包丁の値段の違いは、“切れ味のよさ”をどれだけ保てるか
家庭用包丁のトップシェア*1を誇る貝印株式会社では、全国で28店舗のホームセンター等でKaiShopを展開しており、KaiShopでは持ち込まれた包丁を有料で研ぐサービスを行っています。同社でKaiShopとマイスター制度の責任者をつとめる“包丁マイスター”林泰彦さんは、その現場でさまざまな家庭用包丁を見てきたスペシャリストです。
*1 KSP POS 2017〜2019年から自社集計
「これまでの経験と市場調査からいうと、大体1家庭3〜4丁の包丁をお持ちのようです。違う種類を揃えているというよりは、使っていた包丁が切れなくなったので新しく購入するけれど、前のものは手になじんでいるので捨てられない、という方が多いです。
そういう方には、1000円の包丁を3回買い換えるよりも、ワンランク上の3000〜4000円のものをお使いになったらどうですか? というご提案をします。
包丁は、おいしい料理を下支えする道具です。気持ちよく切れると、効率よく、気持ちよく、おいしくお料理できると思いますよ」(林さん)
最近では100円ショップや量販店などで、安価に包丁を購入できるようになりました。形や見た目には大きな差がないように感じますが、金額でどんなことが変わるのでしょうか?
林さんは、「いい包丁の3要素」として、以下の3つのポイントを挙げています。
いい包丁を作るための3要素
① 材料がいい
② 製造工程(焼き入れ)の精度が高い
③ いい刃つけが施されている
「とくに切れ味を左右するのが、③の刃の付け方。安価な包丁でも、研ぎの技術がある人がしっかり研げば、ある程度の切れ味にはなります。
ただ、①②がないと、その切れ味は持続しません。いい材料を使って、いい焼き入れをすることで、強靭で、いい切れ味を長く保てる包丁になる。そのためにはコストが必要で、それが包丁の価格に反映しているわけです。
ちょっと乱暴な言い方ではありますが、金額が高いほど、よく切れる状態を維持しやすいといえると思います」
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。