やる気を出してほしいから、つい比べてしまう
小学5年生の息子。中学受験まで1年を切っている。この間の模試で、苦手な算数の点数は68点。最近またゲームの時間が長くなってきているのも気になり、「お兄ちゃんと一緒の中学行きたいんだよね。この時期、お兄ちゃんは集中して勉強してたし、模試も80点以上は取ってたよ」と言ってしまった。比べるのはよくないとわかっていても、やる気を出してほしくて、つい引き合いに出してしまう。
親が比較してしまうのは、多くの場合、「行動を変えてほしい」という焦りから出てくるものです。
子どもに「ちゃんと向き合って」と言うよりも、「お兄ちゃんはもう終わってるよ」「友だちはできてるみたいだよ」と伝えたほうが、刺激になって動くのではないかと無意識に期待してしまうんですね。
また、親自身も子どもの頃に同じように比較されて育っていることが多く、それが励まし方の型”として染みついている場合もあります。
しかし、子どもに届くメッセージは親の意図とは違うことがあります。
比較は子どもにとってどのようなメッセージとして届いているのか、言い換え方を考えます。
親ができる「比較を生まない言い換え」
「お兄ちゃんはもう終わってるよ」
たとえば、宿題の場面でよくある会話
- 「宿題やりなさい」
- 「あとでやる」
- 「お兄ちゃんはもう終わってるよ」
親としては、「じゃあ僕(私)も早く終わらせよう」という気持ちになってほしくてかける言葉。
ですが子どもにとっては、「どうせ僕(私)はお兄ちゃんよりできない」と書き換えられてしまうこともあります。
言い換えるなら、
- 「今日はどこまでやる予定?」
- 「先に一問だけやってみる?」
- 「終わったら一緒におやつにしようか」
こうした声かけをすると、子どもは誰かと競わされている感覚ではなく、自分の行動として宿題に向き合うことができます。
「〇〇ちゃんはもうAクラスなんだって」
これは情報のつもりでも、子どもには 「私は劣っている」というメッセージになることがあります。
たきつけるつもりの言葉でも、子どもにとっては「追いつかなければならない」という焦りになり、前向きなエネルギーにはつながりにくいんですね
代わりに、
- 「もし上のクラス目指すなら、次にできそうなことは何かな?」
- 「前よりできるようになったことも多いよね。」
- 「今のやり方で続ける? それとも少しプランを練り直す?」
「他人の位置」ではなく「自分の現在地と次の一歩」に視点を戻すこと。
親が声をかけなくても、子どもはすでに他人と自分を比較しているものです。
たきつける・あおるのではなく、自分を理解することが前向きなエネルギーにつながります。
「妹はもう準備終わってるよ」
朝の準備で言いたくなりますよね。
これは行動を早めるより、「私は遅い人間なんだ」という気持ちにつながることもあります。
代わりに、
- 「次は何するんだっけ?」
- 「朝ご飯とランドセルの準備どっちからやる?」
- 「あと何が残ってる?」
などと聞くと、子どもは自分の行動の順番を考えやすくなります。
親も焦っていると「だから昨日やっておきなさいって言ったでしょ」「なんであなたはいつも~」と言ってしまいがちですが、イライラしているときこそ冷静に短く、必要な声かけのみに留めるのがベストです。
子どもが比べてしまう時代だからこそ
今の子どもたちは、学校だけでなく、習い事、ゲーム、SNSなど、さまざまな場所で比較にさらされています。
だからこそ家庭では、「他人より上か下か」ではなく「昨日の自分よりどうか」という視点を持てることが大切です。
親が比較を減らすと、失敗は「能力の証明」ではなく「経験のひとつ」になります。
失敗を経験としてとらえられると、子どもは「できるかどうかではなく、やってみよう」と思えるようになります。
人生は、他人と比較をしてもきりがなく、辛くなるばかり。
去年よりも、先月よりも、自分の中でできるようになったことを振り返り、前を向いて頑張っていけるといいですよね。



