なんでも「タイパ」で大丈夫?
中学2年の息子は「時間がもったいない」が口癖で、TikTokやYouTubeは2倍速で見るのが当たり前。親が新聞をゆっくり読んでいると「これSNSでも見た。わざわざ新聞とる必要あるの?」と聞いてくる。宿題もじっくり考える前に答えを見て済ませてしまう。タイパ(タイムパフォーマンス)が重要とはいうけど、このままで大丈夫かな?
生まれたときからネットやスマホが身近にあるデジタルネイティブ世代の子は、要領よく合理的に生活することをよしと感じやすいよう。親世代も時短、効率化などのワードを魅力に感じ、便利なグッズを生活に取り入れる方も増えていますよね。
タイパ重視で効率的に生活を回していくのはよい側面もある一方、味気なさを覚えたり深みがないように感じたりするときも。
タイパとゆっくり時間をかける意味やバランスを考えてみます。
タイパを重視したいことと、重視しないことを分けて考える。
効率化がプラスに働くこと
日常的な習慣や宿題はタイパに目を向けて効率的な生活を意識してもよいかもしれません。
家事や学校の準備などは、
- スマホのリマインダー機能で忘れ物や課題の提出を防止する。
- 家族との情報共有はカレンダーアプリなどを利用して、スケジュールやタスクを管理する。
- 家族それぞれの得意分野を生かして、ネットでの買い物担当・洗濯物担当・風呂トイレ掃除担当など割り振ってこなしていく。
学習においては、
- 宿題を効率的に済ませるために、やることリストを作成してひとつずつ消化していく。
- わかりにくい単元はYoutubeの解説動画を見たり、AIに質問して理解を深める。
- タイマーを利用して、時間を決めながら集中して課題をこなしていく。
日々を効率よくこなしていけると、小さな達成感や充実感を味わえるのでおすすめです。
あえて時間をかけて行いたいこと
効率化を意識した生活は便利な一方、人生をより豊かにするためにはあえて時間をかけて行いたいことも。習い事や塾、宿題に友達との予定など忙しい日常の中で、意図的に「ゆっくり過ごす時間」をもつことで得られる成長もあるんですね。
例えば、
- 本や映画に没入してじっくり楽しむ。作品を堪能したあとは家族でシェアする時間を作る。
- 時間をかけて料理してみる。〇〇パーティーなど、家族で楽しめる食事の時間を作る。
- 手書きの手紙や日記を書く。誕生日などのお祝いごとのときは手紙を書く、一言日記や絵で気持ちを表すなど日々の記録を残す習慣を作る。
週末に家族みんなで夜更かしして映画を見る、休日のお昼はホットプレートを使い時間をかけて食事するなど、家族時間を充実させられるとよいでしょう。
また、自分や相手を労わる時間や、思いを込めてメッセージを伝えたいときは、時間をかけることが気持ちの共有や充足感をもたらします。
さくっとこなしたいものと、じんわり味わいたいものを生活の中で分けて考えていけるといいですよね。
まずは親がモデルとなっていく。
「子どもは、親の言うことではなく親のやることを見ている」とよく言われます。いくら「時間をかけてじっくりやりなさい」と言っていても、親が慌ただしく効率化、時短ばかりに目をむけていては伝わりにくいんですね。
家事やルーティンワークは時短でさくっとすませる一方、好きなものや趣味に対しては丁寧に向き合う姿勢を見せられるとよいでしょう。
- 梅仕事など、旬の食材を丁寧に下処理して加工する時間が好き。いつしか子どもも興味を持ち、雑談をしながら手伝ってくれるように。
- 生け花が趣味で、花を選んで生けるまでを楽しみにしている。以前子どもから「お花もサブスクで買えるよ」と言われたこともあったが、一緒に散歩がてら花屋に立ち寄っていたら過程から楽しむよさを知ってもらえた。
親が楽しんで取り組んでいることは子どもも興味を持ちやすいはず。時間を前向きに、丁寧に使う姿勢を示していけるとよいでしょう。
「すべてにおいてタイパを重視したほうがよい」「タイパなんてよくない」と極端に考えるのではなく、うまく使い分けていくのが大切。
本当の意味での効率化や充実は、「自分が心地よいと感じられるバランス」にあります。便利なツールや時短アイテムを使いつつ、じっくり味わう時間も親子でシェアしていけるといいですよね。