人生最後に食べたいおやつには、その人の人生が詰まっている

心と体

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 人生最後に食べたいおやつには、その人の人生が詰まっている

2020.03.10

日常を暖かいタッチで切り取り、読者の心を癒す文章が人気の小川糸さん。最新作「ライオンのおやつ」を読んで考えたこと、感じたこと。

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「人生の最後にたべたい“おやつ”はなんですか?」

出典:unsplash.com

2年前、義父をガンで亡くした。体調がおかしいと病院に行ったら、そのまま入院になった。入院した時点ですでに末期がん。手の施しようがないということで、入院2週間後に在宅介護に切り替えることになり、明日は退院という日に、あっけなく義父は天国へと旅立ってしまった。

「人生の最後にたべたい“おやつ”はなんですか?」
小川糸さんの最新作「ライオンのおやつ」の帯に書かれた一文に惹かれて、この本を手に取った。
「ライオンのおやつ」の主人公は、33歳の女性、海野雫。33歳という若さで末期がんを患っている。瀬戸内海の小さな島にあるホスピス「ライオンのおやつ」を終の棲家に選んだ雫が、ライオンの家を訪れるところから物語は始まる。「33歳で末期がん」。これはなかなかのパワーワードであり、物語冒頭から雫に感情移入してしまう。とっくに33歳を過ぎている自分の人生を振り返り、「もし、自分が33歳のときに末期がんという診断を受けたら……」という気持ちで物語を読み進めていく。

「ライオンのおやつ」には、ホスピスで過ごす人たちをお世話するマドンナと、食事担当で、ご飯の主導権を握っているシマさんと、おやつの主導権を握っている舞さんという姉妹が登場する。この姉妹が作る食事やおやつが実に美味しそうで、読んでいる最中、何度も空腹感が襲ってくる。小川糸さんの作品には、“食べる”ことが大切に描かれている作品が多い。この「ライオンのおやつ」も、その1冊。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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著者

山田かほり

山田かほり

フリーライター歴10年。読んだ人の心にふわっとした空気が流れるような記事や情報をお届けできるよう心がけています。

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