明治時代のワーママ、岡本かの子
例えば、「芸術は爆発だ!」でお馴染みの岡本太郎の母、岡本かの子は、小説家であり歌人として活躍した女性だ。明治時代にすでにワーママだったわけである。そんなかの子が残した有名な育児伝説は、太郎を柱に縛って仕事に励んでいたというもの。
仕事と育児を両立するワーママをたくさん知っているけれど、さすがに子どもを柱に縛りつけて仕事をしているママ友はいない。というか、そんな話を聞いたら、ママ友として付き合を考えてしまうかもしれない……。
しかし、幼い頃にそんな経験をした太郎は、世界中に知られる芸術家となり成功を収めるまでの人物へと成長する。そして何より、母のことを心から思う息子に育つのだ。読んでいて思わず涙してしまうエピソードがこの本の中に紹介されている。
男の子を育てるママには、ぜひ読んでもらいたいエピソードだ。
キュリー夫人の2人の娘の面倒を見ていたのは義父
女性初、さらに人生で二度もノーベル賞を受賞したマリー・キュリーは2人の娘を持つ母でもあった。長女・イレーヌも後に夫・フレデリックと共にノーベル賞を受賞している。
ここまで聞くと、キュリー夫人こそ、仕事と育児を両立させた、まさに「良妻賢母」という気持ちになるのだが、実際のところはそうでもなかったようだ。研究の日々を送るキュリー夫人の代わりに2人の娘の面倒と家事を引き受けてくれたのは義父であるウージェーヌだった。
時代は、1890年代。ものすごくリベラルな義父である。この本の中の「スゴ母」のまわりには、その時代にしてはリベラルな考え方をする人が多い。「スゴ母」の子育てを支えるのはリベラル思想者なのかもしれない。
『スゴ母列伝~いい母は天国に行ける ワルい母はどこへでも行ける~』では、一人の人間として「すごい」功績を残した人たちの、母としての姿を知ることができる。
現代のワーママたちが必ずぶつかる「仕事と子育ての両立」や、「仕事ばかりで、良いママになれていないかもしれない」という壁に、100年以上前の人たちもしっかりぶつかり、その壁を乗り越えたり、そもそも乗り越えなかったりしてきたということがわかる。
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