チョコなのにあんこ。バレンタインに注目の「あずきとかかお」誕生秘話【老舗和菓子店 安原伶香さん】

カルチャー

2026.01.29

兵庫県たつの市で360年以上の歴史を誇る老舗和菓子店の十三代目として生まれ、現在は和洋折衷スイーツブランド「HANARE(はなれ)」を手がける安原伶香さん。 脈々と受け継がれた伝統を背負いながらも、その歩みはどこか軽やかで、しなやか。 バレンタインシーズンに注目を集める「あずきとかかお」誕生の背景には、彼女自身の生き方が色濃く映し出されていました。

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お話を伺ったのは……大三萬年堂「HANARE」 安原伶香さん

プロフィール

和菓子・ネオ和菓子専門家/ (株)HANARE代表取締役社長
江戸中期創業和菓子店〈大三萬年堂〉十三代目 、〈大三萬年堂 HANARE〉プロデューサー
帝国ホテルオンラインモール(※)やハイアットリージェンシー東京とのコラボレーション、ファミリーマートやロッテ、不二家など多数の商品監修を手掛ける。趣味は料理、ピラティス。推しは1歳の長男。

「好きなコトをしなさいね」

大三萬年堂出典:daisanmannendo.com

360年以上も続く老舗の和菓子屋さんが実家とお聞きして、子どもの頃から後継者として育てられてきたのでは? と伺うと「いえ、それが『お店を継いでね』と言われたことは一度も無くて(笑)ただ『好きなこと、やりたいことをしなさいね』とだけ言われていました。」

おだやかだが凛とした声。安原さんの言葉には自分の感性を信じる芯の強さは感じるが、ビジネスを手掛ける人独特の圧がない。自然体の佇まいが美しい。

大三萬年堂出典:daisanmannendo.com

物心つく前から店に立ち、自然とお菓子やお客さまの会話に囲まれて育った。それは修行というより、生活の一部。だから和菓子は、背負うものではなく「いつもそばにあった存在」だった。

――大学進学を機に、東京へ?

安原さん:最初はホームシックで泣いていました(笑)。でもそのうち人や環境に刺激を受ける楽しさを知り、学生時代にはフリーペーパーの制作に取り組みました。「どんなに味や素材がよくても、伝え方を間違えると届かない」そんなこともこの時に学びました。

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「今、戻らないと一生後悔する」

あずきとかかお出典:d3hanare.stores.jp

――新卒で一旦は一般企業へ就職をされましたね。

安原さん:ソフトバンクで4〜5年、会社員として社会のルールや距離感を学ぶ貴重な体験ができました。ところが、結婚や出産といった選択肢が現実味を帯びてきたときに、「今、家業を継がなかったら、一生後悔する」と思ったんです。

――大企業に入社して、これから! という時期に決断を?

安原さん:迷いはもちろんありました。でも、戻らないで後悔する方がいやだなと思って。

渋谷の「HANARE」店舗は和菓子の入り口

店舗出典:d3hanare.stores.jp渋谷 東急フードショー店
〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティ 渋谷東急フードショー 1階
営業時間 10時~21時 (定休日は渋谷東急フードショーに準ずる)
電話番号 03-3477-4687
アクセス渋谷駅直結

――家業に戻ってすぐ、「HANARE」を立ち上げられて

安原さん:祖父や父のもとでの和菓子作りの修行を通して、職人の仕事の奥深さや伝統を継承することの責任も感じています。製菓衛生師の資格も取得しましたが、私自身は職人としてお菓子を作ることよりも、ブランディングやPRのほうが向いていると思うようになりました。東京にいる強みを生かして、実家である大三萬年堂のお菓子の良さ伝えるべきだな、と。
渋谷は多くの人々が行き交う街。店舗は、老舗和菓子店のカジュアルな“入口”としての役目を果たせればと思っています。ふらっと立ち寄れて、「和菓子っていいな」と感じてもらえればうれしいです。一方、兵庫県にある実家の本店は、伝統を守り続ける場所。この二つの距離感を「HANARE」という名前に込めました。

安原さま全身

――今年は新しい挑戦もされるとか?

安原さん:はい! まず今年中に本店から新ブランドをローンチしたいと思っております。まだまだ構想中の部分も多いのですが、新しい挑戦なのでたのしみです!またHANAREとしては今後はさらにオンラインに力を入れていきたいと思っており、新たな取り組みも考えております。

――代表作「あずきとかかお」誕生のきっかけは?

安原さん:テレビ番組ガイアの夜明けで「HANARE」に密着していただくことになり、その放送が2月と聞き「チョコレートを」と思ったんです。あんことチョコレートは、どちらも材料は豆なので、とても相性がいいんです。

バレンタインは「あずきとかかお」1択!

あずきとかかお出典:d3hanare.stores.jp

――バランスが整ったおいしさでした。上質なあんことチョコレートの割合が絶妙で「どれだけ試作されたんだろう」と膨大な時間を想像しました。チョコレートのカカオ度の調整も大変だったのでは? 50~60%くらいですか?

安原さん:カカオには苦労しました(笑)58%のものが強すぎず、物足りなさも無くちょうどいいバランスになったんです。これ以上強めるとあんこの存在が薄くなってしまうので「そっと寄り添う」加減を狙いました。

1回の失敗が「近道」を生む

安原さん

――やはり試作を重ねた結果だったんですね。トライ&エラーを繰り返すことにどん欲なのは「失敗を恐れない」から?

安原さん:あ、そうなんです。私、失敗は普通のことだって思ってるんで(笑)まずはやってみて間違ったら調整すればいいって考えです。長い時間考えるよりも、1回失敗した方が絶対近道だって思ってるんですよ!

安原さん

笑顔も言葉もお仕事ぶりも、実に闊達で軽やかな安原さん。この笑顔は取材前に1歳のお子さんを預けに行った時の別れの儀式のバイバイ! の再現。ママとしてもフル稼働、そして決して手を抜かない。
明るく前向きに、何ごとにもすぐチャレンジして、手間をいとわず正解に辿り着く、それが彼女のメソッド。迷わずブレない真っすぐな歩みが、確かなおいしさとなって、人々の心に響き続ける。

◆大三萬年堂「HANARE」オンラインストア:https://d3hanare.stores.jp

※丹波黒豆と淡路島檸檬のそいばたーさんど | ANoTHER IMPERIAL HOTEL【帝国ホテルオンラインモール】
https://another.imperialhotel.co.jp/product/hanare-0351.html

 

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著者

みやむらけいこ

みやむらけいこ

ライター・インタビュアー歴20年以上。媒体を問わず取材執筆を行う。現在では自身の主食「チョコレート」や時間やタスク管理だけではなくココロを整える「手帳」、軽やかに生きるための「自分と向き合う方法」、シゴデキ女子や店舗の「密着取材」などをライフワークとして行う。

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