻度を理解する。
運動会の参加を嫌がる子のお母さんから、こんな話を聞きました。
小1、小2はしぶしぶながら参加していたが、小3から運動会の参加を拒否するようになった。ダンスをしている姿を見られたり、集団行動の練習に参加するのが苦痛とのこと。学校そのものも嫌になりそうだったので小3では練習を見学し、当日も休ませた。小4はダンスのみ不参加として出られそうな競技に出た。小5は端っこの方の位置にしてもらい、ダンスも参加したとのことでした。
子どもに耳を傾けた親御さんの関わり、少しずつ取り組もうとする子ども自身の努力、学校側の配慮が合わさった結果、苦手と向き合っていけたのだろうと感じます。
全てのケースが順調にいくとは限りませんが、まずは「休みたい」の深刻度を理解して対応するのが重要です。
- 苦手な行事を休まなければ他の日まで楽しくなくなってしまう。
- 当日を想像するあまり、日常が憂鬱になっている。
- 本番を迎えるまでは嫌だけど、いざ当日を迎えたらあっけらかんとしやすい。
- 並び順を変えてもらう、先生が近くにいてくれるなどの対応で苦痛度が変わる。
何がどうなっても嫌なのか、周囲の対応の変化で負担が和らぐのか。出来事が起こっているときだけストレスを感じるのか、長くストレスが続いているのか。
子どもからヒントをもらうイメージで尋ねていけるとよいでしょう。
安心・安全を感じられて初めて楽しめる
課外学習や運動会など、親御さん自身の経験として楽しい記憶があるものであれば、「行ったらきっと楽しい」と思って勧めたくなるでしょう。
たしかに、行ってみれば想像より悪くならなかったと感じるケースも多いでしょう。
しかし、新しい場所・不安を感じる出来事を乗り越えるためには「安心感」が必要。
「何が起きても大丈夫だろう」「きっとなんとかなる」という安心感を感じられず、不安ばかりが募っていたら楽しみにくいものです。
まずは、一切の安心がなく不安ばかりが頭を占めているのか。これがあれば安心という条件があるのか。なんとなく少し不安という程度なのか。
安全感・安心感に着目して様子を見てみるのもよいでしょう。
苦手から逃げてしまうと癖になる?
親が許してしまうと苦手を克服する機会を失ってしまうのではないか、と悩む親御さんは多いです。
1度休むとこの先も休み続けてしまうのではないか、活動の幅が狭まってしまうかもしれないと心配に思う気持ちはもっとも。
ですがやはりこれもケースバイケース。「頑張ってよかった」と思える子がいる一方、無理に参加させて負担が募って気力がなくなってしまう子もいます。
ひとついえるのは、「今、この行事に参加しなければずっと苦手を克服できない」わけではないということ。
多くの方は、「小学校のときは〇〇ができなかった」「小さい頃は〇〇が苦手で苦痛だった」と語る一方、成長とともに付き合い方を身に着けています。
極端な話でいうと、引っ込み思案で口下手だった子が高校になって数週間の海外留学に行ったら人が変わったように意見を言えるようになる子もいるほど。
「今しかない」わけではないと考えておくと、子どもに寄り添った前向きな関わり方ができるでしょう。