教えてくれたのは……マインドトレーナー 田中よしこさん
株式会社コレット代表取締役。心理学・脳科学、コーチングの知見を取り入れ、「自分を本当に知る」ことをメソッド化。個人セッションやセミナーなどを中心に、潜在意識を整え、本心と「未来の理想の思考」を引き出す方法を伝えている。『モヤモヤしない考え方』(ワニブックス)より新刊発売。
人生の幸福度が下がる「5つのNG」
幸福度を上げるのも下げるのも、私たちの日々の言動次第です。難しいことはなく、少しのコツで変えることができます。5つのNGポイントをご紹介するので、日々の生活を振り返りながらチェックしてみてくださいね。
1. ネガティブな言葉を使う
私たちの脳は、日常的に行っている自己対話に強く影響されます。「自分には無理だ」「どうせ失敗する」「これは嫌い」といったネガティブな言葉を自分自身に投げかけることで、自己評価がどんどん下がり、挑戦する意欲が失われてしまいます。
たとえば、「あの人、ムカつくよね」と悪口を言うと、頭の中にもその言葉が残りますよね。このように、他人の悪口を言うことでも頭の中にイメージが浮かぶため、自己対話がネガティブなものであれば自分にもダメージがあるのです。
プラスのイメージが出る言葉だけを使うと、幸福度が上がる脳の使い方ができます。脳科学的には、ネガティブな言葉はストレスホルモンの分泌を促し、感情のバランスが崩れやすくなることが分かっています。使っている言葉を改めて確認してみましょう。
2. 完璧主義を追求する
完璧を求めすぎる行動も、人生の幸福度を大きく下げる要因です。たとえば、仕事や家事において「100%完璧でなければ意味がない」と考えてしまうと、失敗や小さなミスに対しても過度に自分を責めてしまいがちになります。このような完璧主義は、達成感よりも足りていないことにフォーカスをあてるので、できたことを喜ぶことなく、次々にできていないことを探してしまうことに。これでは幸福を感じる余裕はなくなってしまいますよね。
心理学の研究では、完璧主義者は高い不安感や燃え尽き症候群に陥りやすいことが報告されています。完璧を目指すのはよいことですが、「今日はここまでできた」と自分のプロセスを確認する視点も持ちましょう。
3. 人間関係に依存しすぎる
他人からの承認や評価に強く依存すると、自分の幸福感が他者の言動に左右されやすくなります。たとえば、SNSでの「いいね」や周囲からの賞賛を過剰に求めてしまうと、相手の反応が薄いときに不満や孤独感を感じてしまうことがあります。
このような行動は、自己価値を自分で決めず、他人にゆだねてしまう脳の使い方をしている証拠です。この思考パターンを使い続けると、安定した幸福感を保つことができなくなります。脳の報酬系は、他者の評価を追い求めるときに一時的に活性化するものの、それは長続きせず、結果として幸福度が低下することが知られています。
4. 経験を重視しない
脳にとってのご褒美であり、私たちが成長できる最速の方法は、“経験”です。経験ほど、学びと成長を促すものはありません。動画を見るだけに留まるよりも、一度実際にやってみたほうが得るものは何倍にも増えます。
それでも、「面倒だから」「お金がないから」「時間がないから」といった理由で、新しい挑戦や、やってみたいことを先延ばしにしてしまっていませんか? プラスの経験もマイナスの経験も、とにかく試してみることが素晴らしいことなのだと自分自身に教えてあげましょう。失敗が怖い人は、まずは小さなチャレンジから始めてみてくださいね。
5. 自分の感情を抑え込む
人間は感情をもつ生き物です。感情を無理に押さえ込むと、大きなストレスを感じることになります。それによって、自らの幸福度を下げ続ける生活を送ることになりかねません。「怒ってはいけない」「悲しむべきではない」といった感情の抑圧は、心のエネルギーを消耗させます。
脳科学において、感情を抑圧すると脳の扁桃体が過剰に反応しやすくなり、ストレスホルモンが増加することが知られています。これによってリラックスできる時間が減り、慢性的な不安や疲労を感じることが多くなるのです。誰かに話を聞いてもらったり、共感できる映画を観たり、お風呂で思い切り泣いたりすることは、とても大切なことだと知っておきましょう。