子どもへの「励ましの言葉」が逆に負担になるワケ

家族・人間関係

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2026.02.27

臨床心理士・公認心理師のyukoです。「勉強に関しては全く怒りません」と話す親御さんの子どもが、意外にも息苦しさを感じていることがあります。その息苦しさの背景には、親身な励ましや応援が潜んでいるかもしれません。子どもにとって、ときに負担となってしまう何気ない声かけとは?

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応援しただけなのに、正しいことを伝えただけなのに。

塾の宿題に取り組む息子。「この単元難しい」と呟いて手が止まっていたので、「大丈夫だよ、前もできたじゃん」「ほら、諦めないの」と励ました。手を動かさず、うじうじし始めたので、「今逃げたら次の試験でうまくいかないよ」「こんなことで参ってたら、受験を乗り越えられないよ」と付け足した。すると黙り込んでしまい、自室にこもってしまった。励ましただけなのに、間違ったことは言ってないのに、難しいなあ。

親子出典:stock.adobe.com

応援しよう、支えようと思い、かけた言葉が、子どもにとっては追い詰められたと感じてしまうことも。
小学校高学年は、「できない自分」や「うまくいっていないモヤモヤ」を強く自覚し始める時期。
そんなとき、子どもを想う親御さんほど熱心に励ましたり、鼓舞したりするのですが、圧やプレッシャーとなってしまいがちなんですね。

やりがちな失敗例から、勉強中の子どもへの声かけを考えてみましょう。

子どもを追いつめてしまっているかもしれない、NG声かけ4選

「前もできたでしょ?」と過去の成功を持ち出す

「前もできたんだから、できるはず」「あなたはできる力がある」というメッセージを込めた言葉。
勇気づけるために言ってしまいがちですが、子どもは「今できてない自分はだめ」「前より劣っている」と受け取ることも。

行き詰まっているときに必要なのは、励ましばかりではありません。
”できるはず”と親が感じているときは、「一旦時間を置いてみたら?」「ちょっと休憩しよう」と息抜きを促すと子どもが持つ力を発揮しやすくなります。

過去との比較はせず、親子ともに課題から距離を置くのがおすすめです。

 「みんなここでつまずく」は、安心より孤独を生むことも

「この単元は、みんな難しいって言うよ」 「誰でも一回はつまずくところだから」は一見、悪くない声かけに思えますよね。
「あなただけじゃないから大丈夫」と伝えたいとき、言いがちなこの言葉。

事実の説明としては正しいのですが、気持ちの受け止めにはなっていないんですね。
子どもからすると、「自分のしんどさをわかってもらえていない」「私が困っていることを見てほしい」と思うことも。

一般論ではなく、「どこからつまずいてる?」「ここで迷ってるんだ」と、本人に焦点を当ててあげられるとよいでしょう。

勉強する子どもと親出典:stock.adobe.com

「この先困るよ」と未来の話をする

「今これで悩んでたら、この先もっと大変だよ」 「今のうちに慣れとかなきゃ」
子どもの現状に不安を感じたとき、つい口に出てしまう言葉。

もっと頑張ってほしい、ここで立ち止まっててはいけないと思う気持ちはもっともですが、子どもは逃げ場を失った感覚になってしまいます。
「今のしんどさが軽く扱われた」「不安をあおられた」と感じてしまうんですね。

今、いっぱいいっぱいの子どもに、追い打ちをかけてもやる気が出てくるわけではありません。
「しんどいよね」「今の段階ではここが壁なんだね」など、気持ちを汲み取ってあげるのがよいでしょう。

すぐに解決策を提示する

子どもが行き詰まっているとき、「じゃあこうしたら?」「ここはこう考えればいい」とすぐに解決策を提示するのもNG。

もどかしさを感じていたり、楽にしてあげたいと思っているときに出る大人の優しさですが、子どもには「考える前に終わらせられた」感が残ることも。
特に真面目な子ほど、「もう自分で考えなくていいや」と心を閉じてしまいます。

遠くを見る子ども出典:stock.adobe.com

大人が提示する近道よりも、子どもが時間をかけて自分自身で見つけた道の方が、実になりやすいもの。
口を出したくなる気持ちをぐっとこらえて、子どもの試行錯誤を見守るのも大切です。

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正しさは、ときに逃げ道をふさいでしまう

追い詰められる瞬間は“怒られたとき”より、“理解されなかったと感じたとき”に起こりやすいもの。
うちは怒っていないから大丈夫なのではなく、真剣に正しさを説いているとき、子どもは息苦しさを感じているかもしれません。

わからなくてもいい、間違えてもいい、投げ出すときがあってもいい。
そのままでいていい時間を作ってあげるのも、親の大切な役目です。

回復して元気が出たときに、「もう1回頑張ってみよう」と思えるような声かけを積み重ねていけるといいですよね。

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著者

yuko

yuko

臨床心理士・公認心理師。現在は小児の総合医療センターと大学の心理教育相談センターにて勤務。児童期から思春期の子どもへのカウンセリングやプレイセラピー、子育てに悩む保護者の方への育児相談を専門にしています。色彩心理学やカラーコーディネートについても学んでおります。

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