「予定どおりじゃないなら行きたくない」
昔からまじめでしっかり者の小5の長女。「今度の日曜日、どこか行こうか」と声をかけると、「どこ? 何時に出るの? 何時に帰るの?」と細かく確認する。ある日、予定していたランチのお店が混んでいて変更になったときには、急に不機嫌になり、「もういや、帰りたい」と言い出してしまった。学校でも先生に「次は何やるんですか?」「この予定じゃなかったんですか?」と見通しを気にしたり、変更に敏感だったりするとのこと。この先、生きづらくならないかな?
最近、「何が起こるかわからない状況」に強いストレスを感じる子どもが増えているといいます。
なぜ、予測が立たない状況に不安を感じやすいのか。支えとなる関わり方を考えます。
今の子どもたちは「予測できる安心」の中で育っている
最近、
- 時間割変更があると落ち着かない
- グループ活動で役割が決まらないと不安になる
- 旅行の予定を細かく知りたがる
- 「あとで決めよう」が苦手
このような子が増えているといいます。
もちろん個人の特性や性格は影響するものの、理由としては「予測できる環境」が理由として挙げられます。
- スマホを開けば欲しい情報はすぐ手に入る。
- 動画は好きなタイミングで速さすらコントロールしながら見られる。
- 地図アプリを使えば目的地までの時間やルートが即座にわかる。
大人も子どもも、「わからないまま待つ」経験が昔より少なくなっているんですね。
さらに教育の場面でも、「見通しを持たせること」は大切にされています。
もちろんそれ自体は悪いことではありませんが、その安心感に慣れすぎると、「わからない状態そのもの」がストレスになりやすいのです。
「見通しがなくても大丈夫」な力はどのように育てていけばよいのでしょうか。
家庭でできる、‟わからないまま進む力”の育て方
※発達上の特性や配慮が必要な子は、「見通しが立たない状況」に強くストレスを感じます。
特別な配慮の必要がないお子様のみ、参考にしてみてください。
あえて「全部は決めない」
途中で機嫌が悪くなったら困るからと、事前にすべての予定を立てて休日を過ごす親御さんも多いよう。
しかしその状況に慣れすぎると、例外や予想外がどんどん苦手になってしまいます。
そのためときには、「午前中は公園に行って、そのあとは行ってから決めよう」など、大雑把な決め方で過ごしてみるのもおすすめです。
最初は「え、なんで? どうするの?」など戸惑うかもしれませんが、道中一緒に話して決めたり、気分で行動してみて、"意外と楽しかった”経験ができると不安が和らいでいきます。
親も「わからない」を口にする
子どもが不安そうなとき、大人はつい答えを出したくなります。
たとえば
- いつもの道が工事で通れないとき、子どもが不安になる前に「こっちに行けば大丈夫だよ」と伝える
- 学校の行事内容がまだ決まっていないとき、「たぶんこうなると思うよ」とすぐに情報を集める
- 友達との約束が曖昧なままのとき、「今すぐ連絡して確認しようか」と親が解決に動く
子どもを安心させたいという親の優しさからくる行動ですが、一旦止まってみるのもひとつです。
「どうなるかな?」「まだわからないみたいだね」「ちょっとそわそわするね」などと声をかけ、一緒に曖昧な状況を過ごしてみる。
‟少し居心地が悪いけど、大丈夫”と感じられると、予測が立たない状況にも少しずつ耐えられるようになります。
子どもは親の態度から、「わからないこと=危険」なのか、「わからないけど何とかなる」なのかを学んでいくんですね。
モヤモヤに名前をつける
子どもが落ち着かないとき、「大丈夫だよ」「気にしない」だけで終わらせないことも大切です。
「予定が変わって不安だったんだね」「何が起きるかわからないのが嫌だったのかな」と気持ちに名前をつけてみると、子どもにとって支えになります。
名前がつくと、子どもは、「このモヤモヤは不安なんだ」と整理できるようになるからです。
気持ちに名前をつける癖が身につくと、子どもは自分で考えて落ち着くことができていきます。
「今感じてるモヤモヤはなんだろうね」と一緒に考えて、名付けてみてください。
親は、子どもを安心させるために「不安を取り除いてあげたい」と感じるもの。
しかし、どれだけ周囲が調整しても子どもの人生からすべての不安を取り除くことはできません。
大切なのは、「子どもが不安と付き合っていく力」「曖昧な状況に耐えられる力」を育てていくことです。
モヤモヤ、そわそわ、なんだか落ち着かない気持ちを味わいながら、予測できない時間も楽しんでいけるといいですよね。



