「親に言っても仕方ない」と口をつぐむわが子
最近、家では必要最低限のことしか話さなくなってきた小6の息子。返ってくる返事は「別に」「普通」「忘れた」ばかり。先生から友人関係のトラブルを聞いたので尋ねてみると、「言っても、どうせアドバイスされるだけだと思ったから」と言われ、言葉に詰まってしまった。今後どのように関わっていけばよいのだろう。
思春期前後の子どもは、言葉を少なくすることで心の内側を守ろうとします。
子どもが口を閉ざすとき、心の中にはこんなモヤモヤがあることが多いです。
- 今の気持ちは、まだ言葉になっていない。
- 話すと、何か言われそう。自分の気持ちが見えなくなりそう。
- うまく伝わるかわからないから言いたくない。
このような自己防衛(自分を守りたい気持ち)があるんですね。
大切なのは、言葉数が多いか少ないかではなく、子どもの自己防衛を理解できているかどうかにあります。
親に話したら自分の心が守られないと感じるか、それとも自分の親になら話しても大丈夫と思えるか。
後者になるためには、どのような関わり方がよいのでしょうか。
会話が減らない家庭に共通する「評価されない安心感」
会話が続く家庭では、親が評価や結論を急がないことを大切にしています。
子どもが話し始めたとき、すぐに正しさ・原因・対策に向かわないのです。
たとえば、「今日友達のこういう態度がムカついた」 という一言に対して、
- 「なんで?」と理由を聞き出さない
- 「それは相手が悪い」「そんなことで怒るのはよくない」と評価しない
- 「どうしたらよかったと思う?」と解決を迫らない
かわりに、「そっか、ムカついたんだ」「今日は嫌な日だったんだね」と、感情だけを受け止めて終えるのです。
一見あっさりしていたり、淡泊に感じられますよね。
しかしここで大切なのは、「話を広げない勇気」。
親はつい、「ちゃんと聞いている証拠」として質問を重ねてしまいますが、思春期前後の子どもにとっては、質問が取り調べのように感じられることもあるんです。
また、会話が減らない家庭では、次のような関わり方が自然に行われています。
- 子どもの話にオチや結論を求めない
- 話の途中でアドバイスを挟まない
- 「それでいいの?」「どうするつもり?」を急がない
つい「結局何が言いたかったの? あなたはどうしたかったの?」と聞いてしまったり、「こうすればよかったんじゃない?」と口をはさんだりしがち。
しかし、子どもの不器用な話をそのまま受け止めることは、「この家では、未完成な気持ちのままでいていい」というメッセージにもなります。
評価されない安心感があると、子どもは「また話してもいいかもしれない」と感じるもの。
会話は、内容ではなく体験の安全性によって続くんですね。
親にしか、伝わらない話し方でいい。
思春期前後の親子関係で大切にしたいのは、この3つ。
- ちゃんとした話でなくてもいい
- まとまっていなくてもいい
- 解決しなくてもいい
うまく話せなくてもいいと、子どもが感じられることが親子の会話維持に繋がります。
「そんな話し方では外で困る」ではなく、「家族に対してはそのままでいい」と考えるのがポイント。
会話が減らない家庭の違いは、評価されずに話せた記憶があるかどうか。
今この時期に積み重ねた関わりが、数年後、子どもが本当に話したくなったときの“戻ってくる場所”になります。
“ちゃんとしなくていい時間”、“そのままの言葉で許される会話”を少しずつ積み重ねていけるといいですよね。



