糀甘酒ってどんなもの? 酒粕甘酒とは全くの別物?
糀甘酒とは、米こうじに炊いたご飯と水を混ぜて発酵させただけの発酵食品です。含まれる有効成分は、わかっているだけで、なんと350種類以上もあります。
ちょっと前まで、甘酒といえば、酒粕甘酒を思い浮かべる人も多かったでしょう。しかし糀甘酒は、酒粕甘酒とは別物で、大きく2つの違いがあります。
①糀甘酒はアルコール0%
一つ目は、アルコールが入っているかいないかです。酒粕甘酒は、日本酒を製造する過程でできる酒粕を水で溶いて作ります。そのため、微量ながらアルコールが残っています。
それに対し、糀甘酒は、米こうじに炊いたご飯と水を混ぜ、発酵させただけのもの。アルコールは0%で、いっさい入っていません。
②糀甘酒は砂糖ゼロ
2つ目の違いは、甘みについてです。
酒粕甘酒は、酒粕を水で溶いた後に、砂糖を加えることで甘みをつけています。一方、糀甘酒の甘みは、発酵という自然の力がもたらしたもの。100%天然モノの甘みなんです。
酒粕甘酒に使われる砂糖の主成分であるショ糖よりも、糀甘酒の甘みのもとになっているブドウ糖の方が、分子構造がシンプルで、速やかに脳にとり込まれるのが特徴です。つまり、疲れたときにはとくに、頼るべきは酒粕甘酒ではなく、糀甘酒と言えるのです。
なぜ「飲む点滴」と呼ばれる? どのくらい摂取するとよい?
栄養点滴に類似する栄養と即効力がある!
糀甘酒は、栄養点滴に類似する栄養と即効力から、「飲む点滴」とも呼ばれています。代表的なものだけでも、ビタミンB群、必須アミノ酸、食物繊維、ブドウ糖、オリゴ糖、消化酵素などが挙げられます。
とくにビタミンB群は、ブドウ糖をエネルギーに変えるのに必要です。活動すると消耗するので、継続して摂取しなければ体調に影響が出てしまいます。糀甘酒なら点滴のように体に針を刺さなくても、ブドウ糖とビタミンB群をセットで摂取できるので、とても頼りがいのある発酵食品といえるでしょう。
コップ1杯以下で十分
糀甘酒は、ブドウ糖を豊富に含む即効性の栄養ドリンクですので、一度にあまり大量に飲むのではなく、コップ一杯以下でも十分です。
体の調子を整える成分は、継続して摂取することが大事なので、少量を毎日コツコツ飲んだり、砂糖代わりの発酵甘味料として料理に使ったりして摂取するとよいでしょう。
糀甘酒はスーパーなどで手に入る! 濃さや原料など特徴もさまざま
麹菌が生み出す成分が糀甘酒の豊かな味わいを生む
糀甘酒は、スーパーなどで販売されているので、簡単に手に入ります。
ストレートタイプや濃縮タイプ、保存料などの添加の有無、果汁などのフレーバー付きのものなどさまざまな甘酒が販売されています。
また、使用している麹菌の種類によっても味わいが大きく異なります。
米糀に存在する麹菌自体は、糀甘酒ができるまでの工程で死滅します。しかし、麹菌がいなくても、麹菌の働きでつくられた栄養成分の一部は残っており、甘味や酸味などの味に影響しています。栄養素についても熱に弱いビタミンなどの一部を除いて残っており、脳のエネルギーとなるブドウ糖も残っています。
長期保存には冷凍を
常温で流通している市販の「糀甘酒」は、未開封の場合、常温でも保存できますが、冷蔵庫での保存がおすすめ(メーカーによって異なる場合もあります)。
開封後は、2~3日で使い切るようなら冷蔵庫で保存。少しずつ使うなら、小分けにして冷凍保存するとよいでしょう。
糀甘酒は自宅で簡単に作れる! さらに手作りならではのメリットも!
上で述べた通り、市販されている甘酒は種類がたくさんあり、好みの甘酒を見つけるのが難しいかもしれません。
そこでおすすめなのが糀甘酒を手作りすること。
米糀を多めに使用して米糀の香りを活かす、米糀の粒の食感を残す、濾してさらさらにする、など、自分好みの糀甘酒を見つけることができます。
さらに、手作りの糀甘酒を加熱せずにすぐに使用すれば、酵素のプロテアーゼの効果も期待できます。肉を糀甘酒につけると、プロテアーゼのはたらきで肉のたんぱく質がアミノ酸に分解され、やわらかくなり、うまみが増します。
家庭で簡単にできる!糀甘酒の作り方
やわらかく炊いたご飯やおかゆに米糀と水を混ぜ、数時間~十数時間保温するだけで作れます。
分量や時間は、好みによって調節すればOK。
炊飯器、ヨーグルトメーカー等の保温機能を使用して簡単に作れるほか、糀甘酒専用メーカーも販売されています。
手作りの糀甘酒も冷凍がおすすめ
手作りの糀甘酒は、冷凍保存すると1か月程度はもちます。製氷皿などで小分けにしておくと、砂糖の代わりに調味料として使う際に便利です。
砂糖代わりの発酵甘味料として糀甘酒を使う料理を多数紹介!
砂糖代わりの発酵甘味料として糀甘酒を使って作れる超簡単でおいしいレシピを紹介します。おかず、ご飯もの、麺類など、厳選されたレシピがずらり。少ない材料で、手間いらずなので、毎日の食卓に重宝すること間違いなしです。
著者プロフィール
前橋健二(まえはし・けんじ)
東京農業大学応用生物科学部醸造科学科教授。日本の調味料研究の第一人者。発酵における微生物と成分変化、発酵調味料、味の解析や味覚のしくみなど、「発酵」と「味」について、多方面から科学的アプローチを続けている。「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)をはじめ、メディア出演も多数。
あまこようこ
料理研究家、フードコーディネーター。「料理は、人をつなぎ、驚きを与え、夢や希望も運んでくれる」を合言葉に、テレビ、雑誌などを中心に活躍。著書に『冷凍フルーツのひんやりスイーツ』(主婦の友社)、『おかずケーキ』(オークラ出版)がある。
『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』
価格:1400円(税込:1,540円)
出版社:アスコム
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次回は、糀甘酒を使う料理のレシピを紹介します!
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