自分にあった包丁の選び方とは?
貝印株式会社は昨年、マーケティング会社と共同で、子どもを持つ20〜70代女性1000人を対象にキッチンや調理まわりの実態調査を行いました。調査で見えてきたのが、多くの女性は上の画像にある4つの層に分かれるということ。
林さんは、この層ごとに、持っている包丁の傾向が分かれているのではないかと予想しています。
「たとえば、三徳包丁は非常によく売れる種類で、市場の多くを占めています。よく万能包丁としても紹介されるのですが、料理を趣味の域で楽しんでいる極め層の方は、あまり選ばない傾向があるんです。
では、極め層にとっての万能包丁が何かというと、長めの牛刀。刃渡り21センチくらいの牛刀を選んでいることが多いです。
もっとも割合が高く、料理は必要に迫られてやっているというミニマム層の方は、三徳包丁や、ペティナイフを万能包丁して使っていることがあります。ペティナイフは、皮を剥いたり、飾り切りをしたりと、手に持った食材を切る用途で作られていますが、使い方次第ではキャベツや肉などを切ることもできます。
一方、ふだん料理をしない拒否層のなかには、大きな刃物に拒否感を抱く方もいます。そういう方は、ペティナイフや三徳よりワンサイズ小さい小三徳包丁を選ぶ傾向があります」(林さん)
素材で考える包丁の選び方。ダマスカス包丁って何?
では、包丁の素材についてはどのように考えたらいいのでしょうか?
林さんは、「素材に関してであるならば、同じ価格帯で性能の違いを比べることが大切」と話します。代表的な2つの素材について特性を教えてもらいました。
炭素鋼
「かたくて強い金属です。同時にもろさもあるので、耐えうる以上の力がかかると、刃先が欠けることがあります。また、サビやすいので、こまめにお手入れをしないと刃持ちしにくいという側面があります」(林さん)
ステンレス
「炭素鋼に、一定量を加えるとサビに強くなるクロムという素材を加えたものがステンレス。クロムを加えることで耐摩耗性が高くなるので、切れ味が持続しやすくなります。また、サビにも強い。
昔は『鋼(炭素鋼)はいいけどステンレスはダメ』と思われていたようですが、今はそんなことはありません。切れ味が炭素鋼に劣ると思っている方がいらっしゃいますが、ある程度のレベルのものであれば、そのようなことは全くありません。個人的にはステンレスの方が使い勝手がいいと思っています」(林さん)
ちなみに、最近「ダマスカス包丁」というネーミングの包丁をよく見かけますが、現代においては「ダマスカス」は金属の種類ではない、と林さん。うねるような縞模様が特徴の包丁を指すそうで、模様自体は切る性能には関係しないとのこと。貝印株式会社でも「ダマスカス」と銘打った包丁を取り扱っていて切れ味と切れ味の持続性の素晴らしさと、デザインの美しさが人気の理由だそうです。
「包丁はあくまでも道具。だからこそ、気持ちよく使える1本をぜひ見つけてください」と林さん。お気に入りの1本が見つかると、料理が楽しくなりそうですね!
切れ味を保つためには洗い方とまな板選びが重要になってきます。買った後もしっかりメンテナンスしてあげてくださいね!
教えてくれたのは
貝印株式会社
明治41年創業。ポケットナイフの製造から始まり、卓越した職人技でキッチン用品、製菓用品、ビューティーケア用品などの生活用品から、医療用品、業界刃物まで1万点にも及ぶアイテムを国内・世界に向けて展開。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。