「もう行きたくない」と泣いた子が笑顔を取り戻すまで
学童では、子どもたちがいつも元気に登所できる日ばかりではありません。ある日、登所予定の子どもが来なかったため、職員が確認すると、学童へ向かうことをためらっているとわかりました。
その後、学校の先生と一緒に学童まで来たものの、その子は玄関先で立ち止まり、「もう行きたくない」と泣き出しました。
私は「がんばったね」と声をかけ、しばらくそばで過ごしました。その後は、日頃の様子を知る職員同士で相談しながら、次の行動へ移るきっかけをつくりました。クラブ内に入ってからもしばらく泣いていましたが、おやつを食べながら好きなものの話をしているうちに、少しずつ表情がやわらいでいきました。
おやつのあとは、職員や友達とカードゲームを楽しみ、お迎えまで再び泣くことなく過ごせました。この経験から感じた、子どもの笑顔につながる3つの関わりをご紹介します。
1.すでにできていることを認める
大人から見ると、玄関で立ち止まっている姿は「学童に入れなかった」と見えるかもしれません。しかし、その子は嫌な気持ちを抱えながらも、学童の玄関まで来ていました。
できなかったことに目を向ける前に、「ここまで来られたね」「がんばったね」と、すでにできたことを言葉にする。すると、子どもは「わかってもらえた」と感じやすくなるのではないでしょうか。
家庭でも、朝の支度が途中で止まったときは「着替えられたね」「ここまではできたね」と、途中までのがんばりを認めたいものです。
2.理由を聞き出さず、好きなものや何気ない話をする
子どもが泣いていると、「どうして嫌なの?」「何かあった?」と理由を知りたくなりますよね。しかし、気持ちが大きく揺れているときは、本人も理由をうまく言葉にできないことがあります。
その子のそばにいた職員は、理由を聞き出そうとはせず、おやつを食べながら好きなものの話を続けました。すると、泣き声が小さくなり、やがて笑顔が見られました。
家庭でも、子どもが話したくなさそうなときは「今日のおやつ、何がいい?」など、答えやすい話題から始めてもよいのかもしれません。話したくなったときに話せる余白を残すことも、一つの寄り添い方だと感じます。
3.ひと言で終わらせず、安心できるまでそばで見守る
「大丈夫だよ」と声をかけても、すぐに気持ちを切り替えられない場面はよくあります。そんなときは、「この人はここにいてくれる」と感じられる時間が安心につながることがあります。
今回も「がんばったね」のひと言だけで笑顔になったわけではありません。玄関で一緒に過ごし、おやつ中もそばに付き添い、何気ない会話を続ける。職員が様子を見ながら関わり続けたからこそ、少しずつ気持ちを切り替えられたように感じました。
家庭でも、ずっと隣にいるのが難しいときは「ここにいるよ」「落ち着いたら教えてね」と伝え、家事をしながら近くで見守るだけでもよいのではないでしょうか。
泣くことと乗り越える力がないことは別
子どもが泣くと、早く笑顔に戻してあげたいと焦ることもありますよね。でも、泣いていることと乗り越える力がないことは別です。
子どもの笑顔を引き出すのは“魔法のひと言”ではなく、がんばりを認め気持ちを急いで聞き出さず、安心できるまで見守ることです。その積み重ねが、子ども自身で少しずつ気持ちを整え、次へ進む力につながるのかもしれません。




